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  • 昭和59年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第3 農林漁業金融公庫|
  • 不当事項|
  • 貸付金

総合施設資金等の貸付けが不当と認められるもの


(121)−(129)総合施設資金等の貸付けが不当と認められるもの

科目 貸付金
部局等の名称 北海道、秋田、盛岡、仙台、高松各支店
受託金融機関 北海道信用農業協同組合連合会ほか5金融機関
貸付けの根拠 農林漁業金融公庫法(昭和27年法律第355号)
貸付金の種類 総合施設資金、農業構造改善事業推進資金
貸付けの内容 農林漁業者に対する総合施設資金等の貸付け
貸付件数 9件
貸付金の合計額 382,416,000円

 上記の貸付けは、貸付けの目的に沿わない結果になっていて、貸付金59,651,701円が不当と認められる。これを貸付先別に掲げると別表 のとおりである。

(説明)
 農林漁業金融公庫(以下「公庫」という。)では、農林漁業者に対して、農林漁業の生産力の維持増進に必要な長期かつ低利の資金で、一般の金融機関から融通を受けることが困難な資金を直接又は金融機関に委託して貸し付けている。
 このうち、公庫が直接貸付けを行う場合は、公庫が借入申込書類を審査して、所定の条件を満たしていると認めたものについて貸し付け、完成状況、事業費の支払状況等によって貸付金の使途などを確認することとしており、また、金融機関に委託して貸付けを行う場合は、受託金融機関が借入申込書類を審査した後、公庫が所定の条件を満たしていると認めたものについて貸付決定して、受託金融機関を通じて貸し付け、受託金融機関が直接貸付けの場合に準じて事業実施の確認をすることが原則となっている。
 しかして、上記の貸付け9件についてみると、借入者から事実と相違した内容の報告がなされているにもかかわらず、これに対する審査及び確認が適切でなかったため、貸付金額が過大に算定されていて貸付けが不当と認められるものが59,651,701円見受けられた。

(別表)

支店名 貸付先
(所在地)
貸付対象 貸付
昭和年月
(貸付利率)
貸付対象事業費 左に対する貸付金額 貸付金額のうち不当と認めた額 摘要
(受託金融機関名)
千円 千円 千円
(総合施設資金)
(121) 北海道支店 農業者 乾燥機の購入等 59.11
(年5%)
13,124 11,800 5,060 低額実施
北海道信用農業協同組合連合会 北海道札幌郡広島町在住
 この貸付けは、乾燥機一式及びコンバイン1台の購入並びに既設農舎1棟の改修に必要な資金13,124,800円の一部として11,800,000円を貸し付けたもので、借入者は貸付対象事業費どおりの額で実施したとしていたが、実際は、乾燥機及びコンバインの購入(貸付対象事業費10,248,800円)については2,760,220円の値引きなどにより7,488,580円で実施し、また、既設農舎の改修(貸付対象事業費2,876,000円)については簡易な補修工事を無償で実施しており、この結果、適正な貸付対象事業費は7,488,580円となり、これにより貸付金額を計算すると6,739,722円となるので、本件貸付金額との差額5,060,278円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金額については、本院の注意により、昭和60年7月に繰上償還の措置が執られた。
(122) 畜産業者 畜舎の新築等 59.3
(年5%)
122,449 105,200 8,056 低額実施及び事業の一部不実施
(同) (函館市)
 この貸付けは、土地調査及び設計の委託、用地507m2 の造成、畜舎及び管理棟各1棟の新築、既設畜舎1棟の改造、サイロ1基及び附帯設備の設置(以下「畜舎の新築等」という。)並びに豚1,497頭の導入に必要な資金122,449,000円の一部として105,200,000円を貸し付けたもので、借入者は貸付対象事業費どおりの額で実施したとしていたが、実際は、畜舎の新築等(貸付対象事業費61,779,000円)については57,402,754円で実施しており、また、豚の導入(貸付対象事業費60,670,000円)については1,344頭を50,535,000円で導入していたと認められ、この結果、適正な貸付対象事業費は107,937,754円となり、これにより貸付金額を計算すると97,143,978円となるので、本件貸付金額との差額8,056,022円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金額については、本院の注意により、昭和60年10月に繰上償還の措置が執られた。
(123) 秋田支店 農業者 畜舎の新築等 59.9
(年5%)
52,450 47,200 7,555 低額実施
秋田県信用農業協同組合連合会 秋田県平鹿郡平鹿町在住
 この貸付けは、用地1,000m2 の造成、畜舎及びたい肥舎各1棟の新築、附帯設備及び浄化槽1基の設置並びに豚450頭の導入に必要な資金52,450,000円の一部として47,200,000円を貸し付けたもので、借入者は貸付対象事業費どおりの額で実施したとしていたが、実際は、このうち用地の造成、畜舎及びたい肥舎の新築並びに附帯設備の設置(貸付対象事業費38,722,000円)については30,321,500円で実施しており、この結果、適正な貸付対象事業費は44,049,500円となり、これにより貸付金額を計算すると39,644,550円となるので、本件貸付金額との差額7,555,450円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金額については、本院の注意により、昭和60年10月に繰上償還の措置が執られた。
(124) 盛岡支店 農業者 畜舎の新築等 59.7
(年5%)
24,820 19,856 4,705 低額実施
岩手県信用農業協同組合連合会 岩手県二戸郡浄法寺町在住
 この貸付けは、畜舎1棟及びたい肥舎1棟の新築並びに機械設備一式の設置に必要な資金24,820,000円の一部として19,856,000円を貸し付けたもので、借入者は貸付対象事業費どおりの額で実施したとしていたが、実際は、5,881,800円の割戻しを受けて18,938,200円で実施しており、これにより適正な貸付金額を計算すると15,150,560円となるので、本件貸付金額との差額4,705,440円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金額については、本院の注意により、昭和60年9月に繰上償還の措置が執られた。
(125) 仙台支店 農業者 鶏舎の新築等 59.7
(年5%)
20,533 18,470 5,574 低額実施
(株式会社荘内銀行) 山形県東田川郡三川町在住
 この貸付けは、鶏舎2棟の新築及び内部設備一式の設置に必要な資金20,533,000円の一部として18,470,000円を貸し付けたもので、借入者は貸付対象事業費どおりの額で実施したとしていたが、実際は、このうち鶏舎の新築(貸付対象事業費9,520,000円)については6,204,460円の割戻しを受けて3,315,540円で実施しており、この結果、適正な貸付対象事業費は14,328,540円となり、これにより貸付金額を計算すると12,895,686円となるので、本件貸付金額との差額5,574,314円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金額については、本院の注意により、昭和60年10月に繰上償還の措置が執られた。
(126) 農業者 えのきたけ栽培施設の新築等 59.5
(年5%)
59,586 50,000 5,319 低額実施
山形県信用農業協同組合連合会 山形県最上郡鮭川村在住
 この貸付けは、えのきたけ栽培施設1棟の新築及び栽培用設備一式の設置に必要な資金59,586,000円の一部として50,000,000円を貸し付けたもので、借入者は貸付対象事業費どおりの額で実施したとしていたが、実際は、これより低額な53,190,747円で実施しており、これにより適正な貸付金額を計算すると44,680,227円となるので、本件貸付金額との差額5,319,773円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金額については、本院の注意により、昭和60年10月に繰上償還の措置が執られた。
(127) 仙台支店 農業者 えのきたけ栽培施設の新築等

59.4
(年5%)

 

57,875 52,000 6,675 低額実施
山形県信用農業協同組合組合連合会 山形県最上郡鮭川村在住
 この貸付けは、えのきたけ栽培施設1棟の新築及び栽培用設備一式の設置に必要な資金57,875,000円の一部として52,000,000円を貸し付けたもので、借入者は貸付対象事業費どおりの額で実施したとしていたが、実際は、これより低額な50,360,951円で実施しており、これにより適正な貸付金額を計算すると45,324,855円となるので、本件貸付金額との差額6,675,145円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金額については、本院の注意により、昭和60年10月に繰上償還の措置が執られた。
(128) 農業者 なめこ栽培施設の新築等 59.7
(年5%)
33,356 29,890 3,921 低額実施
(同) 山形県最上郡鮭川村在住
 この貸付けは、なめこ栽培施設1棟の新築及び栽培用設備一式の設置に必要な資金33,356,000円の一部として29,890,000円を貸し付けたもので、借入者は貸付対象事業費どおりの額で実施したとしていたが、実際は、これより低額な28,854,135円で実施しており、これにより適正な貸付金額を計算すると25,968,721円となるので、本件貸付金額との差額3,921,279円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金額については、本院の注意により、昭和60年10月に繰上償還の措置が執られた。
(農業構造改善事業推進資金)
(129) 高松支店 農業協同組合 鶏舎の新築 59.10
(年3.5%)
60,870 48,000 12,784 低額実施
香川県信用農業共同組合連合会 転貸先 農事組合法人転貸先所在地香川県三豊郡高瀬町
 この貸付けは、鶏舎10棟の新築に必要な資金60,870,000円の一部として48,000,000円を貸し付けたもので、転借者は貸付対象事業費どおりの額で実施したとしていたが、実際は、これより低額な44,020,000円で実施しており、これにより適正な貸付金額を計算すると35,216,000円となるので、本件貸付金額との差額12,784,000円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金額については、本院の注意により、昭和60年5月に繰上償還の措置が執られた。
445,063 382,416 59,651