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  • 昭和59年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第9 本州四国連絡橋公団|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

完成図作成の仕様を適切なものに改善させたもの


完成図作成の仕様を適切なものに改善させたもの

科目 (款)建設費 (項)一般国道28号建設費
(項)一般国道28号及本四淡路線共用部建設費
(項)一般国道30号建設費 (項)本四備讃線建設費
(項)一般国道30号及本四備讃線共用部建設費
(項)一般国道317号建設費
(款)受託等業務費 (項)受託工事費
部局等の名称 第一、第二、第三各建設局
工事名 大鳴門橋1A上屋工事ほか83工事
工事の概要 本州と四国の連絡橋に係る道路及び鉄道の建設工事の一環として橋りょう、高架橋等の施設を建設する工事
工事費 241,036,808,264円(当初契約金額237,146,000,000円)
請負人 株式会社熊谷組ほか10会社及び撫養高架橋下部工(その1)工事大木・井上建設共同企業体ほか72共同企業体
契約 昭和57年6月〜60年3月 指名競争契約又は随意契約

 上記の各工事において、完成図作成の仕様が適切でなかったため、完成図作成費が約1億8800万円過大になっていた。

 このように完成図作成費が過大になっているのは、マイクロフィルム作成の基となる完成図の作成に当たり、近年、マイクロフィルムの品質が向上するなどマイクロ化技術の進歩により、鉛筆仕上げの図面を完成図とすれば足りるのに、すべて墨入れ仕上げの図面とする仕様としていたことによるもので、仕様を適切なものに改める要があると認められた。

 上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。

(説明)
 本州四国連絡橋公団(以下「公団」という。)では、本州と四国の連絡橋に係る道路及び鉄道の工事を毎年多数実施しているが、このうち、第一建設局ほか2建設局が昭和59事業年度に施行している大鳴門橋1A上屋工事ほか83工事(工事費総額2410億3680万余円)について検査したところ、次のとおり、完成図作成の仕様について、適切でないと認められる点が見受けられた。
 すなわち、上記各工事は橋りょう、高架橋等の施設を建設するもので、これら工事では、いずれも、施設完成後の維持管理用資料の元資料としたり、技術資料として長期間保存したりする必要があることなどから、工事完成時において、発注設計図等の原図を基に、完成図(B−1版)、完成図のマイクロフィルム、完成図の縮小版(A−3版・マイクロフィルムをポリエステルシートに拡大焼付けしたもの)をそれぞれ作成させている。

 上記完成図作成の基となる発注設計図等の原図には、トレーシングペーパーに鉛筆仕上げしたもの(構造図等設計図の大部分のものがこれに該当する。)と、ポリエステルシートに墨入れ仕上げしたものとがあるが、このうち鉛筆仕上げした原図に係る完成図の作成については、公団本社制定の土木工事共通仕様書、完成図作成要領及び当該工事の特記仕様書等により、当該原図を設計変更の内容に応じて鉛筆で加筆修正した図面(以下「鉛筆仕上げ最終設計原図」という。)を基に新たにポリエステルシートに墨入れ仕上げすることになっており、上記84工事における鉛筆仕上げ最終設計原図10,458.5枚に係る完成図作成費を188,111,792円と算定していた。

 しかして、上記のように鉛筆仕上げ最終設計原図を基に新たにポリエステルシートに墨入れ仕上げした図面を作成させて完成図としているのは、完成図のマイクロフィルム作成に関して、トレーシングペーパーに鉛筆仕上げした図面をマイクロフィルムに撮影したものはポリエステルシートに墨入れ仕上げした図面を撮影したものに比べて鮮明度が劣って、保存を目的とした技術資料として適当ではないと考えたことによるものである。

 しかしながら、完成図のマイクロフィルム作成の実態等について調査したところ、近年、マイクロフィルムの品質が著しく向上したなどのため、トレーシングペーパーに鉛筆仕上げした図面をマイクロフィルムに撮影したものと、ポリエステルシートに墨入れ仕上げした図面を撮影したものとを比べても鮮明度に差がなく、鉛筆仕上げによる完成図を撮影したマイクロフィルムでも、保存資料としての目的が十分達せられると認められた。現に、他機関においては、鉛筆仕上げ最終設計原図をマイクロフィルムに撮影したものを技術資料として保存している状況である。

 したがって、本件各工事においても、鉛筆仕上げ最終設計原図から新たにポリエステルシートに墨入れ仕上げした図面を作成させる要はなく、鉛筆仕上げ最終設計原図を完成図としこれをマイクロフィルムに撮影することとしたとすれば、前記の完成図作成費188,111,792円を節減できたと認められた。

 上記についての本院の指摘に基づき、本州四国連絡橋公団では、60年6月に土木工事共通仕様書、完成図作成要領等を改めて、完成図作成の仕様を適切なものとし、同年7月以降契約する工事から適用することとする処置を講じた。