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  • 昭和59年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第12 社会福祉・医療事業団(医療金融公庫からの承継分を含む。)|
  • 不当事項|
  • 貸付金

土地取得資金等の貸付けが不当と認められるもの


(136)−(138) 土地取得資金等の貸付けが不当と認められるもの

科目 (一般勘定)貸付金
(医療勘定)貸付金
部局等の名称 社会福祉・医療事業団(昭和60年1月1日前は社会福祉事業振興会及び医療金融公庫)
受託金融機関 株式会社横浜銀行ほか1銀行
貸付けの根拠 社会福祉・医療事業団法(昭和59年法律第75号)
貸付金の種類 土地取得資金、新築資金、増改築資金
貸付けの内容 社会福祉法人に対する土地取得資金の貸付け及び私立の病院又は診療所の開設者に対する新築資金等の貸付け
貸付件数 3件
貸付金の合計額 633,000,000円

 上記の貸付けは、貸付けの目的に沿わない結果になっていて、貸付金50,981,000円が不当と認められる。

(説明)
 社会福祉・医療事業団(昭和60年1月1日前は社会福祉事業振興会及び医療金融公庫。以下「事業団」という。)では、社会福祉の増進並びに医療の普及及び向上を図るため、社会福祉法人、医療法人等に対し社会福祉事業施設、病院、診療所等の設置等に必要な資金を直接に又は金融機関に委託して貸し付けている。

 このうち事業団が直接に貸付けを行う場合は、事業団が借入申込書類を審査して、所定の条件を満たしていると認めたものについて貸し付け、事業の完成状況、事業費の支払状況等によって貸付金の使途などを確認することとしており、また、金融機関に委託して貸付けを行う場合は、受託金融機関が借入申込書類を審査した後、事業団が重ねて審査して所定の条件を満たしていると認めたものについて貸付決定し、受託金融機関を通じて貸し付けるもので、事業実施の確認については、事業団による直接の貸付けの場合に準じて、受託金融機関が行うこととなっている。

 しかして、本院が60年中に土地取得資金等の貸付けについて調査したところ、事業団における審査及び確認が適切でなかったり、事業団の受託金融機関に対する指導監督が十分でなかったり、受託金融機関における審査及び確認が適切でなかったりしたため、上記の3貸付事業において、貸付けの目的に沿わない結果になっていて不当と認められるものが、次表のとおり、50,981,000円見受けられた。

取扱機関名 貸付先
(所在地)
貸付対象 貸付昭和年月
(貸付利率)
貸付金額 貸付金額のうち不当と認めた額

摘要

千円

千円

(土地取得資金)
(136) 社会福祉・医療事業団 社会福祉法人
(東京都港区)
土地の取得等 57.12
(年4.6%)
488,000 31,096 貸付対象外
 この貸付けは、特別養護老人ホームの移転に伴う土地2,618.18m2 及び建物の取得等に必要な資金663,490,000円の一部として488,000,000円を貸し付けたものである。しかし、上記のうち実際に同施設の用地として取得した土地は2,412.6m2 であって、このため、必要な資金は621,874,000円となり、これにより適正な貸付金額を計算すると456,904,000円となるので、本件貸付金額との差額31,096,000円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金額については、本院の注意により繰上償還の措置を執ることになった。
(新築資金)
(137) 株式会社横浜銀行
(町田支店)
医師
(相模原市在住)
診療所の新築 58.7
(年7.3%)
90,000 9,045 低額実施
 この貸付けは、診療所の新築に必要な資金126,350,000円の一部として90,000,000円を貸し付けたものである。しかし、実際は、建築工事費について13,500,000円の割戻しを受けていて、これにより適正な貸付金額を計算すると80,955,000円となるので、本件貸付金額との差額9,045,000円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金額については、本院の注意により、昭和60年10月に繰上償還の措置が執られた。
(増改築資金)
(138) 株式会社三菱銀行
(鎌倉支店)
医療法人
(鎌倉市)
病院の増改築 57.9
(年7.3%)
55,000 10,840 低額実施
 この貸付けは、病院の増改築に必要な資金69,000,000円の一部として55,000,000円を貸し付けたものである。しかし、実際に増改築に必要とした資金は55,200,000円であって、これにより適正な貸付金額を計算すると44,160,000円となるので,本件貸付金額との差額10,840,000円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金額については、本院の注意により、昭和60年10月に繰上償還の措置が執られた。
633,000 50,981