会計名及び科目 | 一般会計(組織)農林水産本省 | (項)農業構造改善対策費 (項)農蚕園芸振興費 (項)水田利用再編対策費 (項)畜産振興費 |
部局等の名称 | 農林水産本省、東北、東海、九州各農政局、兵庫県 | |
補助の根拠 | 予算補助 | |
事業主体 | 町1、その他44、計45事業主体 | |
補助事業 | 肉畜及鶏卵価格安定対策事業等6事業 | |
上記に対する国庫補助金交付額の合計 | 803,734,136円 |
上記の6補助事業において、補助の対象とは認められないものがあったり、事業の計画が適切でないものがあったりなどしていて、国庫補助金24,662,686円が不当と認められる。これを道県別に掲げると別表 のとおりである。
(説明)
農林水産省所管の補助事業は、地方公共団体等が事業主体となって実施するもので、同省ではこれらの事業主体に対して事業に要する費用について直接又は間接に補助金を交付している。
しかして、これらの補助事業の実施及び経理について検査したところ、前記の45事業主体が実施した畜産総合対策事業、農業構造改善事業等の6事業において補助の対象とは認められないものがあったり、事業の計画が適切でないものがあったりなどしていた。いま、これらについて不当の態様別に示すと次のとおりである。
補助の対象とは認められないもの | ||||
3事業 | 不当と認めた国庫補助金 | 16,593,686円 | ||
事業の計画が適切でないもの | ||||
2事業 | 不当と認めた国庫補助金 | 4,865,000円 | ||
補助の目的を達していないもの | ||||
1事業 | 不当と認めた国庫補助金 | 3,204,000円 |
道県名 | 事業 | 事業主体 (所在地) |
事業費 | 左に対する国庫補助金 | 不当と認めた事業費 | 不当と認めた国庫補助金 | 摘要 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(27) | 北海道 | 肉畜及鶏卵価格安定対策事業(生産者補助金交付準備金の造成) | 社団法人北海道畜産物価格安定基金協会(札幌市) | 379,913 | 189,956 | 3,602 | 1,801 | 補助の対象外 |
この事業は、昭和59、60両年度の補助事業として、肉用牛生産農家の経営の安定を図るため、農家所有の肉専用種繁殖雌牛が生産した肉用子牛の価格の異常な下落に対して上記協会が農家に交付する生産者補給金の財源となる交付準備金を造成するもので、これに対し国庫補助金189,956,800円(59年度104,816,800円、60年度85,140,000円)を交付したものである。 しかし、上記交付準備金の造成の対象とした繁殖雌牛のうちには、農家でない者から飼養の委託を受けていた119頭(59年度93頭、60年度26頭)が含まれており、これについては本事業の対象とならず、この分の交付準備金は造成の要がなかったもので、これに係る国庫補助金1,801,184円(59年度1,407,648円、60年度393,536円)は交付の要がなかったものである。 |
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(28) | 秋田県 | 農業構造改善事業(育苗施設の措置) | 東槻育苗生産組合(平鹿郡雄物川町) | 6,409 | 3,204 | 6,409 | 3,204 | 補助目的の不達成 |
この事業は、昭和56年度補助事業として、水田利用再編対策における転作作物の定着化を図るため、西瓜(すいか)苗を生産者に対して安定供給する共同利用施設として育苗施設1棟192m2
を事業費6,409,000円で設置したものである。 しかし、実際は、上記組合を構成する3名の農業者が施設設置後9箇月間共同利用しただけで、その後はこのうちの1名が事業費の事業主体負担分を負担し、上記施設を専用していて、共同利用のために設置した補助の目的を達していない。 |
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(29) | 岐阜県 | 地域農業生産総合振興推進事業(コンバインの導入) | 北部第1機械化営農組合(不破郡垂井町) | 4,750 | 2,375 | 4,750 | 2,375 | 事業の計画不適切 |
この事業は、昭和57年度補助事業として、水田利用再編対策の一環として転作のより一層の定着、推進を図るため、コンバイン1台を事業費4,750,000円で導入したものである。 しかして、上記組合が58年1月、補助申請に当たり策定した事業実施計画によると、57年度の麦の作付面積を45haとし、岐阜県が高性能農業機械導入計画で定めているコンバイン1台当たりの利用規模の下限値(注) 9haに基づき、上記作付面積に必要なコンバインの台数を5台と算定し、これから第2次農業構造改善事業で導入していたコンバイン4台(53年度及び55年度各2台)を差し引いて、導入に必要な台数を1台と算定していた。 しかし、同組合の56、57両年度の麦の作付面積の実績はそれぞれ26.09ha、23.09haにすぎず、このことは上記事業実施計画策定時には判明していたのであるから、この実績に基づいてコンバインの必要台数を算定すべきであったと認められ、これによれば、既に導入されているコンバインで必要台数を満たしており、本件コンバインは導入の要がなかったものである。 (注) 下限値 農業機械の導入を効果的に行うため、都道府県知事が土地条件等を考慮して、機械の種類別に定めた1台当たりの最小利用規模(面積) |
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(30) | 同 | 農蚕園芸振興事業推進事業(コンバインの導入) | 北部第2機械化営農組合(不破郡垂井町) | 4,980 | 2,490 | 4,980 | 2,490 | 事業の計画不適切 |
この事業は、昭和58年度補助事業として、水田利用再編対策の一環として転作のより一層の定着、推進を図るため、コンバイン1台を事業費4,980,000円で導入したものである。 しかして、上記組合が59年1月、補助申請に当たり策定した事業実施計画によると、58年度の麦の作付面積を45haとし、このうちの9.6ha分についてコンバインの導入が必要であるとして、岐阜県が高性能農業機械導入計画で定めているコンバイン1台当たりの利用規模の下限値9haに基づき、導入に必要な台数を1台としたものである。 しかし、同組合の57、58両年度の麦の作付面積の実績はそれぞれ18.70ha、22.81haにすぎず、また、同組合では第2次農業構造改善事業でコンバイン4台(53年度及び54年度各1台、55年度2台)を導入しており、これらのことは上記事業実施計画策定時には判明していたのであるから、これらに基づいてコンバインの必要台数を算定すべきであったと認められ、これによれば、既に導入されているコンバインで必要台数を満たしており、本件コンバインは導入の要がなかったものである。 |
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(31) | 兵庫県 | 水田利用再編対策事業(水稲の作付転換) | 農業者40名(加東郡社町) | 4,572 | 4,572 | 2,289 | 2,289 | 補助の対象外 |
この事業は、昭和60年度補助事業として、水田における転作の定着化を図るなどのため、農業者40名に対し、作付け可能な水田114,546m2
に飼料作物等を作付けしたとして水田利用再編奨励補助金4,572,336円を交付したものである。 しかし、上記の水田のうち55,833m2 は、社町喜田地区土地区画整理組合が、土地区画整理事業により宅地を造成するため切土、盛土等の工事を施行するなどしていて60年度における水稲の作付けが不可能であったのであるから、補助の対象とは認められないものであり、これに係る国庫補助金2,289,153円は交付の要がなかったものである。 |
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(32) | 鹿児島県 | 畜産総合対策事業(食肉流通施設の設置) | 曾於郡志布志町 | 1,803,410 | 601,136 | 37,512 | 12,503 | 補助の対象外 |
この事業は、昭和59、60両年度の補助事業として、食肉流通の合理化及び食肉取引の近代化を図るため、食肉流通施設(部分肉処理加工施設等延べ6,781m2
及び関連設備)を事業費1,803,410,000円(59年度17,000,000円、60年度1,786,410,000円)で設置したものである。 しかし、上記施設のうちには、補助の対象とならない食堂施設、守衛棟等延べ213m2 及び門柵・フェンス等が含まれており、これらに係る国庫補助金12,503,349円(59年度117,399円、60年度12,385,950円)は交付の要がなかったものである。 |
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計 | 2,204,034 | 803,734 | 59,542 | 24,662 |