会計名及び科目 | (1) 農林水産省 | |
一般会計 (部)雑収入 | (款)国有財産利用収入 | |
(項)国有財産貸付収入 | ||
(2) 蚕糸砂糖類価格安定事業団 | ||
(特別勘定) | (款)生糸売買事業費 | |
部局等の名称 | (1) 農林水産省 | |
(2) 蚕糸砂糖類価格安定事業団 | ||
概要 | 蚕糸砂糖類価格安定事業団が生糸寄託契約を締結している倉庫会社に対する行政財産の使用許可 | |
対象金額 | (1) 国有財産貸付収入 | 15,110,867円(昭和60年度) |
(2) 支払保管料 | 149,651,626円(昭和60事業年度) |
上記生糸の保管に当たって、農林水産省が、行政財産である倉庫を直接、蚕糸砂糖類価格安定事業団に対し使用許可していなかったため、生糸の保管料約1億1000万円が不経済になっていると認められた。
このような事態を生じているのは、農林水産省において、繭及び生糸の価格安定を目的として同事業団に保有させている生糸の保管に要する経費の節減を図る配慮を欠いたことによるもので、行政財産の使用許可を適切に行う要があると認められた。
上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。
(説明)
農林水産省では、繭糸価格安定法(昭和26年法律第310号。以下「安定法」という。)に基づき、繭及び生糸の価格安定を図るため、生糸の売買業務等を蚕糸砂糖類価格安定事業団(以下「事業団」という。)に行わせている。そして、事業団では、その業務の一環として生糸を保有しているが、昭和53事業年度末に51,934俵であった事業団の生糸の在庫は、その後急激な生糸需要の減退により糸価が低迷し、糸価支持のための買入れ等を行ったことによって54、55両事業年度で急増し、60事業年度末には、152,191俵となっている。そして、生糸の需給の現状からみて、事業団では、これを当分の間なお多量に保有せざるを得ない状況となっている。
しかして、事業団では、上記の保有生糸を倉庫会社5社に寄託していて、このうち1会社についてその寄託状況を調査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
すなわち、この会社が事業団の生糸を保管している倉庫5棟のうち1棟の敷地(1,395.42m2
)及び建物(延べ4,653.71m2
)は、農林水産省が使用許可を行った行政財産であって、この会社は、その60年度分使用料として農林水産省に1511万余円を支払っており、他方、事業団ではこの会社に対し、この倉庫に係る生糸の保管料として60事業年度中に1億4965万余円を支払っている。
しかしながら、安定法に基づいて農林水産省が事業団に行わせている生糸の保有は、繭及び生糸の価格を安定させるという行政の一環として行われるものであり、また、この会社に上記倉庫の使用を許可するに当たっては、使用許可の期間を1年とし、国が必要とするときはその取消しをすることができる旨の条件を付しているのであるから、事業団に対し直接上記倉庫の使用を許可しても何ら支障はないものと認められた。そして、事業団は、これまでの寄託に代えて、保有する生糸を上記倉庫に保管して倉庫及び生糸の管理を委託して委託費を支払うこととすれば、保管に要する経費を節減できるものと認められた。 いま、仮に事業団に上記倉庫(保管能力16,580俵)の使用を許可してその保管能力相当分の生糸を保管させたとすれば、その保管に要する経費は、倉庫の使用料、委託費等計約7000万円となり、同量の生糸をこれまでのようにこの会社に寄託する場合の保管料約1億8000万円に比べて約1億1000万円節減することができると認められた。
このような事態を生じているのは、農林水産省において、事業団の保有する生糸の保管に要する経費の節減を図る配慮を欠いたことによると認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、農林水産省では、61年4月に、行政財産である倉庫の使用を直接事業団に対して許可し、事業団がその管理を倉庫会社に委託する処置を講じた。