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  • 昭和60年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第7 通商産業省|
  • 不当事項|
  • 補助金

中小企業設備近代化資金の貸付けが不当と認められるもの


(33)-(43) 中小企業設備近代化資金の貸付けが不当と認められるもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)中小企業庁 (項)中小企業対策費
部局等の名称 札幌、東京、大阪、福岡各通商産業局
助成の根拠 中小企業近代化資金等助成法(昭和31年法律第115号)
事業主体 北海道ほか7府県
事業の内容 中小企業者に無利子で貸し付ける設備近代化資金の貸付け
貸付先 11中小企業者
貸付額の合計 116,910,000円(国庫補助金相当額58,455,000円)

 上記の11中小企業者に対する116,910,000円の貸付けにおいて、68,444,785円の貸付けが不当と認められ、ひいては国庫補助金相当額34,222,392円が補助の目的に沿わない結果になっていると認められる。これを道府県別に掲げると別表 のとおりである。

(説明)

 この事業は、都道府県が、国の補助金と自己資金等によって資金を造成し、設備の近代化に必要な資金の調達が困難な中小企業者に対して、設備の設置に必要と認めた資金の額の2分の1以内を無利子で貸し付ける事業で、その貸付限度額は原則として20万円以上1500万円以下、償還期間は5年以内となっている。そして、貸付けに当たっては、設備代金のうち貸付金相当額については貸付年度中(ただし、年度末の3月から翌年度の5月までに資金を交付した場合は交付後1箇月以内)に支払うことなどが条件となっている。
 しかして、この事業の実施について調査したところ、前記の11中小企業者に対する116,910,000円の貸付けにおいて、借主が、設備を貸付対象事業費より低額で設置したり、リース契約により賃借したりしていたなどのため、68,444,785円の貸付けが不当と認められ、ひいては国庫補助金相当額34,222,392円が補助の目的に沿わない結果になっていると認められる。

(別表)

道府県名 貸付先 貸付対象 貸付昭和年月 貸付対象事業費
(同上に対する貸付額)
貸付対象として適切でない事業費
(同上に対する貸付金相当額)
補助の目的に沿わない結果になった国庫補助金相当額 摘要
千円 千円 千円
(33) 北海道 製綿業者 梳(りゅう)綿機ほか3 59.12 10,000
(5,000)
4,810
(2,405)
1,202 低額設置
 この貸付けは、梳(りゅう)綿機ほか3設備の所要資金10,510,000円(うち貸付対象事業費分10,000,000円)の一部として貸し付けたもので、借主は、10,510,000円で設備を設置したとしているが、実際は、これより低額な5,440,000円(うち貸付対象事業費5,190,000円)で設置していた。
 したがって、適切な貸付額は2,595,000円となり、本件貸付額5,000,000円との差額2,405,000円が過大な貸付けとなっている。
(34) 茨城県 工具製造業者 金属工作機械 59.1 32,000
(14,976)
7,440
(2,696)
1,348 低額設置
 この貸付けは、金属工作機械(NCフライス盤及びタレット型立フライス盤)2台の所要資金32,000,000円の一部として貸し付けたもので、借主は、貸付対象事業費どおりの額で設備を設置したとしているが、実際は、これより低額な24,560,000円で設置していた。
 したがって、適切な貸付額は12,280,000円となり、本件貸付額14,976,000円との差額2,696,000円が過大な貸付けとなっている。
(35)  同 表面処理業者 塗装装置 59.11 25,781
(12,864)
9,281
(4,614)
2,307 低額設置
 この貸付けは、塗装装置一式の所要資金27,569,400円(うち貸付対象事業費分25,781,000円)の一部として貸し付けたもので、借主は、27,569,400円で設備を設置したとしているが、この額は契約額を水増ししたもので、実際は16,500,000円(貸付対象事業費同額)で設置していた。
 したがって、適切な貸付額は8,250,000円となり、本件貸付額12,864,000円との差額4,614,000円が過大な貸付けとなっている。
(36) 千葉県 食料品製造業者 急速凍結装置 59.3 19,084
(9,540)
10,978
(5,487)
2,743 低額設置
 この貸付けは、急速凍結装置一式の所要資金21,564,000円(うち貸付対象事業費分19,084,000円)の一部として貸し付けたもので、借主は、21,564,000円で設備を設置したとしているが、実際は、これより低額な9,200,000円(うち貸付対象事業費8,105,077円)で設置していた。
 したがって、適切な貸付額は4,052,538円となり、本件貸付額9,540,000円との差額5,487,462円が過大な貸付けとなっている。
(37)  同 建設業者 掘削機 59.11 16,950
(8,000)
8,950
(4,000)
2,000 低額設置
 この貸付けは、掘削機1台の所要資金16,950,000円の一部として貸し付けたもので、借主は、貸付対象事業費どおりの額で設備を設置したとしているが、実際は、値引きにより8,000,000円で設置していた。
したがって、適切な貸付額は4,000,000円となり、本件貸付額8,000,000円との差額4,000,000円が過大な貸付けとなっている。
(38) 長野県 通信機械器具製造業者 静電塗装装置 59.3 28,000
(13,000)
28,000
(13,000)
6,500 支払条件違反
 この貸付けは、静電塗装装置一式の所要資金28,000,000円の一部として貸し付けたもので、借主は、貸付対象事業費どおりの額で設備を設置し、その代金のうち貸付金相当額13,000,000円を昭和58年11月までに支払ったとしているが、実際は、所定の期限までに全く支払っていなかったので、本件設備は貸付対象にならないものである。
 なお、借主は本件設備の一部の設置を取り止めるなどしていた。
(39)  同 建設業者 トラクタ 60.11 20,150
(9,700)
5,150
(2,200)
1,100 低額設置
 この貸付けは、トラクタ1台の所要資金20,150,000円の一部として貸し付けたもので、借主は、貸付対象事業費どおりの額で設備を設置したとしているが、この額は契約額を水増ししたもので、実際は15,000,000円で設置していた。
 したがって、適切な貸付額は7,500,000円となり、本件貸付額9,700,000円との差額2,200,000円が過大な貸付けとなっている。
(40) 京都府 電気機械器具製造業者 金属工作機械 60.1 31,410
(15,000)
11,834
(5,212)
2,606 低額設置
 この貸付けは、金属工作機械(立形マシニングセンター)1台の所要資金31,610,000円(うち貸付対象事業費分31,410,000円)の一部として貸し付けたもので、借主は、31,610,000円で設備を設置したとしているが、実際は、値引きにより19,700,000円(うち貸付対象事業費19,575,355円)で設置していた。
 したがって、適切な貸付額は9,787,677円となり、本件貸付額15,000,000円との差額5,212,323円が過大な貸付けとなっている。
(41) 奈良県 小売業者 周辺端末装置 60.3 17,390
(7,830)
17,390
(7,830)
3,915 貸付対象外

 この貸付けは、周辺端末装置(スキャニングPOSシステムほか1設備)の所要資金20,458,000円(うち貸付対象事業費分17,390,000円)の一部として貸し付けたもので、借主は、20,458,000円で設備を購入したとしているが、実際は、リース契約により賃借していたので、本件設備は貸付対象にならないものである。

(42) 宮崎県 食料品製造業者 自動包装機ほか3 59.12 27,000
(13,500)
27,000
(13,500)
6,750 貸付対象外
 この貸付けは、自動包装機1台ほか3設備の所要資金27,000,000円の一部として貸し付けたもので、借主は、貸付対象事業費どおりの額で設備を購入したとしているが、実際は、リース契約により賃借していたので、本件設備は貸付対象にならないものである。
(43) 鹿児島県 建設業者 トラクタ 60.1 15,000
(7,500)
15,000
(7,500)
3,750 支払条件違反
 この貸付けは、トラクタ1台の所要資金16,753,600円(うち貸付対象事業費分15,000,000円)の一部として貸し付けたもので、借主は、16,753,600円で設備を設置し、その代金のうち貸付金相当額7,500,000円を昭和60年1月までに支払ったとしているが、実際は、その設置は長期の割賦販売契約(59年5月から62年4月まで36回払い)によるものであって、貸付金相当額は所定の期限までにその一部しか支払われていなかったので、本件設備は貸付対象にならないものである。
242,765
(116,910)
145,834
(68,444)
34,222