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  • 昭和60年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第8 運輸省|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

空気調和設備の保守業務の仕様を適切なものに改善させたもの


空気調和設備の保守業務の仕様を適切なものに改善させたもの

会計名及び科目 空港整備特別会計 (項)空港等維持運営費
部局等の名称 東京航空局千歳、釧路、仙台、東京、新潟各空港事務所及び帯広、秋田両空港出張所
契約名 帯広空港出張所庁舎空気調和設備保守ほか36契約
契約の概要 帯広空港出張所ほか6空港出張所における一般庁舎用の空気調和設備の保守
契約の相手方 帯広ビル管理株式会社ほか7会社
契約金額 (1) 昭和59年度 21,514,000円
(2) 昭和60年度 23,377,000円
(3) 昭和61年度 14,659,000円(61年4月から同年6月までの分)
59,550,000円

 上記の各契約において、空気調和設備の保守業務の仕様が適切でなかったため、保守費が約3220万円不経済となっていた。
 このように、保守費が不経済となっていたのは、保守業務の内容を定める仕様において、空気調和設備の品質及び性能の向上により保守業務が容易になってきているのにこれを考慮せずに保守業務時間を定めていたり、空気調和を必要としない温暖な期間についても保守業務の期間に含めたりしていたことによるもので、仕様を適切なものに改める要があると認められた。

 上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。

(説明)

 運輸省では、航空交通管制部、空港事務所、空港出張所等に電子計算機、無線機器及び一般庁舎用の空気調和設備を多数設置しており、これらの設備の日常保守等は、各部所の職員が直接に、又は外部に請け負わせて実施しているが、このうち、東京航空局管内において一般庁舎用の空気調和設備(以下「空調設備」という。)の日常保守等を外部に請け負わせている帯広空港出張所ほか6空港出張所(注1) の保守費について調査したところ、次のとおり適切でないと認められる事態が見受けられた。

 すなわち、上記の日常保守等の業務は、一般庁舎に設置しているボイラ、チリングユニット(注2) 、エアハンドリングユニット(注3) 等の空調設備について、〔1〕 操作、運転、計測等を行う日常保守、〔2〕 周期的に点検、手入れ、測定等を行う定期保守、〔3〕 緊急発生時に行う応急作業の各業務(以下これらを「保守業務」という。)からなっており、各空港出張所では、それぞれの仕様において、保守員数、1日当たりの保守業務時間、年間の保守業務期間等を定めているが、これによれば、保守員1人が常駐して保守業務に従事すること、1日当たりの保守業務時間は空港ごとの運用時間に基づき8時間から12時間とすること、年間の保守業務期間は延べ8箇月から12箇月とすることなどとなっている。そして、保守費の積算に当たっては、保守員の1時間当たりの労務単価に保守業務時間及び日数を乗じて算出した労務費に諸経費を加算するなどして、昭和59年度から61年度までの3箇年度分の総額6712万余円と算定し、その契約額を5955万円(59年度2151万余円、60年度2337万余円、61年度1465万余円)としていた。

 しかしながら、

(1) 1日当たりの保守業務時間についてみると、近年、〔1〕 チリングユニツトの圧縮機の構造が開放型から密閉型になったり、空調設備の制御部が電気式から電子式になったり、現場で組み立てられていた機器がほとんど工場で組み立てられるまでに製品化されたりなどして、空調設備を構成する機器の信頼性が向上したこと、〔2〕 主要な機器を機械室に設置し、ここから空気と冷温水を各室に送って冷暖房を行う方式が採用されてきていて、保守の作業はほとんど機械室で集中して行うことが可能となり、また、機器の操作も自動化されたことなどから、法律により稼働時間中監視を義務づけられている一定規模以上のボイラ(以下「要監視ボイラ」という。)以外の機器については、空港の運用時間中常駐して保守業務を行う必要がなく、これら空調設備の保守業務時間としては、大阪航空局管内の空港出張所の事例などからみて、1日当たり4時間程度で足りると認められた。

(2) 年間の保守業務期間についてみると、温暖な期間までも含めているものがあるが、この期間は空気調和を必要とせず、空調設備を稼働させる要がないことから、保守業務契約の対象から除外するのが適切であると認められた。
 したがって、本件保守業務の契約に当たっては、1日当たりの保守業務時間について、要監視ボイラを設置していない空港出張所は4時間、要監視ボイラを設置している空港出張所は、ボイラ稼働期間は空港の運用時間に前後15分(始業前の準備、終業後の点検に要する時分)を加えた時間、それ以外の期間は原則として4時間とし、また、年間の保守業務期間について、北海道所在の空港出張所は温暖な期間2箇月を除く10箇月、その他の空港出張所は同4箇月を除く8箇月とする仕様に改め、これにより保守費を積算のうえ契約するのが適切であると認められた。
 いま、仮に上記により積算額を修正計算すると、総額2731万余円となり、本件契約額は約3220万円(59年度約940万円、60年度約1370万円、61年度約900万円)節減できたと認められる。

 上記についての本院の指摘に基づき、東京航空局では、61年10月に指示文書を発し、空調設備に係る保守業務の内容を定める仕様を適切なものに改め、同年11月以降契約を締結するものから適用することとする処置を講じた。

 (注1)  帯広空港出張所ほか6空港出張所 帯広、旭川、女満別、花巻、秋田、山形、八丈島各空港出張所

 (注2)  チリングユニット 圧縮機、電動機、凝縮器及び冷水蒸発器を組み合わせたユニットで、冷水を作るもの

 (注3)  エアハンドリングユニット 送風機、空気ろ過器、冷却器、加熱器、加湿器などを組み合わせたユニットで、冷温水をもとに空気の温湿を調整し送風するもの