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  • 昭和60年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第9 郵政省|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

郵便局用端末機の保守業務における保守費の積算を業務の実態に適合するよう改善させたもの


郵便局用端末機の保守業務における保守費の積算を業務の実態に適合するよう改善させたもの

会計名及び科目 郵政事業特別会計(項)業務費
部局等の名称 東京、関東、信越、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、東北、北海道各郵政局及び沖縄郵政管理事務所
契約名 郵便局用端末機(簡易保険用)等保守請負契約
契約の概要 普通郵便局等に設置する端末機の保守(定期点検及び故障修理)
契約の相手方 日本電子総合サービス株式会社
契約 昭和60年4月 随意契約
支払額 1,148,398,400円

 上記保守契約において、保守費の積算が適切でなかったため、積算額が約3600万円過大となっていた。
 このように積算額が過大となっているのは、故障修理等による部品の使用実績等を把握してこれを部品在庫所要量の算定に反映させることとしていなかったため、これに係る部品金利負担費が過大となっていたことによるもので、部品の使用実態に即した部品在庫所要量を算出し、これに要する部品金利負担費を積算する要があると認められた。

 上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。

(説明)

 郵政省では、簡易保険及び郵便年金の業務に係る保険料の収納、保険金の支払等の事務をオンラインシステムにより処理するため、普通郵便局等に郵便局用端末機(以下「端末機」という。)1型(以下「1型」という。)及び同2型(以下「2型」という。)を設置しているが、これら端末機の保守業務は東京郵政局ほか10郵政局及び沖縄郵政管理事務所(以下「郵政局等」という。)がそれぞれ前記の保守請負会社に請け負わせて実施している。そして、昭和60年度に保守の対象とした端末機1型1,183台、2型3,797台、計4,980台の保守費について検査したところ、次のとおり、積算が適切でないと認められる点が見受けられた。
 すなわち、上記の保守業務は、定期点検と故障修理からなっており、この保守費の積算に当たっては、郵政局等は、郵政省簡易保険局が定めた定期点検(故障修理を含む。)1台1回当たりの保守単価に基づいて年間保守費を1,148,398,400円と算出していた。そして、端末機の故障修理は特段の理由がある場合を除き通報に応じて即日実施させることとしているので、保守請負会社は故障修理等に使用する部品をあらかじめ調達して在庫しておく必要があり、このため、この保守単価には部品在庫の確保に必要な資金に対する利子費用として部品金利負担費が計上されており、年間保守費のうち部品金利負担費の総額は68,523,680円となっていた。

 しかして、郵政局等では、部品を保守請負会社の営業所等の保守拠点に配備するものとして、部品在庫所要量を、1型については、部品407点各1個を1セットとして、計106セット(部品数計43,142個)、2型については、部品65点各1個を1セットとして、計195セット(同12,675個)等と見込み、これらにそれぞれの部品価格を乗じて部品在庫所要額を計1,118,174,131円とし、これに基づいて年間の部品金利負担費の総額を算出していた。
 しかしながら、部品の使用実態について調査したところ、60年度における部品の使用実績は、1型407点のうち124点1,169個、2型65点のうち32点780個、計156点1,949個であって、これは部品在庫総所要量472点55,817個の3.5%にすぎず、また、1型の58年度から60年度までの3箇年度、2型の59年度及び60年度における部品の使用状況についてみても、全く使用の実績がないものが1型で253点、2型で31点にのぼっており、使用実績が10個以下のものが1型で86点、2型で16点あった。また、各保守拠点により保守対象端末機の台数は異なるのに、それにかかわりなく保守拠点に網羅的に部品を配備することとしていた。

 このように、部品の使用実績が部品在庫所要量を著しく下回っていたり、各保守拠点により保守対象端末機の台数は異なっていたりしているのに、これらの実態を十分考慮することなく部品のセットを保守拠点に網羅的に配備することとして部品在庫所要量を見込み、これにより算出した部品在庫所要額に基づいて部品金利負担費を算出しているのは適切とは認められない。
 いま、仮に、普通郵便局等の端末機を支障なく運用するために当面必要と認められる部品在庫所要量を、部品の使用実績及び部品1セット当たりの保守対象端末機の台数等を勘案して、1型については郵政局等単位に、2型については都道府県単位に部品をセット単位で配備することとして算定すると、1型は26セット、2型は99セット等となり、これにより部品在庫所要額を算出すると計436,109、235円、部品金利負担費の総額は32,228,472円となり、年間保守費を約3600万円低減できたと認められた。

 上記についての本院の指摘に基づき、郵政省では、61年10月に、部品の使用実態に即した部品在庫所要量を見込み、これに基づいて保守単価を改定することとし、その旨を郵政局等に周知し、次期契約改定期からこれを適用することとする処置を講じた。