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  • 昭和60年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
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  • 保険給付

雇用保険の失業給付金の支給が適正でなかったもの


(72) 雇用保険の失業給付金の支給が適正でなかったもの

会計名及び科目 労働保険特別会計(雇用勘定) (項)失業給付費
部局等の名称 北海道ほか25都府県(支給庁)
札幌公共職業安定所ほか208公共職業安定所(支給決定庁)
支給の相手方 648人
失業給付金の支給額の合計 305,033,748円

 上記の648人に失業給付金(基本手当及び再就職手当)305,033,748円を支給しているが、支給決定に当たって申告等に対する調査確認が十分でなかったため、131,346,296円(基本手当83,756,096円、再就職手当47,590,200円)が不適正に支給されていた。これらについては、本院の注意により、すべて返還の処置が執られた。これを都道府県ごとに集計して掲げると別表のとおりである。
 これは、北海道ほか25都府県(支給決定庁札幌公共職業安定所ほか257公共職業安定所)において失業給付金の支給を受けた者のうち、再就職した者22,247人について本院が調査した結果である。

(説明)

 雇用保険は、原則としてすべての雇用労働者を被保険者とし、被保険者が失業したときにその生活の安定を図るなどのため失業給付金の給付を行うほか、雇用安定事業、雇用改善事業等により特定求職者雇用開発助成金、定年延長奨励金の給付等を行う保険である。そして、失業給付金には、基本手当、再就職手当のほか9種の手当等があり、このうち、

ア 基本手当は、受給資格者(注) が失業している日について所定給付日数を限度として支給するもので、公共職業安定所が、受給資格者から提出された失業認定申告書に記載されている就職、就労の有無等の事実について確認のうえ失業の認定を行って支給を決定し、

イ 再就職手当は、受給資格者が基本手当の所定給付日数の2分の1以上を残して安定した職業に就いた場合に支給するもので、公共職業安定所が、受給資格者から提出された再就職手当支給申請書に記載されている雇入れ年月日等について調査確認を行って支給を決定し、

いずれもこれに基づいて、各都道府県が支給することとなっている。
 しかして、失業給付金の支給決定の適否について検査したところ、前記の258公共職業安定所のうち、

ア 基本手当については、札幌公共職業安定所ほか208公共職業安定所において、受給者が誠実でなく、再就職していながらこれを失業認定申告書に記載していないなど申告書の内容が事実と相違していたものがあったのに、申告書に対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行ったため、これに基づいて支給した基本手当が、北海道ほか25都府県で、本院が調査した受給者18,849人分の給付のうち646人分257,443,548円について83,756,096円、

イ 再就職手当については、札幌公共職業安定所ほか107公共職業安定所において、受給者が誠実でなかったなどして、再就職手当支給申請書に事実と相違した雇用年月日を記載していたものがあったのに、申請書に対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行ったため、これに基づいて支給した再就職手当が、北海道ほか23都府県で、本院が調査した受給者4,810人分の給付のうち180人分47,590、200円、それぞれ不適正に支給されていた。

 (注)  受給資格者 事業所を管轄する公共職業安定所が事業主から提出された離職証明書に基づいて離職票を作成して離職した被保険者に交付し、その被保険者はこれを居住地の公共職業安定所に提出し、原則として離職日以前1年間に被保険者期間が通算して6箇月以上あり、かつ、労働の意思及び能力があるにもかかわらず職業に就くことができない状態にあることなどの認定を受けることになっており、この認定を受けた者が受給資格者である。

(別表)

都道府県名 公共職業安定所 本院が調査した受給者数 不適正受給者数 左の受給者に支給した失業給付金 左のうち不適正失業給付金
北海道 札幌ほか14
1,695

67
千円
27,070
千円
8,694
札幌ほか7 246 15 4,091 4,091
小計 31,161 12,786
秋田県 秋田ほか7 650 31 12,885 3,366
大館ほか3 109 6 1,016 1,016
小計 13,901 4,382
山形県 山形ほか6 690 28 13,339 2,859
長井ほか1 44 3 783 783
小計 14,123 3,643
群馬県 高崎ほか8 724 28 9,135 2,267
桐生ほか4 193 9 2,165 2,165
小計 11,300 4,432
埼玉県 川口ほか5 622 22 7,743 2,620
川口ほか4 402 12 4,035 4,035
小計 11,779 6,655
千葉県 千葉ほか6 617 14 5,026 2,373
木更津 46 1 224 224
小計 5,250 2,597
東京都 飯田橋ほか11 1,249 35 12,514 6,206
上野ほか7 424 13 2,846 2,846
小計 15,360 9,053
神奈川県 横浜ほか12 1,260 30 10,485 4,172
相模原ほか4 231 7 1,946 1,946
小計 12,431 6,118
新潟県 新潟ほか9 764 29 6,072 1,842
新潟ほか3 170 6 1,232 1,232
小計 7,305 3,075
富山県 富山ほか6 633 16 6,841 2,367
富山ほか3 127 6 1,727 1,727
小計 8,568 4,094
石川県 金沢ほか4 378 10 6,102 1,267
- - - -
小計 6,102 1,267
山梨県 甲府ほか5 340 13 3,467 1,283
甲府 65 1 156 156
小計 3,623 1,439
静岡県 静岡ほか8 707 28 11,458 4,133
静岡ほか5 207 8 2,671 2,671
小計 14,129 6,805
愛知県 名古屋東ほか9 942 39 15,144 4,353
名古屋東ほか6 378 19 4,978 4,978
小計 20,123 9,332
大阪府 大阪東ほか12 1,022 23 10,548 2,336
大阪東ほか6 360 8 1,914 1,914
小計 12,463 4,251
兵庫県 神戸ほか6 704 14 4,921 1,552
神戸ほか5 373 6 1,325 1,325
小計 6,246 2,877
奈良県 奈良ほか4 459 25 10,865 4,527
奈良ほか4 259 13 3,994 3,994
小計 14,859 8,522
鳥取県 鳥取ほか3 401 15 7,090 1,153
鳥取 33 1 95 95
小計 7,186 1,248
岡山県 岡山ほか8 798 31 12,035 3,292
岡山ほか4 224 9 2,736 2,736
小計 14,772 6,029
広島県 広島ほか10 835 20 8,072 4,706
広島ほか9 473 13 3,709 3,709
小計 11,781 8,415
香川県 高松ほか3 330 13 5,098 2,312
高松ほか1 98 6 1,462 1,462
小計 6,561 3,775
高知県 高知ほか4 550 26 15,472 5,440
- - - -
小計 15,472 5,440
福岡県 飯塚ほか10 1,041 29 11,772 3,823
飯塚ほか6 312 13 3,367 3,367
小計 15,139 7,191
長崎県 諌早ほか5 484 32 12,491 4,482
大村ほか2 3 3 496 496
小計 12,987 4,978
大分県 中津ほか5 530 16 5,870 1,045
三重 20 1 198 198
小計 6,068 1,243
宮崎県 宮崎ほか3 424 12 5,916 1,272
延岡 13 1 415 415
小計 6,332 1,688
合計 209箇所 18,849 646 257,443 83,756
108箇所 4,810 180 47,590 47,590
 計 305,033 131,346

 (注1) 上段は基本手当に係る分、下段は再就職手当に係る分である。

 (注2) 不適正受給者のうち基本手当と再就職手当の双方に係る者が178人おり、したがって、不適正受給の実人員は648人である。