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  • 昭和60年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第1 日本国有鉄道|
  • 不当事項|
  • 工事

プレストレストコンクリート単純けたの製作架設工事の施行に当たり、工場製作費の積算が適切でなかったため、契約額が割高になったもの


 (80) プレストレストコンクリート単純けたの製作架設工事の施行に当たり、工場製作費の積算が適切でなかったため、契約額が割高になったもの

科目 (工事勘定) (項)基幹施設整備費 (項)新幹線建設費
部局等の名称 東京第三工事局
工事名 東北幹・通赤羽北部13.3K付近PC桁製作架設その2
工事の概要 埼京線建設工事の一環として、東京起点13.3km付近の高架部分3径間に6連のプレストレストコンクリート単純けたを製作架設する工事
工事費 353,206,974円(当初契約額316,500,000円)
請負人 住友建設株式会社
契約 昭和59年12月 指名競争契約
しゅん功検査 昭和60年6月
支払 昭和60年3月、6月 2回

 この工事は、プレストレストコンクリート単純けた(以下「PC単純けた」という。)の製作架設工事のうち、工場で製作するPC単純けたの主桁ブロック製作費の積算に当たり、工場直接費で計上済みの合板型枠製作労務費を誤って工場間接費にも見込んだため、契約額が約1490万円割高になったと認められる。

(説明)

 この工事は、埼京線建設工事の一環として、東京起点13.3km付近の高架部分3径間に6連のPC単純けたを製作架設するものであって、このPC単純けたは、工場で製作した133個の主桁ブロックを現地に搬入し、5ないし7ブロックをPC鋼材で縦締めなどして主桁(1本の長さ26.2mから44.7m)21本を製作し、この主桁をそれぞれ所定の位置に架設するものである。
 しかして、この工事の予定価格の内訳のうち主桁ブロックの工場製作費については、日本国有鉄道が制定した「PCけた製作(ブロック工法)積算要領」(以下「積算要領」という。)に基づき、工場直接費と工場間接費を合計したうえ、一般管理費を加えて積算することとしていた。そして、工場直接費は、材料費、直接労務費、型枠製作費(型枠材料費4,894,781円及び合板型枠製作労務費15,296,600円)及び運送費を合算して計70,167,999円と算出し、また、工場間接費は、上記の直接労務費と合板型枠製作労務費の合計額に工場間接費率を乗じて64,332,000円と算出し、さらに、一般管理費は、工場直接費及び工場間接費に一般管理費率を乗じて13,453,000円と算出し、これらを合算するなどして主桁ブロックの工場製作費を147,710,000円と積算していた。

 しかしながら、積算要領によると、工場直接費に計上する合板型枠製作労務費は、工場間接費を見込んだものとなっているので、上記工場間接費の算出に当たって、主桁ブロック製作の直接労務費に合板型枠製作労務費を加えたのは誤りであって、直接労務費だけに工場間接費率を乗じて算出すべきであり、これによれば、主桁ブロックの工場製作費は117,660,000円となる。
 いま、仮に上記により本件工事費を修正計算すると、運送費等において積算不足となっていた14,420,000円を考慮しても、総額338,286,974円となり、本件契約額353,206,974円はこれに比べて約1490万円割高であったと認められる。