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  • 昭和60年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
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  • 工事

特別高圧ケーブル増設工事の施行に当たり、既設ケーブル移設費の積算が適切でなかったため、契約額が割高になったもの


(81) 特別高圧ケーブル増設工事の施行に当たり、既設ケーブル移設費の積算が適切でなかったため、契約額が割高になったもの

科目 (工事勘定) (項)一般施設取替改良費
部局等の名称 東京電気工事局
工事名 小岩、西船橋SS間特高ケーブル新設その1工事
工事の概要 老朽設備取替工事の一環として、総武本線小岩、西船橋両変電所間を結ぶ66KVトリプレックス形地中送電線1条延長7,116mを線路わきの既設ダクト、トラフ等内に増設する工事
工事費 77,794,169円(当初契約額77,600,000円)
請負人 新生電業株式会社
契約 昭和60年12月 指名競争契約
しゅん功検査 昭和61年3月
支払 昭和61年5月

 この工事は、特別高圧ケーブルの増設に当たり、既設ケーブルを移設する要がなかったのに、その費用を積算したため、契約額が約1930万円割高になっていると認められる。

(説明)

 この工事は、老朽設備取替工事の一環として、小岩、西船橋両変電所間を結ぶ66KVトリプレックス形地中送電線(以下「CV−Tケーブル」という。)1条延長7,116mを、総武本線小岩、西船橋間の上り線わきの既設ダクト、トラフ(以下「ダクト等」という。)等内に既設アルミ被OFケーブル(以下「OFケーブル」という。)と並行して敷設するものである。
 しかして、この工事の予定価格の積算に当たっては、OFケーブルがダクト等内の中央底部に近い位置に埋設され、しかも温度変化により蛇行していると想定して、まず、ダクト等内に充てんされた砂をOFケーブルが確認できる程度に取り出して袋詰めしたうえ仮置きし、次いでOFケーブルを掘り出し、ロープ等で仮吊りしてダクト等内の片側に移設した後、CV−T ケーブルをOFケーブルと並行して敷設し、これに保護用ポリエチレンフィルムを巻き付け、砂で埋め戻すこととして、工事費総額を78,145,843円と算定していた。

 しかしながら、本件のように幅が広い(40cmから55cm)ダクト等内にケーブルを1条敷設する場合は、将来の増設等を考慮して、ケーブルを片側に寄せて施工するものであり、また、OFケーブルは温度変化による伸縮を抑えるため砂中に埋設されているので蛇行をすることはほとんどないことから、上記のようにOFケーブルを移設することとして積算したのは適切でないと認められた。現に、本件OF及びCV−Tケーブルの敷設状況を調査したところ、OFケーブルは当初から片側に寄せて敷設されており、蛇行もしていないことが確認され、OFケーブルを移設した事実は見受けられない状況であった。
 いま、仮にOFケーブルを移設しないこととして工事費を修正計算すると総額58,410,613円となり、本件契約額77,794,169円はこれに比べて約1930万円割高になっていると認められる。