ページトップ
  • 昭和60年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第1 日本国有鉄道|
  • 不当事項|
  • 役務

新幹線電車のリネンサプライ業務費の積算に当たり、年間予定列車本数の算出を誤ったため、支払額が過大になったもの


(82) 新幹線電車のリネンサプライ業務費の積算に当たり、年間予定列車本数の算出を誤ったため、支払額が過大になったもの

科目 (損益勘定) (項)営業費
部局等の名称 新幹線総局
契約名 旅客車用品リネンサプライ請負契約
役務の概要 新幹線電車に使用するもたれカバー、ひじカバー等の提供、これらの取付け、取外し等の作業(リネンサプライ作業)を行わせるもの
契約の相手方 中央リネン・サプライ株式会社
契約 昭和60年4月 随意契約(単価契約)
支払額 2,766,526,137円
支払 昭和60年5月〜61年4月 13回

 この契約の予定価格の積算に当たり、年間予定列車本数を誤って算出したため、約4480万円が過大に支払われていると認められる。

(説明)

 この作業は、東京駅ほか4駅及び東京第一運転所ほか8運転所等の各構内(以下「作業箇所」という。)において、東海道・山陽新幹線電車に使用するもたれカバー、ひじカバー、紙コップ、石けん等の旅客車用品を提供し、これらの運搬、取付け、取外し等の整備作業を行うもので、この作業を請け負わせるに当たっては、整備作業の範囲及び列車編成の種類により、全部取替作業4種類、一部取替作業6種類に分け、それぞれ1列車当たりの単価(一部取替作業の普通車用もたれカバーは1枚当たり単価)を定めることとしている。そして、この単価の算定に当たっては、リネン料と整備料とに分け、リネン料については品目別の旅客車用品1枚又は1個について使用1回当たりの単価として、整備料については作業施行1両当たりの単価としてそれぞれ積算したうえ、これらを基に1列車当たり等の単価を全部取替作業4種類については14,957円から35,250円、一部取替作業6種類については2,239円から16,742円(普通車用もたれカバーは1枚当たり14.68円)と算定し、この単価により支払額を確定している。
 しかして、上記1列車当たり等の単価の積算内訳についてみると、次のとおりとなっている。

ア リネン料のうち洗たく加工を要するもたれカバー等の単価については、それぞれ1枚当たりの旅客車用品費、洗たく加工費、輸送仕分費(洗たく工場から作業箇所への輸送費及び作業箇所での仕分費)等を基にして1枚当たり単価を算出しているが、そのうち1枚当たりの洗たく加工費は、7洗たく工場の中で規模の大きい2工場の1日当たり洗たく加工経費の合計額をこの2工場の加工品で整備する予定の年間列車本数54,247本を基に算出した品目別の1日当たり取扱枚数で除すなどして算出し、また、1枚当たりの輸送仕分費は、7洗たく工場からの1日当たり輸送仕分費の合計額を年間予定列車本数84,976本を基に算出した1日当たり取扱枚数で除して算出している。

イ 整備料については、整備作業に直接従事する直接作業員の1列車当たり直接作業人工に、指導、監督等の間接作業に従事する間接作業員の1列車当たり間接作業人工を加えて1列車当たりの作業人工を算出し、これに労務単価を乗ずるなどして1列車当たりの単価を算出しているが、このうち、1列車当たり間接作業人工は、作業箇所における1日当たり間接作業人工を年間予定列車本数84,976本を基に算出した各作業箇所別の1日当たり整備本数で除して算出している。

 しかしながら、上記ア、イにおける年間予定列車本数について調査したところ、上記54,247本及び84,976本はコンピュータの計算機能を確認するため用いた仮データであり、適正な年間予定列車本数を実績及び列車ダイヤに基づき算出すると、それぞれ58,666本及び92,526本であるので、これらの数値を本件支払額の単価の算定に適用すべきであったと認められる。
 したがって、上記適正と認められる年間予定列車本数に基づき、リネンサプライ作業の1列車当たり等の単価を修正計算すると、全部取替作業4種類については14,826円から34,507円、一部取替作業6種類については2,214円から16,464円(普通車用もたれカバーは1枚当たり14.29円)となる。
 いま、仮に上記単価により支払額を修正計算すると2,721,660,161円となり、本件支払額はこれに比べて約4480万円が過大に支払われていると認められる。