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  • 昭和60年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
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  • 第2 住宅金融公庫|
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  • 貸付金

一般土地担保賃貸住宅建設資金等の貸付けが不当と認められるもの


(86)-(92) 一般土地担保賃貸住宅建設資金等の貸付けが不当と認められるもの

科目 (貸付金勘定) 賃貸住宅貸付
部局等の名称 札幌、仙台、名古屋、大阪、福岡各支所
貸付けの根拠 住宅金融公庫法(昭和25年法律第156号)
貸付金の種類 一般土地担保賃貸住宅建設資金、特定土地担保賃貸住宅建設資金
貸付けの内容 共同住宅を建設して賃貸する者に対する建設に要する資金の貸付け
貸付件数 7件
貸付金の合計額 1,316,700,000円

 上記の貸付けは、貸付けの目的に沿わない結果になっていて、貸付金156,500,000円が不当と認められる。これを貸付先別に掲げると別表 のとおりである。

(説明)

 住宅金融公庫(以下「公庫」という。)では、土地又は借地権を有していて当該土地に耐火建築物等の住宅を建設し賃貸する事業を行う者に対し、当該住宅の建設に必要で一般の金融機関から融通を受けることが困難な資金を、長期かつ低利の条件で貸し付けている。
 この貸付けは、公庫が借入申込書等の内容を審査して所定の条件を満たしていると認めたものに対して貸し付けるもので、公庫の算定する貸付限度額の範囲内で貸付決定を行い、事業の進捗に応じて資金を交付し、事業完了後、貸付金が適正な使途に充てられているかなどについて調査確認することとしている。
 しかして、上記の貸付け7件についてみると、借入者が誠実でなく事実と相違した内容の報告をしたこと、これに対する公庫の審査及び確認が適切でなかったことなどのため、貸付金額が過大に算定されていて貸付けが不当と認められるものが156,500,000円見受けられた。

(別表)

支所名 貸付先 貸付対象
(所在地)
貸付昭和年月
(貸付利率)
貸付金額 貸付金額のうち不当と認めた額 摘要
千円 千円

(一般土地担保賃貸住宅建設資金)

(86)

 

札幌支所 会社役員ほか2名 賃貸住宅(江別市)

61.3

130,000 14,800 低額実施
年5.5%
11年目以降
年7.2%
 この貸付けは、賃貸住宅1棟16戸(地上4地下1階建、建築延面積1,199.58m2 )の建設に係る所要資金142,458,000円の一部として130,000,000円を貸し付けたもので、借入者は所要資金どおりの額で実施したとしていたが、実際は、別途に請負契約を締結するなどして123,908,000円で実施しており、これにより適正な貸付金額を計算すると115,200,000円となるので、本件貸付金額との差額14,800,000円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件不当貸付金額については、本院の注意により、昭和61年8月に繰上償還の措置が執られた。
(87) 仙台支所 会社役員 賃貸住宅(仙台市)

60.8

157,500 25,600 低額実施

年5.5%
11年目以降
年7.2%

 この貸付けは、賃貸住宅1棟19戸(3階建、建築延面積1,868.03m2 うち賃貸住宅部分延面積1,556.40m2 )の建設に係る所要資金209,126,669円のうち賃貸住宅部分に係る資金182,668,270円の一部として157,500,000円を貸し付けたもので、借入者は所要資金どおりの額で実施したとしていたが、実際は、別途に請負契約を締結するなどして176,217,305円で実施しており、これにより適正な貸付金額を計算すると131,900,000円となるので、本件貸付金額との差額25,600,000円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件不当貸付金額については、本院の注意により、昭和61年8月に繰上償還の措置が執られた。
(88) 名古屋支所 会社員ほか1名 賃貸住宅(名古屋市) 60.6 168,800 37,600 低額実施

年5.5%
11年目以降
年7.2%

 この貸付けは、賃貸住宅1棟20戸(4階建、建築延面積1,799.19m2 )の建設に係る所要資金213,288,782円の一部として168,800,000円を貸し付けたもので、借入者は所要資金どおりの額で実施したとしていたが、実際は、別途に請負契約を締結するなどして164,028,782円で実施しており、これにより適正な貸付金額を計算すると131,200,000円となるので、本件貸付金額との差額37,6000,000円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件不当貸付金額については、本院の注意により、昭和61年7月に繰上償還の措置が執られた。
(89)  同 飲食店業者ほか1名 賃貸住宅(名古屋市) 60.9 100,400 18,800 低額実施
年5.5%
11年目以降
年7.2%
 この貸付けは、賃貸住宅1棟12戸(3階建、建築延面積1,062.56m2 )の建設に係る所要資金124,182,039円の一部として100,400,000円を貸し付けたもので、借入者は所要資金どおりの額で実施したとしていたが、実際は、別途に請負契約を締結するなどして100,632,039円で実施しており、これにより適正な貸付金額を計算すると81,600,000円となるので、本件貸付金額との差額18,800,000円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件不当貸付金額については、本院の注意により、昭和61年7月に繰上償還の措置が執られた。
(90) 福岡支所 農業者ほか2名 賃貸住宅(福岡市) 60.2 210,000 35,800 低額実施
年5.5%
11年目以降
年7.3%
 この貸付けは、賃貸住宅1棟25戸(6階建、建築延面積2,552.95m2 うち賃貸住宅部分延面積2,305.16m2 )の建設に係る所要資金271,692,956円のうち賃貸住宅部分に係る資金251,063,657円の一部として210,000,000円を貸し付けたもので、借入者は所要資金どおりの額で実施したとしていたが、実際は、別途に請負契約を締結するなどして203,113,255円で実施しており、これにより適正な貸付金額を計算すると174,200,000円となるので、本件貸付金額との差額35,800,000円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件不当貸付金額については、本院の注意により、昭和61年7月に繰上償還の措置が執られた。
(91) 福岡支所 地方公務員 賃貸住宅(福岡市) 60.3 264,000 12,500 低額実施
年5.5%
11年目以降
年7.3%
 この貸付けは、賃貸住宅1棟30戸(6階建、建築延面積2,510.21m2 )の建設に係る所要資金291,713,005円の一部として264,000,000円を貸し付けたもので、借入者は所要資金どおりの額で実施したとしていたが、実際は、値引きを受けるなどして252,943,050円で実施しており、これにより適正な貸付金額を計算すると251,500,000円となるので、本件貸付金額との差額12,500,000円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件不当貸付金額については、本院の注意により、昭和61年7月に繰上償還の措置が執られた。
(特定土地担保賃貸住宅建設資金)
(92) 大阪支所 農業者 賃貸住宅(柏原市) 60.5
(年4.5%)
286,000 11,400 低額実施
 この貸付けは、賃貸住宅1棟30戸(6階建、建築延面積2,427.42m2 )の建設に係る所要資金293,249,847円の一部として286,000,000円を貸し付けたもので、借入者は所要資金どおりの額で実施したとしていたが、実際は、値引きを受けるなどして276,269,579円で実施しており、これにより適正な貸付金額を計算すると274,600,000円となるので、本件貸付金額との差額11,400,000円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件不当貸付金額については、本院の注意により、昭和61年5月までに繰上償還の措置が執られた。
1,316,700 156,500