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  • 昭和60年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第6 首都高速道路公団|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

高速道路等建設工事における土砂運搬費の積算を施工の実態に適合するよう改善させたもの


高速道路等建設工事における土砂運搬費の積算を施工の実態に適合するよう改善させたもの

科目 (款)業務費 (項)高速道路建設費  (項)負担金等受入建設費
部局等の名称 首都高速道路公団本所及び神奈川建設局
工事名 YC233工区(その1〜その3)堀割構造及び山の手高架橋新設工事ほか11工事
工事の概要 高速道路建設事業の一環として大断面の堀割構造等の道路を新設するなどの工事
工事費 20,367,450,000円(当初契約額20,413,000,000円)
請負入 鉄建・大本YC233(1)〜(3)堀割及び山の手高架橋建設工事共同企業体ほか10共同企業体及び住友建設株式会社
契約 昭和59年3月〜61年3月指名競争契約又は随意契約

 上記の各工事において、土砂運搬費の積算(積算額11億5270万余円)が適切でなかったため、積算額が約9400万円過大になっていた。
 このように積算額が過大となっているのは、土砂運搬における積込み作業の実態が積算基準に反映されていなかったことによるもので、施工の実態に即した積算をする要があると認められた。

 上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。

(説明)

首都高速道路公団(以下「公団」という。)では、高速道路等の建設工事を毎年多数実施しているが、このうち、昭和60事業年度に施行している道路土工等の12工事(工事費総額203億6745万円)について検査したところ、次のとおり、土砂運搬費の積算について、適切でないと認められる点が見受けられた。
 すなわち、上記各工事は、高速道路建設事業の一環として大断面の堀割構造等の道路を新設するなどのもので、いずれも大規模な土砂掘削及び土砂運搬を伴うものであるが、このうち土砂運搬費の積算についてみると、公団が制定した工事設計積算基準・土木編(以下「積算基準」という。)に基づき、機械で土砂をダンプトラックに積み込む場合の積込み作業量を、現場の作業条件等に関係なく一律に1時間当たり30m3 とし、これでダンプトラック1台当たりの積載量を除して算出した積込み所要時間などを基に、その運搬費を1m3 当たり352円から3,772円、12工事における総運搬量930,626m3 で総額11億5270万余円と算定していた。

 しかして、上記積算基準において、機械で土砂をダンプトラックに積み込む場合の積込み作業量を一律に1時間当たり30m3 としているのは、公団において53年当時、高架橋の橋脚基礎部等の工事において一般に使用されていた各機種の1時間当たり作業量を算定し、これらを平均したところ30m3 程度であったことによるとしている。
 しかしながら、土砂のダンプトラックヘの積込み作業量は、現場の作業条件及び積込み機械の機種、バケット容量等により異なるものであり、しかも、近年公団において本件各工事のように、高架橋の橋脚基礎部等の工事と異なり作業箇所が連続していて、かつ大量の土砂の積込みを行う工事が多数実施されるようになってきていることから、土砂運搬費の積算に当たっては、現場の作業条件に適合した機種、規格等によって算定する要があると認められた。現に、掘削積込み費の積算については、積算基準において、現場の作業条件等を考慮してその作業量を算定することとしており、本件各工事においても、現場の作業条件に適合した大型の機械などによることとして、これを1時間当たり41.5m3 から125.3m3 と算出している状況である。
 いま、仮に上記各工事の土砂運搬費について施工の実態に即して積算したとすれば、積算額を約9400万円低減できたと認められた。

 上記についての本院の指摘に基づき、首都高速道路公団では、61年10月にダンプトラックヘの積込み作業量に関する積算基準の内容を適正なものに改め、同年11月以降契約を締結する工事から適用することとする処置を講じた。