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  • 昭和60年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第8 住宅・都市整備公団|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

宅地等造成工事における機械土工費の積算を施工の実態に適合するよう改善させたもの


宅地等造成工事における機械土工費の積算を施工の実態に適合するよう改善させたもの

科目 (款)住宅等建設費 (項)住宅建設費 (項)住宅等用地費
(項)次年度以降用地費
(款)宅地造成費 (項)土地区画整理事業費  (項)造成工事費
部局等の名称 東京、中部、関西、九州各支社、首都圏都市開発本部及び茨城、南多摩両開発局
工事名 小山田団地東ブロック敷地造成その他工事ほか58工事
工事の概要 住宅建設の用に供する宅地等の造成のため、土砂の掘削、運搬、盛土等を施工する工事
工事費 15,753,120,000円
請負人 大成、日産、安藤建設共同企業体ほか9共同企業体、京成建設株式会社ほか42会社
契約 昭和58年3月〜61年3月指名競争契約又は随意契約

 上記の各工事において、土砂の掘削、運搬、盛土の機械土工費の積算が適切でなかったため、積算額が約1億1000万円過大になっていた。
 このように積算額が過大になっているのは、土工機械による掘削、運搬、盛土の施工の実態が積算の基準に反映されていなかったことによるもので、施工の実態に即した積算をする要があると認められた。

 上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。

(説明)

 住宅・都市整備公団(以下「公団」という。)では、住宅建設の用に供する宅地等の造成工事を毎年多数実施しているが、このうち東京支社ほか6支社等が昭和60事業年度に施行している59工事(工事費総額157億5312万円)について検査したところ、次のとおり、機械土工費の積算について適切でないと認められる点が見受けられた。
 すなわち、上記各工事は、いずれも土工機械を使用して、造成地内の土砂(総土工量24,703,642.4m3 )の掘削、運搬、盛土(以下「掘削等」という。)等を施工する工事で、その機械土工費の積算についてみると、公団が制定している土木工事積算要領において、土工機械の標準的な機種の使用についてブルドーザは運土距離100m以内、スクレープドーザは同50m以上500m以内、被けん引式スクレーパは同70m以上500m以内と定められていることから、これを基に、

(1) 東京支社等(注) が施行した25工事については、運土距離50m未満はブルドーザ(21t又は32t。以下同じ。)、50m以上70m未満はスクレープドーザ(ボウル容量6.4m3 。以下同じ。)、70m以上は被けん引式スクレーパ(ボウル容量17m3 )で施工するなどとして、このうちスクレープドーザを使用する運土距離50m以上70m未満の土工量531,229m3 については1m3 当たりの土工単価を138円から352円、

(2) 関西支社都市開発事業第1部及び第2部が施行した34工事については、スクレープドーザが当該地域では土質等の条件から実際に使用されていないため運土距離75m未満はブルドーザ、75m以上は被けん引式スクレーパ(ボウル容量17m3 )で施工するなどとして、このうちブルドーザを使用する運土距離50m以上75m未満の土工量643,315m3 については1m3 当たりの土工単価を230円から286円と算定していた。
 しかしながら、多量の土砂の掘削等をする場合には、通常、その運土距離等に応じた機種のうち大型機械を使用するのが効率的で、機械損料等の経費を低減できるとされていて、公団の宅地等造成工事のように工事現場が広く掘削等の土量が多量である場合には、土質等に問題がなければ運土距離50m程度でも被けん引式スクレーパを使用する方が他の機種に比べて効率的な施工が可能であることから、本件各工事の場合、運土距離50m以上の掘削等についても、土質等の条件に応じ被けん式スクレーパを使用することとするのが適切であったと認められる。現に、本件各工事においては、被けん引式スクレーパの特性を生かせない高含水比の粘性土の場合を除き、運土距離50m程度以上の掘削等の施工については、被けん引式スクレーパにより施工している状況であった。

 したがって、上記(1)のスクレープドーザで施工することとしていた運土距離50m以上70m未満の掘削等及び上記(2)のブルドーザで施工することとしていた運土距離50m以上75m未満の掘削等の土工量計1,174,544m3 のうち、被けん引式スクレーパによる施工に適さない79,467m3 を除いた1,095,077m3 の掘削等(積算額2億3885万余円)について、被けん引式スクレーパ(ボウル容量17m3 )で施工することとして積算したとすれば、1m3 当たりの土工単価は96円10から219円、総額1億2858万余円となり、上記積算額を約1億1000万円低減できたと認められる。

 上記についての本院の指摘に基づき、住宅・都市整備公団では、61年8月に土木工事積算要領を改正し、運土距離に応じた土工機械の標準的な機種を施工の実態に適合したものに改め、同年10月以降積算する工事からこれを適用することとし、さらに、同年11月に機械土工(掘削運搬工)にかかる機械選定運用指針を定め、積算の適正化を図る処置を講じた。

 (注)  東京支社等  東京、中部、九州各支社、関西支社住宅事業第二部、首都圏都市開発本部及び茨城、  南多摩両開発局