科目 | (款)熊牛発電所新設工事 (款)只見発電所新設工事 (款)松浦火力発電所新設工事 (款)石川石炭火力発電所新設工事 (款)本四連系線新設工事 |
(項)土地 (項)建物 (項)水路 (項)貯水池又は調整池 (項)構築物 (項)地中電線路 (項)機械装置 (項)補償費 |
部局等の名称 | 本店、松浦火力建設所 | |
工事名 | 松浦火力発電所新設工事土木工事護岸第5工区ほか24工事 | |
工事の概要 | 発電所等を建設する工事 | |
工事費 | 81,086,413,050円(当初契約額81,013,800,000円) | |
請負人 | 松浦火力発電所新設工事護岸第5工区共同企業体〔(株)間組・飛島建設(株)・若築建設(株)〕ほか20共同企業体及び3会社 | |
契約 | 昭和58年12月〜61年2月指名競争見積合せ契約又は特命見積合せ契約 |
上記の各工事において、労務費の積算が適切でなかったため、積算額が約1億3400万円過大になっていた。
このように積算額が過大になっているのは、建設省制定の「土木工事標準歩掛」を適用した工種について、これに対応した職種及び労務単価が定められていなかったことによるもので、適正な職種及び労務単価を定める要があると認められた。
上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。
(説明)
電源開発株式会社(以下「電発会社」という。)では、電源開発事業の一環として、水力・火力発電所等の建設工事を毎年多数実施しており、これらの工事の予定価格については電発会社制定の「請負工事費積算要綱」等に基づいて算定することとし、このうち労務費の積算に当たっては、昭和58年3月、建設省から「土木工事標準歩掛」(以下「建設省歩掛かり」という。)等が公表されたことに伴い、同年10月以降に契約する工事のうち、コンクリート型枠工、鉄筋加工組立工等の一般的な工種については、この建設省歩掛かりを優先的に適用することとし、その職種については、電発会社が作業の実態に基づき定めた職種により、また、労務単価については、建設省等が建設労務者の職種ごとの賃金等について全国的な実態調査を行った結果(以下「三省労務費調査結果」という。)を基に電発会社において定めた「労務者基準賃金表」によることとしている。
しかして、60年度中に施行している発電所新設等の25工事(工事費総額810億8641万余円)について検査したところ、次のとおり、労務費の積算が適切でないと認められる点が見受けられた。
すなわち、上記各工事において、建設省歩掛かりを適用したコンクリート型枠工ほか17工種の労務費の積算(積算額30億6624万余円)についてみると、電発会社では、「労務者基準賃金表」に建設省歩掛かりで定めている普通作業員(注1)
あるいは特殊作業員(注2)
の両職種の作業に対応する職種を定めておらず、これらの作業は同表の土工が行うものとして、所要人員(総所要人員104,493人日)に、前年の三省労務費調査結果による普通作業員及び特殊作業員の両職種の労務単価を平均し、これに労務費の上昇率を考慮するなどして算出した土工の労務単価を乗じて総額999,972,330円と算定していた。
しかしながら、上記18工種において土工として積算している作業について、普通作業員と特殊作業員に職種構成を分類してみると、ほとんどが普通作業員で構成されている状況(普通作業員のみの工種13、普通作業員が特殊作業員を上回る工種2、同数の工種3)であり、上記25工事においてもその比率は普通作業員96.3%、特殊作業員3.7%となっていて、これらの工種の労務費の積算において両職種の労務単価を平均するなどして算出した土工の労務単価を採用すると、積算額が割高になると認められた。
したがって、上記の各工事の積算に当たり、建設省歩掛かりを適用している18工種について、職種については土工に代えて普通作業員及び特殊作業員によることとし、労務単価については三省労務費調査結果により労務費を積算したとすれば、積算額を約1億3400万円低減できたと認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、電源開発株式会社では、61年10月に「労務者基準賃金表」に普通作業員及び特殊作業員の職種とそれぞれの労務単価の追加設定を行い、同年11月以降契約を締結する工事から適用することとする処置を講じた。
(注1) 普通作業員 普通の技能及び肉体的条件を有し、人力による土砂の掘削、小規模な作業、又はその他各作業について必要とされる技能を伴った補助的業務を行う作業員
(注2) 特殊作業員 相当程度の技能及び高度の肉体的条件を有し、軽機械等の作業について主体的業務、又はその他各作業について必要とされる主体的業務を行う作業員