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上記各部局では、74式戦車、73式装甲車等(以下「装軌車」という。)の整備用交換部品の調達に当たり、その納入方法を改善することにより、約6320万円節減できると認められた。
このような事態を生じたのは、陸上自衛隊において、装軌車の整備用交換部品の経済的な調達方法についての配慮が十分でなかったことによるもので、納品関連業務の見直しを行い、もって経費の節減を図る要があると認められた。
上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。
(説明)
陸上自衛隊武器補給処及び北海道地区補給処ほか3地区補給処(注1)
(以下「武器補給処等」という。)では、三菱重工業株式会社(以下「製造会社」という。)が製造した装軌車の専用の整備用交換部品(以下「専用部品」という。)毎年多数調達しており、昭和60年度国庫債務負担行為及び61年度歳出による調達額は総額3,500,030,467円なっている。
上記専用部品の製造は製造会社で行っているが、その調達についてみると、武器補給処では、製造会社が装軌車の部品の販売を担当させるため設立した菱重特殊車両サービス株式会社(以下「サービス会社」という。)と契約し、また、各地区補給処では、サービス会社に代わって当該各地区補給処に対する販売業務を担当する北海道三菱ふそう自動車販売株式会社ほか3会社(注2) (以下「各販売会社」という。)と契約している。
そして、専用部品の調達経路についてみると、サービス会社では、武器補給処からの受注分と各販売会社を経由しての各地区補給処からの受注分とを取りまとめて製造会社に発注し、その引渡しを受けると、武器補給処からの受注分については、契約単位ごとに取りそろえて納入場所である武器補給処等へ直接発送し、各販売会社等に現地での開梱、仕分整理、受領検査の立会等の納品関連業務を代わって行わせて納入しており、また、各地区補給処からの受注分については、引渡しを受けた専用部品がある程度の数量に達した時点でまとめて各販売会社に発送しており、これを受けて各販売会社は、受領した専用部品を契約単位ごとに取りそろえたうえ納入場所である各地区補給処に搬入して、武器補給処からの受注分に係る納品関連業務と同様の業務を行って納入していた。
上記のように、本件専用部品は製造会社から直接調達せず、サービス会社及び各販売会社を介して調達しているため、その専用部品ごとの予定価格については、製造会社における本件専用部品の製造原価に同社の総利益(注3) を加算し、さらに、これにサービス会社の総利益等を加算して算定することとなっていて、このサービス会社の総利益の中には各販売会社等に支払う納品関連業務に係る手数料が含まれている。
しかして、納入された各専用部品は契約(発注)番号、物品番号、品名等が表示されているのであるから、納品関連業務は、この表示を利用して武器補給処等で行うことが可能であり、したがって、この業務は武器補給処等が自ら行うなどして各販売会社等の介在を必要としないようにすることとし、これに係る手数料相当額の節減を図る要があると認められた。
いま、仮に専用部品の納入において各販売会社等を介在させないこととすれば、納品関連業務に係る手数料相当額が節減でき、本件調達額を約6320万円節減できると認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、陸上自衛隊では、62年度中に納入される専用部品からは、従来各販売会社等が行っていた納入場所における納品関連業務をサービス会社等が出荷時に行うものと、武器補給処等が直接行うものとに振り分けるなどして、納入場所において各販売会社等を介在させないこととし、62年7月、専用部品の価格の算定に当たり納品関連業務に係る手数料を計上しないこととする処置を講じた。
(注1) 北海道地区補給処ほか3地区補給処 北海道、東北、関西、九州各地区補給処
(注2) 北海道三菱ふそう自動車販売株式会社ほか3会社 北海道、宮城、京滋、九州各三菱ふそう自動車販売株式会社
(注3) 総利益 総利益の内訳は、一般管理及び販売費、支払利子並びに利益である。