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  • 昭和61年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第3 大蔵省|
  • 不当事項|
  • 貸付金

資金運用部資金の貸付額が過大になっているもの


(3)−(6) 資金運用部資金の貸付額が過大になっているもの

資金名及び科目 資金運用部資金 貸付金
部局等の名称 関東財務局前橋財務事務所、近畿財務局神戸財務事務所、東北財務局盛岡財務事務所(「財務事務所」は、昭和59年9月30日以前は「財務部」)
貸付けの根拠 資金運用部資金法(昭和26年法律第100号)
貸付けの内容 地方公共団体に対する普通地方長期資金の貸付け
貸付先 市1、町2、計3市町
貸付金の合計額 693,100,000円

 上記の3市町に対する693,100,000円の貸付けにおいて、貸付先の市町が、貸付対象事業の財源として受け入れた分担金等を貸付対象事業費の財源に算入していなかったため、貸付額が92,355,646円過大になっていると認められる。これを貸付先別に掲げると別表 のとおりである。

(説明)
 大蔵省では、資金運用部資金法等の規定に基づき、地方公共団体が公共施設の建設事業費等の財源として自治大臣又は都道府県知事の許可を得て地方債を起こす場合に普通地方長期資金を貸し付けている。この資金の貸付けは、地方公共団体が予算に定める地方債の限度額を限度とし、地方債許可方針等により算出された貸付対象事業費から貸付対象事業の財源として受け入れた補助金、分担金、寄附金等を控除した額に所定の充当率を乗じて得た額を貸付金額として、貸付対象事業が完了した後において行われることになっている。
 しかして、上記の貸付けについて検査したところ、貸付先の市町において、貸付対象事業の財源として受け入れた分担金等を貸付対象事業費の財源に算入していなかったため、貸付額が過大になっていると認められるものが92,355,646円見受けられた。

(別表)

貸付先 貸付対象 貸付昭和年月
(貸付利率)
貸付対象事業費 左に対する貸付金額 貸付金額のうち不当と認めた額 摘要

(3)

岩手県二戸市

農業基盤整備事業

60.5
(年7.1%)
千円
122,008
千円
35,300
千円
33,446

分担金の財源不算入
 この貸付けは、二戸市が昭和59年度に実施した農業基盤整備事業に必要な資金122,008,000円の一部として貸し付けたものである。
 しかして、同市では、借入れに当たり、同市制定の分担金徴収条例に基づき受益者103名から同事業の財源として徴収した分担金計37,211,777円を貸付対象事業費の財源に算入していなかった。

 したがって、上記の分担金を貸付対象事業費の財源に算入して適切な貸付金額を計算すると1,853,938円となり、本件貸付金額35,300,000円との差額33,446,062円が過大な貸付けとなっている。
 なお、62年9月末現在の過大な貸付金残高は31,857,520円で、これについては、本院の注意により、繰上償還の措置を執ることになった。

(4)  同 林道事業 60.5
(年7.1%)
110,492 29,800 28,580 分担金の財源不算入
 この貸付けは、二戸市が昭和59年度に実施した林道事業に必要な資金110,492,000円の一部として貸し付けたものである。
 しかして、同市では、借入れに当たり、同市制定の分担金徴収条例に基づき受益者60名から同事業の財源として徴収した分担金計31,790,741円を貸付対象事業費の財源に算入していなかった。

 したがって、上記の分担金を貸付対象事業費の財源に算入して適切な貸付金額を計算すると1,219,816円となり、本件貸付金額29,800,000円との差額28,580,184円が過大な貸付けとなっている。
 なお、62年9月末現在の過大な貸付金残高は27,222,750円で、これについては、本院の注意により、繰上償還の措置を執ることになった。

(5) 群馬県甘楽郡下仁田町 過疎対策事業 58.5
(年7.3%)
272,006 203,900 1,366 寄付金の財源不算入
多目的集会施設設置事業等
 同 59.5
(年7.1%)
299,797 209,000 2,992
(同)

(同)
60.5
(年7.1%)
209,177 129,900 5,265
小計 780,980 542,800 9,624
 この貸付けは、下仁田町が昭和57、58及び59年度に実施した過疎対策事業に必要な資金57年度272,006,000円、58年度300,317,000円及び59年度210,680,000円(うち貸付対象事業費分57年度272,006,000円、58年度299,797,000円及び59年度209,177,000円)の一部として貸し付けたものである。
 しかして、同町では、同事業のうち多目的集会施設設置事業等については、借入れに当たり、受益者の地区代表からその財源として受け入れた寄附金計57年度3,623,600円、58年度4,485,000円及び59年度5,694,400円を貸付対象事業費の財源に算入していなかった。

 したがって、上記の寄附金を貸付対象事業費の財源に算入して適切な貸付金額を計算すると、57年度202,534,000円、58年度206,007,700円及び59年度124,634,300円となり、本件貸付金額57年度203,900,000円、58年度209,000,000円及び59年度129,900,000円との差額57年度1,366,000円、58年度2,992,300円及び59年度5,265,700円が過大な貸付けとなっている。
 なお、62年9月末現在の過大な貸付金残高は7,844,881円(57年度貸付分984,688円、58年度貸付分2,360,493円及び59年度貸付分4,499,700円)で、これについては、本院の注意により、繰上償還の措置を執ることになった。

(6) 兵庫県美方郡浜坂町 漁港事業 59.5
(年7.1%)
75,768 48,800 10,963 負担金の財源不算入
60.5
(年7.1%)
71,948 36,400 9,742 寄附金の財源不算入
小計 147,716 85,200 20,705
 この貸付けは、浜坂町が昭和58、59両年度に実施した漁港事業に必要な資金58年度75,768,000円及び59年度71,948,000円の一部として貸し付けたものである。
 しかして、同町では、借入れに当たり、58年度事業については同町制定の負担金徴収条例に基づき受益漁業協同組合から同事業の財源として受け入れた負担金11,550,000円を、また、59年度事業については同組合から同事業の財源として受け入れた寄附金10,350,000円をそれぞれ貸付対象事業費の財源に算入していなかった。

 したがって、上記の負担金及び寄附金を貸付対象事業費の財源に算入して適切な貸付金額を計算すると、58年度37,836,600円及び59年度26,658,000円となり、本件貸付金額58年度48,800,000円及び59年度36,400,000円との差額58年度10,963,400円及び59年度9,742,000円が過大な貸付けとなっている。
 なお、62年9月末現在の過大な貸付金残高は20,534,261円(58年度貸付分10,792,261円及び59年度貸付分9,742,000円)で、これについては、本院の注意により、繰上償還の措置を執ることになった。

1,161,196 693,100 92,355