会計名及び科目 | 一般会計 | (組織)文部本省 | (項)公立文教施設整備費 (項)社会教育助成費 |
部局等の名称 | 文部本省、東京都ほか4県 | ||
補助の根拠 | 義務教育諸学校施設費国庫負担法(昭和33年法律第81号)等 | ||
事業主体 | 特別区1、市2、町4、計7事業主体 | ||
補助事業 | 江東区立第四砂町中学校用地取得等9事業 | ||
上記に対する国庫補助金交付額の合計 | 746,143,000円 |
上記の9補助事業において、補助金を過大に受給していたり、補助の対象とは認められないものを事業費に含めていたり、補助事業で取得した財産を目的外に使用したりなどしていて、国庫補助金224,643,000円が不当と認められる。これを都県別に掲げると別表 のとおりである。
(説明)
この事業に係る補助金は、義務教育諸学校施設費国庫負担法に基づき、小中学校その他の公立の義務教育諸学校の施設の整備を促進するため、市町村が行うこれらの学校の建物の新増築又は既存の危険建物を取り壊して行う改築について、その建築に要する経費の一部を、又は、社会教育法(昭和24年法律第207号)に基づき、住民のための生活に即した教育、学術及び文化に関する各種の事業を行うため、市町村が行う公民館の整備について、その建築に要する経費の一部を、及び、児童生徒急増市町村公立小中学校施設特別整備事業費補助金交付要綱(昭和48年文施助第15号)に基づき、児童又は生徒が急増する市町村における小中学校の教室不足の解消を図るため、これらの市町村が取得する学校用地について、その取得に要する経費の一部をそれぞれ国が負担し、又は補助するものである。
しかして、この補助事業の実施及び経理について検査したところ、前記の7事業主体が実施した公立中学校用地取得事業等の9事業において、補助金を過大に受給していたり、補助の対象とは認められないものを事業費に含めていたり、補助事業で取得した財産を目的外に使用したりなどしており、このうち6事業は用地取得に関するものであった。
これらを不当の態様別に示すと次のとおりである。
補助金を過大に受給していたもの | |||
1事業 | 不当と認めた国庫補助金 | 175,118,000円 | |
補助の対象とは認められないものを事業費に含めているもの | |||
1事業 | 不当と認めた国庫補助金 | 22,661,000円 | |
補助事業で取得した財産を目的外に使用しているもの | |||
事業 | 不当と認めた国庫補助金 | 22,622,000円 | |
補助事業の目的が一部達成されていないもの | |||
1事業 | 不当と認めた国庫補助金 | 4,242,000円 |
都県名 | 補助事業 | 事業主体 | 補助対象事業費 | 左に対する国庫補助金 | 不当と認めた補助対象事業費 | 不当と認めた国庫補助金 | 摘要 | |
(7) |
東京都 |
第四砂町中学校用地取得 |
江東区 |
千円 1,400,120 |
千円 350,030 |
千円 700,471 |
千円 175,118 |
補助金の過大受給 |
この事業は、昭和59年度補助事業として、第四砂町中学校の教室不足の解消を図るのに必要な移転拡張を行うため、13,199.07m2
を住宅・都市整備公団(以下「公団」という。)から学校用地として時価の2分の1相当額2,243,683,800円で取得したものである。 しかして、江東区及び公団では、60年3月、一画地の上記学校用地を便宜的に無償部分6,600m2 と有償部分6,599.07m2 (1m2 当たり単価340,000円、総額2,243,683,800円)に分けて、土地譲渡契約と土地売買契約を締結している。そして、同区では、全体の取得面積13,199.07m2 から同中学校の保有面積9,081m2 を差し引いた4,118m2 を補助対象面積とし、これに有償部分の1m2 当たり単価である340,000円を乗じて補助対象事業費を1,400,120,000円と算定し、350,030,000円の国庫補助金の交付を受けていた。 しかし、同区は、無償部分と有償部分を学校用地として一体利用する目的で同時に公団から取得したものであるから、取得に要した経費2,243,683,800円を全体の取得面積13,199.07m2 で除して得た平均単価169,900円を1m2 当たりの補助単価とすべきであるのに上記の340,000円を補助単価として事業費を算定していた。 したがって、上記により1m2 当たりの補助単価を169,900円として修正計算すると補助対象事業費は699,648,000円、これに対する国庫補助金は174,912,000円となり、175,118,000円を過大に受給していた。 |
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(8) | 新潟県 | 妙高南小学校校舎増築等 | 中頸城郡妙高高原町 | 211,887 | 125,250 | 40,905 | 22,661 | 補助の対象外 |
この事業は、昭和60年度補助事業として、妙高南小学校の校舎を増改築したもので、同小学校の60年5月1日現在の標準学級数(注)
8学級に応ずる校舎の必要面積2,366m2
から保有面積2,251m2
を差し引いた115m2
を増築事業の補助対象とし、また、必要面積と保有面積のうち少ない方の面積である保有面積2,251m2
から危険でない校舎の面積1,071m2
を差し引いた1,180m2
を改築事業の補助対象として、これらにそれぞれ1m2
当たりの補助単価162,000円を乗ずるなどして算出した額を補助対象事業費としていた。 しかし、妙高高原町は、上記の8学級のうち、第5学年の2学級について、児童数を46人として算出していたが、正しい児童数は45人であり、これに基づく標準学級数は1学級となる。したがって、同小学校の標準学級数は7学級となり、これに応ずる校舎の必要面積は2,116m2 となって、保有面積を下回るから、増築事業は補助の対象とはならないものであり、また、改築事業の補助対象は1,045m2 となるから、過大な面積135m2 は補助金算定の対象とはならないもので、これらを除外して算定すると、適正な補助金は102,589,000円となり、22,661,000円が過大に交付されていた。 (注) 標準学級数「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」(昭和33年法律第116号)に規定する学級編制の標準により算定した学級数をいい、当該小学校の場合、各学年ごとの児童数を45で除して得られる数(端数切上げ)の合計数となる。 |
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(9) | 滋賀県 | 能登川中学校用地取得 | 神崎郡能登川町 | 74,042 | 20,978 | 14,975 | 4,242 | 補助目的の一部不達成 |
この事業は、昭和58年度補助事業として、能登川中学校の教室不足の解消を図るのに必要な校舎の増築を行うため、能登川町が同中学校用地6,383m2
を補助対象事業費74,042,000円で取得したものである。 しかして、同町では、上記学校用地の買収及び造成が完了し国庫補助金の交付決定が行われた直後の59年3月に、従前から同中学校に供用していた学校用地の一部1,291m2 を町庁舎用地に所管換していた。 しかし、同町が既存の学校用地では不足するとして、国庫補助金の交付を受けて新たに学校用地を取得しておきながら、その直後に既存の学校用地の一部を他の用途に転用しているのは、これに相当する補助対象面積を他の用途に転用したことと同様の結果となり、本件事業により取得した用地のうち1,291m2 (国庫補助金相当額4,242,000円)分は補助の目的を達していない。 |
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(10) | 福岡県 | 八田小学校用地取得 | 福岡市 | 375,074 | 60,889 | 11,727 | 1,903 | 目的外使用 |
この事業は、昭和48年度補助事業として、多々良小学校及び若宮小学校の教室不足の解消を図るのに必要な分離新設校の校舎の新築を行うため、福岡市が八田小学校用地21,556m2
を補助対象事業費375,074,000円で取得したものである。 しかし、同市では、上記学校用地のうち674m2 (国庫補助金相当額1,903,000円)を53年度以降公民館の敷地として目的外に使用している。 |
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(11) | 福岡県 | 鶴田小学校用地取得 | 福岡市 | 659,980 | 153,995 | 22,571 | 5,266 | 目的外使用 |
この事業は、昭和53年度補助事業として、東花畑小学校の教室不足の解消を図るのに必要な分離新設校の校舎の新築を行うため、福岡市が鶴田小学校用地15,789m2
を補助対象事業費659,980,000円で取得したものである。 しかし、同市では、上記学校用地のうち540m2 (国庫補助金相当額5,266,000円)を57年度以降公民館の敷地として目的外に使用している。 |
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(12) | 同 | 公民館整備 | 小郡市 | 27,380 | 2,500 | 25,098 | 2,291 | 目的外使用 |
この事業は、昭和44年度補助事業として、住民のための生活に即した教育、学術及び文化に関する各種の事業を行うため、鉄筋コンクリート造り2階建て延べ659.39m2
の公民館を補助対象事業費27,380,000円で設置したものである。 しかし、同市では、上記公民館を改造するなどして、49年度以降全館を市庁舎等として目的外に使用していた。 |
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(13) | 同 | 波多江小学校用地取得 | 糸島郡前原町 | 53,694 | 12,528 | 18,810 | 4,388 | 目的外使用 |
この事業は、昭和53年度補助事業として、波多江小学校の教室不足の解消を図るのに必要な校舎の増築を行うため、前原町が同小学校用地1,884m2
を補助対象事業費53,694,000円で取得したものである。 しかし、同町では、上記学校用地のうち660m2 (国庫補助金相当額4,388,000円)を57年度以降公民館の敷地等として目的外に使用している。 |
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(14) | 同 | 加布里小学校用地取得 | 糸島郡前原町 | 61,670 | 17,473 | 24,528 | 6,949 | 目的外使用 |
この事業は、昭和58年度補助事業として、加布里小学校の教室不足の解消を図るのに必要な校舎の増築を行うため、前原町が同小学校用地2,112m2
を補助対象事業費61,670,000円で取得したものである。 しかし、同町では、上記学校用地のうち840m2 (国庫補助金相当額6,949,000円)を59年度以降働く婦人の家の敷地として目的外に使用している。 |
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(15) | 大分県 | 公民館整備 | 日田郡大山町 | 18,272 | 2,500 | 13,343 | 1,825 | 目的外使用 |
この事業は、昭和43年度補助事業として、住民のための生活に即した教育、学術及び文化に関する各種の事業を行うため、鉄筋コンクリート造り2階建て延べ410.40m2
の公民館を補助対象事業費18,272,000円で設置したものである。 しかし、同町では、上記公民館を改造するなどして、58年度以降順次町庁舎等として全館を目的外に使用していた。 |
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計 | 2,882,119 | 746,143 | 872,428 | 224,643 |