会計名及び科目 | 空港整備特別会計 (項)空港等維持運営費 |
部局等の名称 |
運輸省航空局 |
購入物品 | (1) ナットほか99点のプロペラ部品 (2) ワッシャーほか210点のエンジン部品 |
購入物品の概要 | 航空保安施設等の機能を検査する目的で運行しているYS−11型航空機のプロペラ部品及びエンジン部品 |
契約金額 | (1) 28,262,150円 (2) 113,786,261円 計142,048,411円 |
契約の相手方 | (1) 住友商事株式会社 (2) 伊藤忠アビエーション株式会社 |
契約 | (1) 昭和61年5月 随意契約 (2) 昭和61年6月 随意契約 |
支払 | (1)及び(2) 昭和61年12月、62年4月 |
上記の部品の購入に当たり、調達所要数の算定が適切でなかったため、調達費が約3500万円不経済となっていた。
このような事態を生じたのは、部品の調達所要数を算定するため、プロペラ製造工場の火災による部品の調達所要期間の延伸やプロペラの不具合の多発という事態があったことを考慮に入れた算定基準を制定していたが、その後このような事態は解消しているのに、算定基準を見直すことなく、そのまま適用してきたことによるもので、これを適切なものに改める要があると認められた。
上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。
(説明)
運輸省では、航空保安施設等の機能を検査する目的でYS−11型航空機6機を所有しており、これらの航空機を安全かつ定時に運航するため、プロペラ及びエンジンのオーバーホール等に必要な部品を予備として常時確保し、オーバーホール等を行う会社(以下「修理会社」という。)に必要の都度交換部品として官給している。そして、所要の部品を確保するため、昭和61年度にプロペラ部品としてナットほか99点を28,262,150円、エンジン部品としてワッシヤーほか210点を113,786,261円、計311点を142,048,411円で調達している。
部品の年間調達所要数は、プロペラ部品については、「プロペラオーバーホール等部品予備保有数算定基準」(昭和58年空用第199号。以下「算定基準」という。)を基に、また、エンジン部品については、この算定基準を準用して算定することとしている。この算定基準によれば、部品ごとに、装備数に交換率等を乗じて得た年間使用見込数を4倍から10倍した数すなわち4箇年分から10箇年分の使用見込数を標準保有数とし、これから前年度末の保有数を控除した数を調達所要数としている。そして、実際には、4箇年分の使用見込数を標準保有数として、これから前年度末の保有数を控除した数を調達所要数とし、部品によっては前年度の使用実績等を勘案して査定した数を調達所要数から減ずるなどして年間の部品調達数(以下「調達数」という。)を決定していた。
しかして、調達所要数の算定に当たり、標準保有数を4箇年分の使用見込数としているのは、年度当初に発注した部品が納入されるまでの間(以下「調達所要期間」という。)に使用する分として1箇年分、調達所要期間が1箇年を超えたり交換率が高くなったりした場合に対処する分として1箇年分、当該年度中に費消される数に見合った分として年度当初に発注する1箇年分、このほかに調達所要期間の延伸、交換率の上昇の分として1箇年分を再度見込んだことによるものである。
しかしながら、
1 調達所要期間の延伸の分を再度見込んだのは、53年にプロペラの製造会社の工場火災により部品の調達に困難をきたした異常事態を念頭においたためであるとしているが、火災のような事態を算定の要素とするのは適切でなく、また、算定基準制定後の4箇年間の調達所要期間をみてもプロペラ及びエンジンの各部品とも6箇月又は10箇月となっており、少なくとも1箇年以内には調達が可能であると認められた。
2 交換率の上昇の分を再度見込んだのは、52年から56年にかけてプロペラの不具合が多発した異常事態を念頭においたためであるとしているが、その後、所要の対策を講じたことにより同種の異常事態は発生しておらず、交換率の上昇を再度見込む要素は消失しており、また、61年度中の交換部品の使用状況をみても、プロペラ及びエンジンの各部品の大部分(318点中292点)は2箇年分の使用見込数以下に収まっている状況であり、交換率等の低い一部部品については、交換実績が一時的に2箇年分の使用見込数を超えるものが見受けられたが、このような場合には航空機より取り卸されて順次オーバーホールのため修理会社に搬入され分解されているプロペラ及びエンジンの各部品から流用を行うなどによって対応することが可能であると認められた。
したがって、調達所要期間の延伸及び交換率の上昇を再度見込む要はなく、調達所要数の算定に当たっては、調達所要期間中の使用見込数として1箇年分、交換率の変動等に対処するものとして1箇年分、当該年度中に費消される数に見合った分として1箇年分、計3箇年分の使用見込数から前年度末保有数を控除して求めた数を調達所要数として、更に技術変更により部品の一斉交換を必要とするなど特別の事情がある場合にはその数を加えて、調達数を決定すべきであると認められた。
いま、仮に上記により本件調達数を修正計算すると、過大な調達となっているものがプロペラ部品で52点、エンジン部品で97点あり、したがって、(1)の調達費は16,548,240円、(2)の調達費は90,371,570円、計106,919,810円で足り、結局、本件契約額は約3500万円節減できたと認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、運輸省では、62年5月に算定基準を改正し、プロペラ及びエンジンの部品の調達所要数の算定方法を適切なものに改め、62年度に調達するものから適用することとする処置を講じた。