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  • 昭和61年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第9 郵政省|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

冬期における郵便物集配委託料の積算を適切なものに改善させたもの


冬期における郵便物集配委託料の積算を適切なものに改善させたもの

会計名及び科目 郵政事業特別会計 (項)業務費
部局等の名称 関東、信越、東海、北陸、東北各郵政局管内沼田郵便局ほか107郵便局(委託による集配作業を実施した郵便局1,024局)
契約名 郵便物集配委託契約
契約の概要 冬期における郵便物の集配作業の委託
契約の相手方 受託者 2,315人
契約 昭和61年12月〜62年2月 随意契約

契約金額

1,105,001,826円

 上記の冬期における郵便物集配委託契約において、委託料の積算が適切でなかったため、委託料が約3000万円過大となっていた。
 このように委託料が過大となっているのは、委託料は、各受託者ごとに委託期間を通じた1日当たりの集配作業時間を基礎として算定されているのに、集配作業を行わない祝日等(昭和62年1月2日、1月15日及び2月11日の各日をいう。以下同じ。)の翌日は配達量が増え、集配作業時間が増加するなどとして、祝日等を委託料支払対象日数に加えるなどして委託料を算定していたことによるもので、このような取扱いを改める要があると認められた。

 上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。

(説明)
 郵政省関東郵政局ほか7郵政局(注1) (以下「8郵政局」という。)管内の計1,737の集配郵便局では、冬期(おおむね12月初旬から翌年3月末日までの期間)における職員の郵便物の集配作業の積雪等による能率低下に対処するため、その集配区域を細分し、これにより増加した区画における集配作業を部外の個人に委託して実施している。

 そして、この集配作業に係る委託料の算定については、まず、委託による集配作業を実施する郵便局において、過去の経験を踏まえ、委託期間を通じた郵便物集配量の多寡及び地勢、気象等の条件を考慮し、また、1日の標準作業時間を7時間20分として、受託者ごとに、おおむね1日で作業を終了することができるように集配委託区画を設定したうえで1日当たりの集配作業時間を決定し、次いで、委託契約を担当する郵便局において、上記のように決定された1日当たりの集配作業時間と1日の標準作業時間との割合を郵政本省が定めた基準日額に乗じて各受託者の委託料日額を算出し、これに各月の支払対象日数を乗じ、必要に応じ交通費等を加算した額をもって委託料月額としている。

 しかして、委託料の積算について本院で調査したところ、8郵政局のうち関東郵政局ほか4郵政局(注2) (以下「5郵政局」という。)管内の108郵便局が昭和61年度に締結した委託契約(委託による集配作業を実施した郵便局1,024局。受託者数2,315人、委託料総額1,105,001,826円)において、次のとおり適切でないと認められる点が見受けられた。

 すなわち、委託契約を担当した郵便局では、祝日等には集配作業が行われないにもかかわらず、祝日等の翌日には郵便物の配達量が増えるため集配作業時間が増加するなどとして、祝日等を委託料支払対象日としたり、あるいは祝日等の翌日の委託料日額を2倍にしたり、増額したりしていた。

 しかしながら、各受託者ごとの委託料については、前記のとおり、委託期間を通じた郵便物集配量の多寡等の諸条件を考慮しておおむね1日で作業が終了するように集配委託区画を設定し、これらの区画における1日の集配作業に要する時間を決定し、これを基礎として委託料を算定しているのであるから、各集配日ごとの集配作業時間の増減を委託料の算定に際して考慮する必要はないと認められ、8郵政局管内の郵便局とも、祝日等と同様に集配作業を行わない日曜日を委託料支払対象日とするなどの取扱いは行っておらず、また、8郵政局のうち近畿、中国及び北海道各郵政局管内の郵便局においては、5郵政局管内の郵便局と同様な考え方で委託料日額を算定しているが、祝日等を委託料支払対象日とするなどの取扱いは全く行っていない。

 なお、受託者の祝日等の翌日の集配作業の実情をみても、本院が会計実地検査を行った一部の郵便局の資料によれば、委託料の算定の基礎となっている1日当たりの集配作業時間内におおむね作業が終了している状況である。

 したがって、以上のような事情を勘案すると、5郵政局管内の郵便局における委託料の積算において、集配作業を行わない祝日等を委託料支払対象日としたり、あるいは祝日等の翌日の委託料日額を2倍にしたり、増額したりする取扱いは適切を欠くものと認められる。

 いま、仮に祝日等を委託料支払対象日としないこととするなどして修正計算すると、5郵政局管内の郵便局における委託料の総額は、1,074,941,756円となり、委託料を約3000万円低減できたと認められた。

 上記についての本院の指摘に基づき、郵政省では、62年11月に祝日等を委託料支払対象日としないことなどを明確にした通達を発する処置を講じた。

(注1)  関東郵政局ほか7郵政局 関東、信越、東海、北陸、近畿、中国、東北、北海道各郵政局

(注2)  関東郵政局ほか4郵政局 関東、信越、東海、北陸、東北各郵政局