ページトップ
  • 昭和61年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第10 労働省|
  • 不当事項|
  • 保険給付

雇用保険の失業給付金の支給が適正でなかったもの


(94) 雇用保険の失業給付金の支給が適正でなかったもの

会計名及び科目 労働保険特別会計(雇用勘定) (項)失業給付費
部局等の名称 北海道ほか24都府県(支給庁)
札幌公共職業安定所ほか196公共職業安定所(支給決定庁)
支給の相手方 643人
失業給付金の支給額の合計 351,884,513円

 上記の643人に失業給付金(基本手当及び再就職手当)351,884,513円を支給しているが、支給決定に当たって申告等に対する調査確認が十分でなかったため、158,197,584円(基本手当85,635,634円、再就職手当72,561,950円)が不適正に支給されていた。これらについては、本院の注意により、すべて返還の処置が執られた。これを都道府県ごとに集計して掲げると別表 のとおりである。
 これは、北海道ほか24都府県(支給決定庁札幌公共職業安定所ほか247公共職業安定所)において失業給付金の支給を受けた者のうち、再就職した者22,679人について本院が調査した結果である。

(説明)
 雇用保険は、原則としてすべての雇用労働者を被保険者とし、被保険者が失業したときにその生活の安定を図るなどのため失業給付金の給付を行うほか、雇用安定事業、雇用改善事業等により特定求職者雇用開発助成金、定年延長奨励金の給付等を行う保険である。そして、失業給付金には、基本手当、再就職手当のほか9種の手当等があり、このうち、

ア 基本手当は、受給資格者(注) が失業している日について所定給付日数を限度として支給するもので、公共職業安定所が、受給資格者から提出された失業認定申告書に記載されている就職、就労の有無等の事実について確認のうえ失業の認定を行って支給を決定し、

イ 再就職手当は、受給資格者が基本手当の所定給付日数の2分の1以上を残して安定した職業に就いた場合に支給するもので、公共職業安定所が、受給資格者から提出された再就職手当支給申請書に記載されている雇入れ年月日等について調査確認を行って支給を決定し、

いずれもこれに基づいて、各都道府県が支給することとなっている。
 しかして、失業給付金の支給決定の適否について検査したところ、前記の248公共職業安定所のうち、

ア 基本手当については、札幌公共職業安定所ほか196公共職業安定所において、受給者が誠実でなく、再就職、就労していながらこれを失業認定申告書に記載していないため申告書の内容が事実と相違していたものなどがあったのに、申告書に対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行ったため、これに基づいて支給した基本手当が、北海道ほか24都府県で、本院が調査した受給者18,952人分の給付のうち640人分279,322,563円について85,635,634円、

イ 再就職手当については、札幌公共職業安定所ほか124公共職業安定所において、受給者が誠実でなく、再就職手当支給申請書に事実と相違した雇用年月日を記載していたものがあったのに、申請書に対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行ったため、これに基づいて支給した再就職手当が、北海道ほか24都府県で、本院が調査した受給者6,381人分の給付のうち237人分72,561,950円、

それぞれ不適正に支給されていた。

(注)  受給資格者 事業所を管轄する公共職業安定所が事業主から提出された離職証明書に基づいて離職票を作成して離職した被保険者に交付し、その被保険者はこれを居住地の公共職業安定所に提出し、原則として離職日以前1年間に被保険者期間が通算して6箇月以上あり、かつ、労働の意思及び能力があるにもかかわらず職業に就くことができない状態にあることなどの認定を受けることになっており、この認定を受けた者が受給資格者である。

(別表)

都道府県名 公共職業安定所 本院が調査した受給者数 不適正受給者数 左の受給者に支給した失業給付金 左のうち不適正失業給付金

北海道
札幌ほか14
1,359

44
千円
22,239
千円
7,151
札幌ほか2 148 6 1,892 1,892
小計 24,132 9,044
宮城県 仙台ほか6 711 30 12,558 3,235
仙台ほか4 191 10 3,331 3,331
小計 15,890 6,567
福島県 福島ほか4 442 13 8,802 2,355
福島ほか3 231 4 1,187 1,187
小計 9,990 3,543
茨城県 水戸ほか5 583 23 9,266 1,804
水戸ほか4 162 7 1,519 1,519
小計 10,786 3,323
栃木県 宇都宮ほか9 683 25 10,708 2,857
足利ほか4 172 8 2,208 2,208
小計 12,916 5,066
埼玉県 川口ほか9 901 32 10,121 4,164
川口ほか9 642 22 7,011 7,011
小計 17,133 11,176
千葉県 千葉ほか7 833 30 8,553 3,038
千葉ほか5 345 16 5,036 5,036
小計 13,589 8,074
東京都 飯田橋ほか14 1,686 38 15,519 5,801
上野ほか8 619 13 4,371 4,371
小計 19,891 10,173
神奈川県 横浜ほか6 788 16 4,764 1,571
横浜ほか4 357 7 1,901 1,901
小計 6,665 3,472
福井県 福井ほか3 463 11 4,907 602
福井 59 2 848 848
小計 5,755 1,451
長野県 長野ほか10 1,253 39 19,177 3,897
長野ほか3 142 6 2,181 2,181
小計 21,358 6,078
愛知県 名古屋東ほか10 849 36 23,515 7,701
名古屋東ほか9 514 18 7,339 7,339
小計 30,855 15,041
三重県 伊勢ほか6 452 19 8,234 1,434
伊勢ほか4 246 12 4,248 4,248
小計 12,482 5,683
滋賀県 大津ほか5 503 25 12,016 5,653
大津ほか4 181 8 1,703 1,703
小計 13,720 7,357
京都府 京都西陣ほか5 596 34 13,817 6,165
京都西陣ほか4 298 16 5,516 5,516
小計 19,333 11,681
大阪府 大阪東ほか11 1,491 34 12,531 5,169
大阪東ほか7 477 13 3,590 3,590
小計 16,121 8,759
兵庫県 神戸ほか7 796 15 5,348 1,469
神戸ほか6 488 11 3,269 3,269
小計 8,618 4,739
和歌山県 和歌山ほか6 688 26 8,339 2,294
和歌山ほか2 144 6 1,927 1,927
小計 10,266 4,222
山口県 山口ほか6 465 22 13,555 3,676
山口ほか4 216 13 3,644 3,644
小計 17,199 7,321
徳島県 徳島ほか6 618 28 14,062 4,559
徳島ほか5 130 13 2,607 2,607
小計 16,669 7,166
愛媛県 松山ほか4 639 21 8,182 2,249
松山ほか1 96 4 441 441
小計 8,623 2,690
福岡県 福岡ほか5 472 17 11,358 3,257
福岡ほか4 203 9 3,468 3,468
小計 14,826 6,725
佐賀県 佐賀ほか4 492 26 9,916 1,781
佐賀ほか2 109 5 1,014 1,014
小計 10,930 2,795
鹿児島県 鹿児島ほか8 886 27 8,100 2,359
鹿児島ほか2 131 5 1,337 1,337
小計 9,438 3,697
沖縄県 那覇ほか2 303 9 3,724 1,382
那覇 80 3 961 961
小計 4,685 2,343
合計 197箇所 18,952 640 279,322 85,635
125箇所 6,381 237 72,561 72,561
351,884 158,197

(注1) 上段は基本手当に係る分、下段は再就職手当に係る分である。

(注2) 不適正受給者のうち基本手当と再就職手当の双方に係る者が234人おり、したがって、不適正受給の実人員は643人である。