会計名及び科目 | 一般会計 (組織)建設本省 | (項)都市計画事業費 |
道路整備特別会計 | (項)道路事業費 (項)北海道道路事業費 (項)街路事業費 |
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部局等の名称 | 北海道ほか6府県 | |
補助の根拠 | 道路法(昭和27年法律第180号)、下水道法(昭和33年法律第79号)等 | |
事業主体 | 道1、県2、市3、その他1、計7事業主体 | |
補助事業 | 夕張市道道夕張平取線道路改良(その1)等9事業 | |
上記に対する国庫補助金交付額の合計 | 656,028,733円 |
上記の9補助事業において、工事の設計等又は工事費の積算が適切でなかったり、工事の施工が設計と相違していたりなどしていて、国庫補助金165,005,783円(一般会計の分23,730,500円、道路整備特別会計の分141,275,283円)が不当と認められる。これを道府県別に掲げると別表
のとおりである。
(説明)
建設省所管の補助事業は、地方公共団体等が事業主体となって実施するもので、同省では、これらの事業主体に対して事業に要する費用について補助金を交付している。 しかして、これらの補助事業の実施及び経理について検査したところ、前記の7事業主体が実施した街路事業、道路事業、下水道事業の9事業において、工事の設計等又は工事費の積算が適切でなかったり、工事の施工が設計と相違していたりなどしていた。
いま、これらについて不当の態様別に示すと次のとおりである。
道府県名 | 事業 | 事業主体 | 事業費 | 左に対する国庫補助金 | 不当と認めた事業費 | 不当と認めた国庫補助金 | 摘要 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(97) | 北海道 | 夕張市道道夕張平取線道路改良(その1) | 北海道 | 77,120 | 51,413 | 45,052 | 30,034 | 工事の設計不適切 |
この工事は、道道夕張平取線の道路改良の一環として、昭和60年度に夕張市清水沢地内に延長140mの道路を新設するため、片持ばり式逆T型鉄筋コンクリート擁壁(以下「擁壁」という。)、盛土等を施工したもので、うち擁壁延長127mは、全延長を9ブロックに分割(1ブロックの長さ11m又は15m)し、各ブロックの盛土の高さ等に応じて底版幅を2.8mから8m、高さを4mから9mとして施工したものである。そして、設計書及び配筋図によれば、擁壁前面のつま先版部に配置する主鉄筋については、9ブロックのうち、第1、第3及び第9の各ブロックには径13mmの鉄筋を、第2及び第4から第8までの各ブロックには径16mmの鉄筋を、擁壁の延長方向にいずれも25cm間隔に配置することとして設計し、これにより施工していた。 しかして、上記設計書及び配筋図の基礎となっている設計計算書によると、第3から第7までの5ブロック延長75m(底版幅6.3m又は8m、高さ6.68mから9m)のつま先版部に配置する主鉄筋については、それぞれ上記と同じ径の鉄筋を12.5cm間隔に配置することとして計算した引張応力度(注) (常時)許容引張応力度(注) を下回っていることから、擁壁としての安定計算上安全であるとしていた。しかるに、設計書及び配筋図を作成する際、第3から第7までの5ブロックのつま先版部における主鉄筋の配置は、上記設計計算書に基づき12.5cm間隔とすべきところを、誤って前記のとおり25cm間隔としたもので、このためつま先版部の主鉄筋に生ずる引張応力度は、第3ブロックでは2,908kg/cm2、第4から第7までの4ブロックでは2,295kg/cm2となり、いずれも許容引張応力度1,600kg/cm2を大幅に上回っており、本件擁壁のうち第3から第7までの5ブロック延長75mは不安定なものとなっている。 (注) 引張応力度・許容引張応力度 「引張応力度」とは、材に外から引張力がかかったとき、そのために材の内部に生ずる力の単位面積当たりの大きさをいい、その設計上許される限度を「許容引張応力度」という。 (参考図) |
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(98) | 静岡県 | 沼津市都市計画道路上香貫東間門線永代橋橋梁整備 | 沼津市 | 81,740 | 44,957 | 6,209 | 3,414 | 工事費の積算過大 |
この工事は、沼津市都市計画道路上香貫東間門線の改良工事の一環として、沼津市仲町・市場町地内の永代橋の架替えに伴い、昭和61年度に橋長179.5m、有効幅員2mの自転車歩行者専用の仮橋を架設したものである。このうち、橋梁下部工は橋脚としてH形鋼を地中に打ち込み、これに横構材、綾構材及び水平つなぎ構材(以下「鋼材結構材」という。)を組み合わせて構築するもので、この工事費の積算に当たっては、静岡県が制定した「設計標準」に基づき、H形鋼58.374tの 工場原価を16,995,538円と算出するなどして、橋梁下部工費を計31,944,717円と算定していた。そして、上記工場原価のうち、H形鋼の製作費については、設計標準のうち上部工の積算に適用する「鋼橋積算基準」に基づき10,938,120円と積算していた。 しかし、上記「鋼橋積算基準」は、各種鋼板を工場で切断し、溶接するなど加工して橋梁用の桁を製作する場合に適用するものであり、本件の場合は、設計図書によれば、市販されている既製品のH形鋼を工場で塗装し、これを現場で所定の位置に打ち込んだ後、鋼材結構材を取り付けるための孔明けを行うだけで工場での加工は要しないものであり、前記基準を適用してH形鋼の製作費を積算したのは適切とは認められない。 したがって、既製品のH形鋼を用いることとして積算したとすれば、H形鋼の工場原価は鋼材費、塗装費等4,690,153円となり、積算不足となっていた足場費等を修正しても橋梁下部工費は計21,577,010円となる。このほか、橋梁上部工費において積算基準の適用を誤るなどしていて713,255円が過大となっていた。 いま、仮に上記により工事費を修正計算すると、積算漏れとなっていた係船賃等750,128円を考慮するなどしても総額75,530,079円となり、本件工事費はこれに比べて約6,209,000円割高となっていると認められる。 |
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(99) | 大阪府 | 岸和田市公共下水道管きょ築造 | 岸和田市 | 550,000 | 275,000 | 47,461 | 23,730 | 工事の施工不良 |
この工事は、岸和田市公共下水道事業の一環として、昭和61年度に同市額原、小松里両町地内の公道路面下に内径2,000mmの雨水幹線管きょ延長782.15mを新設するため、シールド工法により、トンネルを掘削し、一次覆工として外径2,750mmの鋼製のセグメントを布設するなどしたもので、設計書、図面及び仕様書によると、セグメントの布設高に関する出来形規格値(施工上設計値に対し誤差を生じた場合、それがやむを得ないと認められる範囲)を±50mm以内とし、縦断勾配を下流側(起点)より上流側へ全延長にわたり上り1,000分の3の勾配として施工することとしていた。また、本件工事完成後二次覆工として巻き厚272mmの覆工コンクリートを施工し、トンネルを完成することとしている。 しかるに、セグメントの布設高及び縦断勾配について調査したところ、セグメントの布設高は、起点付近の延長72.9m区間において設計値に比べ上記の出来形規格値−50mmを超えており、特に、このうち延長54m区間については、上記出来形規格値の2倍の−100mmを超えていて最大−215mmにもなっている箇所があった。この結果、縦断勾配も、上記72.9m区間の起点寄りの延長19.8m区間では下り1,000分の5.4(平均)の逆勾配、残りの延長53.1m区間では上り1,000分の6.1(平均)の急勾配となっていて、上記72.9m区間の掘削及び一次覆工は、施工が設計と著しく相違したものとなっており、縦断勾配を設計どおりに維持しようとすれば、今後施工予定の二次覆工の設計巻き厚も十分確保できないこととなる。 (参考図) |
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(100) | 奈良県 | 大和都市計画道路勾田櫟本線街路新設(用地取得) | 天理市 | 168,000 | 112,000 | 85,200 | 56,800 | 事業の一部不実施 |
(101) | 同 | 同(物件移転補償等) | 同 | 120,000 | 80,000 | 54,641 | 36,427 | 同 |
これらの事業は、大和都市計画道路勾田櫟本線街路新設事業の一環として、昭和59年度から63年度までの間に、道路用地430.89m2
の取得を事業費168,000,000円で、また、59年度に上記の土地に所在する住宅等建物4棟、工作物等の移転補償等を事業費120,000,000円で施行するものである。上記事業のうち、(1)用地取得について、天理市は、天理市土地開発公社(以下「公社」という。)との間で、公社に上記土地を先行取得させ、これを60年度以降4箇年間に分割して取得するとした契約を締結し、これに基づき、公社は、59年度に当該土地の売買契約を登記名義人の配偶者と締結し代金の支払を了した。そして、同市は、公社と60、61両年度に上記土地430.89m2
のうち計221.24m2
の取得契約を締結して代金の支払を了し、一方、国に対しては、両年度とも事業が当該年度内に完了したとして、国庫補助金計56,800,000円の交付を受けていた。また、(2)物件移転補償等について、同市は、59年度の未完了部分を60年度に繰り越したうえ、事業が60年度までに完了したとして、59、60両年度に国庫補助金計80,000,000円の交付を受けていた。 しかし、(1)上記土地430.89m2の所有権は、59年度に公社が売買契約を締結する時点で既に登記名義人の死亡により共同相続され、共同相続人間で当該土地を含めた遺産の分割について調停交渉が進められていて、その権利関係等が明確でなかったのに、公社は、これら権利関係等に関する調査を十分行わないまま、登記名義人の配偶者(共同相続人の1人で、調停結果によると、当該土地の所有権についての持分は2分の1である。)のみを相手方として売買契約を締結し、また、同市も権利関係等を確認しないまま、公社と前記の取得契約を締結していた。このため、前記221.24m2の土地85,200,000円(これに対する国庫補助金相当額56,800,000円)については、62年5月の会計実地検査当時においてもなお所有権移転登記も完了することができない状況であった。また、(2)前記の物件移転補償等のうち、前記土地に所在し、60年度までに移転したとしていた住宅等建物4棟延べ316.61m2及び工作物等一式計54,641,501円(これに対する国庫補助金相当額36,427,667円)については、その権利関係等が(1)と同様であったにもかかわらず、同市が、調査を十分行わないまま共同相続人の1人である前記配偶者(調停結果によると、当該物件の所有権を有しない。)のみを相手方として移転補償契約を締結し補償金を支払ったため、62年5月の会計実地検査当時においてもなお移転させることができない状況であった。 |
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(102) | 山口県 | 玖珂郡周東町一般国道376号道路改良 | 山口県 | 40,650 | 27,100 | 3,214 | 2,142 | 工事の設計不適切 |
この工事は、一般国道376号の道路改良の一環として、昭和60年度に周東町桧余地地内に延長200mの道路を新設するため、切土、盛土、法枠ブロック、パイプカルバート等を施工したもので、うち盛土により道路下に埋没する既存の2水路に代わる排水施設として2箇所に設置したパイプカルバート延長31.65m及び33.35m計65mについては、設計書、図面によれば、内径800mmの遠心力鉄筋コンクリート管の普通管二種を土被り最大7.6m及び7.0mの位置に、管底部をコンクリートにより管外周の2分の1で固定するいわゆる180度固定基礎として設計し、これにより施工していた。 しかし、上記の設計は、建設省が制定した「土木構造物標準設計1」の「パイプカルバート基礎形式選定図」により基礎形式を選定する際に、管種を誤ってプレストレストコンクリート管二種の場合を適用して180度固定基礎としたものであって、一般的に用いられている「道路土工 擁壁・カルバート・仮設構造物工指針」(社団法人日本道路協会編)に基づき、本院において、本件パイプカルバートについて土圧等の荷重に対する管体の安全率の計算を行ったところ、目標値とされている1.25に対して最大土被り厚の位置においてはそれぞれ0.56及び0.61となっており、管種を遠心力鉄筋コンクリート管の普通管二種として設計するとすれば、管の全周をコンクリートで巻き立てるいわゆる360度固定基礎とする必要があったと認められた。このように、選定図の適用を誤って前記のように設計、施工したため本件2箇所のパイプカルバートはいずれも強度が不足し、それぞれ延長19.44m計38.88mの管頂部に既に多数のき裂が生じていて著しく不安定なものとなっている。 (参考図) |
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(103) | 徳島県 | 鳴門市都市計画道路黒山中山線新設 | 鳴門市鳴門町土地区画整理組合 | 12,545 | 7,527 | 12,545 | 7,527 | 工事の施行不適切 |
(104) | 同 | 鳴門市区画街路新設(6−1号線ほか) | 同 | 11,669 | 7,001 | 6,015 | 3,609 | 同 |
これらの工事は、鳴門市鳴門町土地区画整理事業の一環として、昭和60年度に施行区域内に幅員25mの都市計画道路黒山中山線延長154.5m、同線に接続する幅員6mの区画街路6−1号線延長163.0m等を新設するため、別途の工事により本件両工事の着工直前に盛土(厚さ80cm程度)した箇所に、黒山中山線についてはU型側溝延長273.5m、歩車道を分離するL型側溝延長265.5m、中央分離帯延長208.0m等を、また、区画街路6−1号線についてはU型側溝延長321.0m等を、62年度以降に施行予定の舗装工事等に先行してそれぞれ施工したものである。そして、上記各構造物は、設計書、図面等によれば、U型側溝蓋部等を除く主体の部分はいずれも現場打ちの無筋コンクリート構造とし、地盤を所定の深さまで掘削するなどして、砕石基礎を厚さ10cm又は15cm敷き均し転圧した上に築造し、構造物の伸縮目地は施工間隔10mを標準とする設計により施工することとしていた。 しかして、黒山中山線の基礎地盤はもともと海面の埋立地であること、当該土地区画整理事業で実施した本件施行場所付近の土質調査によるとその土質は非常に軟弱な土質となっていること、工事の直前に黒山中山線及び区画街路6−1号線施行場所の上に新たに多量の盛土をしていることなどを考慮すると、これらの施行場所の地盤は、軟弱で、圧密沈下が生じる不安定なものであり、このような場合には、地盤の安定が得られるまで工事着工を延伸したりするなどその計画、設計に当たって、十分慎重を期する要があったと認められる。 しかるに、このような配慮をすることなく工事を施行していたことのほか、U型側溝の一部の区間において伸縮目地を標準間隔に比べて相当程度長い間隔で施工していたことなどもあって、しゅん功後約1年を経た62年3月現在、計測点49箇所のうち37箇所(黒山中山線31全箇所、区画街路6−1号線18箇所のうち6箇所)で前記各構造物に計画高と比べて21mmから130mmの不等沈下が生じていたり、施工したU型側溝及びL型側溝には多数のき裂(黒山中山線43箇所、最大幅7mm、区画街路6−1号線10箇所、最大幅15mm)が生じていたりしている状況であった。 |
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(105) | 香川県 | 綾歌郡宇多津町県道飯野宇多津線道路改良 | 香川県 | 85,050 | 51,030 | 2,199 | 1,319 | 工事の設計不適切 |
この工事は、県道飯野宇多津線の道路改良の一環として、昭和60、61両年度に宇多津町地内に延長465mの道路を新設するため、切土、盛土、パイプカルバート(参考図)等を施工したもので、うち盛土により道路下に埋没する既存の水路に代わる排水施設として設置したパイプカルバート延長34.3mについては、設計書、図面によれば、内径1,000mmの遠心力鉄筋コンクリート管の普通管一種を土被り最大7.2mの位置に、管底部をコンクリートにより管外周の2分の1で固定するいわゆる180度固定基礎として設計し、これにより施工していた。 しかし、上記の設計は、建設省が制定した「土木構造物標準設計1」の「パイプカルバート基礎形式選定図」により基礎形式を選定する際に、管種を誤ってプレストレストコンクリート管一種の場合を適用して180度固定基礎としたものであって、一般的に用いられている「道路土工 擁壁・カルバート・仮設構造物工指針」(社団法人日本道路協会編)に基づき、本院において、本件パイプカルバートについて土圧等の荷重に対する管体の安全率の計算を行ったところ、目標値とされている1.25に対して最大土被り厚の位置においては0.32となっており、管種を遠心力鉄筋コンクリート管の普通管一種として設計するとすれば、管の全周をコンクリートで巻き立てるいわゆる360度固定基礎とする必要があったと認められた。このように、選定図の適用を誤って前記のように設計、施工したため本件パイプカルバートは強度が不足し、全延長のうち延長28.31mの管頂部等に既に多数のき裂が生じていて著しく不安定なものとなっている。 |
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計 | 1,146,774 | 656,028 | 262,536 | 165,005 |