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  • 昭和61年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第11 建設省|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

下水道工事の設計における鋼製セグメントの材種の選定を適切なものに改善させたもの


(2) 下水道工事の設計における鋼製セグメントの材種の選定を適切なものに改善させたもの

会計名及び科目  一般会計 (組織)建設本省 (項)都市計画事業費
部局等の名称  東京都、千葉県
補助の根拠  下水道法(昭和33年法律第79号)
事業主体  都県2、市2、計4事業主体
補助事業  下水道整備事業
補助事業の内容  下水道の整備をするため下水道管きょを築造するなどの事業
事業費  4,874,310,000円
上記に対する国庫補助金 2,569,160,000円

 上記の補助事業において、シールド工法により下水道管きょを築造する工事における鋼製セグメント(以下「セグメント」という。)の設計に当たり、材種の選定が適切でなかったため、セグメントの資材費が約9300万円(国庫補助金相当額約4900万円)過大になっていた。
 このようにセグメントの資材費が過大となっていたのは、鋼材価格はやや高価であるものの使用鋼材重量が少なくて済み経済的となるセグメントが普及してきているのに、これを考慮することなく設計していたことによるもので、材種の選定を適切に行って設計する要があると認められた。

 上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。

(説明)
 建設省では、下水道の整備を推進するため、下水道事業を実施する地方公共団体等に対し、毎年度多額の国庫補助金を交付しているが、これらの下水道事業のうち、東京都ほか3事業主体(注) が昭和61年度に施行している秋川幹線その3工事ほか6工事(工事費48億7431万円、国庫補助金25億6916万円)について検査したところ、次のとおりセグメントの材種に関する設計が適切でないと認められる点が見受けられた。

 すなわち、上記各工事は、下水道管きょを築造するためシールド工法によりトンネル掘削、一次覆工等を施工しているものであるが、これら各工事の一次覆工に使用するセグメントの設計についてみると、セグメントの材種としては、引張り強さ41kgf/mm2 以上の一般構造用圧延鋼材(以下「SS41」という。)と引張り強さ50kgf/mm2 以上の溶接構造用圧延鋼材(以下「SM50」という。)があるが、このうちSS41を使用することとして、セグメントの資材費を1,059,478,580円と算定していた。

 しかして、前記各工事の設計に当たり、セグメントの材種をSS41としたのは、社団法人日本下水道協会でSS41の使用を標準としてセグメントの形状及び寸法を規格化しているので個々の工事に使用するセグメントの選定が容易であったり、SM50を使用するとSS41に比ベセグメントの部材厚が薄くなるので施工性等を懸念したりしたことなどによるものである。

 しかしながら、SM50はSS41に比べ単位重量当たりの鋼材価格はやや高価であるものの、引張り強さ等が大きいため、部材厚が薄いもので足り、使用鋼材重量が少なくて済むため、セグメントリング1m当たりの価格は、SS41を使用した場合に比べ安価となるのが通例であり経済的であると認められ、施工性等についても特に問題がないとして、近年、各事業主体において広く使用されてきており、施工の実態を見ても何らの支障もない状況となっていた。

 したがって、前記各工事のセグメントの設計に当たっては、SS41に代えてSM50を使用することとするのが適切であったと認められ、これによれば、資材費を約9300万円(国庫補助金相当額約4900万円)低減できたと認められた。

 上記についての本院の指摘に基づき、建設省では、62年10月に各地方公共団体あて通達を発し、セグメントを使用する工事の設計に当たっては、経済性等を十分考慮したうえでセグメントの材種を決定することとする処置を講じた。

(注)  東京都ほか3事業主体 東京都、千葉県、町田、東久留米両市

(参考図)

(参考図)