科目 | (損益勘定) (項)保守費 |
部局等の名称 | 新幹線総局岡山保線所 |
工事名 | 相生岡山間大ヶ池高架橋橋脚修繕工事 |
工事の概要 | 山陽新幹線大ヶ池高架橋橋脚の鉄筋コンクリートぐい26本を修繕する工事 |
工事費 | 17,108,000円 |
請負人 | 極東工業株式会社 |
契約 | 昭和61年12月 指名競争契約 |
しゅん功検査 | 昭和62年2月 |
支払 | 昭和62年3月 |
この工事は、監督及び検査が適切でなかったため、くい周囲の巻立てコンクリートの施工が設計と著しく相違したものとなっていて、工事の目的を達していないと認められる。
(説明)
この工事は、山陽新幹線相生岡山間大ヶ池高架橋の橋脚の鉄筋コンクリートぐい(直径1.5m)のうち、劣化の著しいくい26本の池底部から高さ3.5mまでの部分を修繕したものである。
しかして、この修繕方法は、設計図書、示方書等によると、くいの修繕部分が水中にあるため、くいの周囲にコルゲートセクション(注) を組み立て、その外周の池底部にビニールシートを巻き、土のうを積み重ねて水の浸入を防止し、その内部の水をポンプで排水する締切工を施工した後、くい表面の劣化した部分をはつり取り、くいの全周を厚さ25cm の鉄筋コンクリートで巻き立てることとしていた。
しかるに、本院において会計実地検査の際、工事の施工写真をみると、締切りがないままコンクリートが打設されているものなどが見受けられたので、巻立てコンクリートの施工状況について調査したところ、次のような事態が見受けられた。
すなわち、前記26本の巻立てコンクリートは、締切工を施工していなかったり、排水が不完全だったりしたままコンクリートを打設したため、全周にわたって、下半分(池底部からの高さが1.1mから2.2mまでの部分)の施工が著しく悪く、粗骨材とモルタルとが分離して内部まで豆板状になっており、ハンマーでたたくと容易にくずれたり、セメントペーストがほとんど流失し、粗骨材と細骨材とが残っているだけで素手で
(参考図)
簡単にかき出せたりする状況であった。そして、なかには、部分的に骨材が脱落して鉄筋が露出し、内部のくいが見えているものが15本あった。
以上のように、巻立てコンクリートの施工が粗雑で設計と著しく相違したものとなっていて、本件工事(工事費17,108,000円)はその目的を達していないと認められる。
(注) コルゲートセクション 波形亜鉛メッキ鋼板を円弧形に曲げ加工した部材