科目 | (工事勘定) (項)一般施設取替改良費 |
部局等の名称 | 仙台鉄道管理局盛岡工事事務所 |
工事名 | 昭和61年度減渇水対策工事 |
工事の概要 | 東北新幹線蔵王トンネル工事に伴い減渇水した地域において、農業用水等の恒久対策工事の一環として、ため池新設工、水質改善工等を実施するもの |
工事を委託した相手方 | 宮城県白石市 |
工事の実施に関する覚書 | 昭和54年10月18日 |
覚書に基づく協定 |
昭和61年9月20日、変更 昭和62年2月12日 |
工事費の支払金額 | 144,000,000円 |
支払 | 昭和61年11月〜62年3月 4回 |
トンネル工事に伴う減渇水恒久対策工事を委託して施行するに当たり、工事費の精算の際の審査が適切でなかったため、実施されていない水質改善工に対して工事費1200万円を支払っており、その処置が適切でなかったと認められる。
(説明)
日本国有鉄道(以下「国鉄」という。)では、昭和46年に着工した東北新幹線蔵王トンネル工事において、施工中の47年8月ごろから大量の出水が続いたことに伴い、宮城県白石市越河、斉川両地区において減渇水現象が生じ、農業用水や飲料水等に不足を来す事態が生じたので、48年5月以降、農業用水等を確保するための暫定措置を執り、その後、54年10月、減渇水を抜本的に解決するために、上記地区の関係住民の代表としての白石市との間で、減渇水恒久対策工事の実施に関する覚書を取り交わし、農業用水等としてトンネル湧水を送水するためのパイプライン敷設やため池新設等の工事を行うこととし、その施行等はその都度国鉄の委託により同市が行い、その費用は国鉄が負担することとした。そして、国鉄では、上記の覚書に基づきため池新設工等の工事を実施する協定を61年9月に締結し、工事費の概算金額を102,370,000円としたが、62年2月、トンネル出口に設けた揚水場にトンネル湧水を中和するための設備を設置する工事(工事費1200万円。以下「水質改善工」という。)等を追加し、工事費の概算金額を144,000,000円に変更し、62年3月に上記工事がしゆん功したとして工事費残額を支払い、同額で精算を了していた。
しかして、本件協定によれば、国鉄は、工事に要する費用を同市の請求により支払うが、工事しゆん功後その費用を精算するものとしており、この場合、工事の実施を確認するために契約履行確認調書等を精算書に添付させる取扱いとなっていて、国鉄では、これにより精算の審査を行うこととしていた。
しかるに、62年5月、本院が会計実地検査の際調査したところ、同市は、上記工事のうち水質改善工を全く実施しておらず、また、国鉄は、前記工事費の精算に必要な契約履行確認調書のうち水質改善工の分については同市から提出されていないまま審査を了していた。
このように水質改善工が実施されていないのに、国鉄がこれに係る工事費1200万円を支払ったのは適切とは認められない。
なお、本件の不当支払工事費1200万円については、62年7月、同市から返還された。