科目 | (貸付金勘定) 個人住宅貸付 |
部局等の名称 | 仙台、東京、南関東、名古屋、大阪、広島、高松各支所 |
貸付けの根拠 | 住宅金融公庫法(昭和25年法律第156号) |
貸付種別 | 団地住宅購入資金貸付 |
貸付金の内容 | 民間業者が分譲する共同建住宅を購入する者に対して貸し付ける資金 |
貸付件数 | 175件 |
貸付金の合計額 | 1,900,700,000円 |
上記175件の貸付けにおいて、貸付けを受けた者(以下「借入者」という。)が、自ら居住するための住宅という貸付要件に違反して、購入した住宅を第三者に賃貸したり、会社事務所等の非住宅用途に利用したりなどしていて、これらに係る不適切な貸付金額は合計19億0070万円となっていた。
このような事態を生じているのは、借入者の不誠実にもよるが、貸付契約の内容が借入者の不誠実な行為を十分抑制するものになっていなかったこと、住宅金融公庫(以下「公庫」という。)及び公庫から業務の委託を受けた金融機関が行う融資住宅の実態調査が必ずしも適切でなかったことなどによるもので、速やかに体制を強化し契約内容を変更するなどして第三者賃貸等の防止に努める要があると認められた。
上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。
(説明)
公庫では、貸付業務の一環として、昭和47年度以降、民間業者が計画的、集団的に建設した分譲住宅(以下「団地住宅」という。)を購入する者に対し、団地住宅購入資金の貸付けを行っているが、この貸付けは、公庫から貸付けを受けなければ住宅の取得ができない者が自ら居住するために住宅を購入する場合に貸し付けられるものであり、この要件に違反した場合には、借入者は、弁済期日が到来する前に貸付金の全額を償還しなければならないこととなっている。
しかして、本院が62年中に、仙台ほか6支所(注) が57年度から61年度までの間に行った団地住宅購入資金貸付けのうち30,326件貸付金額2626億7580万円について、団地住宅の使用状況を調査したところ、借入者が自ら居住することとして資金の貸付けを受けていながら、実際は、購入住宅を第三者に賃貸していたり、会社事務所等の非住宅用途に利用していたりなどしていて、適切とは認められないものが合計175件貸付金額19億0070万円見受けられた。
本件団地住宅購入資金の貸付けについては、本院において59年中に検査した結果、上記と同様の不適切な事例が多数見受けられたので、同年10月公庫に対し、是正改善の処置を求め、公庫ではこれに応え、第三者賃貸等の防止を図るよう体制を整備し、その適正化に努めてきたところであるが、なお、前記のような事例が多数見受けられたものである。
このような事態を生じているのは、借入者の不誠実にもよるが、
(1) 貸付契約に、借入者の不誠実な行為に対する違約金制度がなく、十分な抑制機能を持ったものになっていなかったこと、
(2) 公庫及び公庫から業務の委託を受けた金融機関が行う融資住宅の実態調査は、59年に体制が整備されたが、なおその運用上、調査対象の選定などが必ずしも適切でなかったこと
などによると認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、住宅金融公庫では、前記175件の貸付けについて繰上償還の措置を講ずるとともに、62年11月に各支所長あて「マンション等の購入資金貸付けに係る違約金徴収の取扱いについて」及び「個人向融資(購入系)に係る目的外使用の防止策について」の通ちょうを発するなどして、第三者賃貸等の防止を図るため、体制を強化し契約内容を変更するなどの処置を講じた。
(注) 仙台ほか6支所 仙台、東京、南関東、名古屋、大阪、広島、高松各支所