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沖縄振興開発金融公庫で、上記54件の農林漁業施設資金(注) (以下「施設資金」という。)の貸付けにおいて、従前から直接貸付けを行っている農業協同組合等に対しては、直接貸付けの方法によって貸し付けることが適当であるのに、金融機関に、審査、貸付け、債権管理等の業務を委託して貸し付ける方法(以下「代理貸付け」という。)によって貸し付けたものが13件あり、そのため、償還期限までに、これに係る業務委託手数料合計約6320万円を不経済に支払うことになっていた。
このような事態を生じていたのは、沖縄振興開発金融公庫は、従前から施設資金の貸付けを直接行っている貸付先については、その事業内容等を把握しているので、新規貸付けに係る事業計画等の審査等の事務を効率的に行うことができたと認められるのに別途代理貸付けを行って審査等の事務を委託していたことによるもので、従前からの直接貸付先に対しては、すべて直接貸付けを行うことにより、業務委託手数料の節減を図る要があると認められた。
上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。
(説明)
沖縄振興開発金融公庫(以下「公庫」という。)では、農林漁業者等に対し、農業施設、畜産施設、水産施設等の取得等に必要な資金を、直接貸付け又は代理貸付けによって貸し付けており、その貸付金残高は昭和62年3月末現在で538億0501万余円に上っている。このうち、沖縄県信用農業協同組合連合会(以下「県信連」という。)を通じ代理貸付けを行っている施設資金ほか5資金の貸付金残高は同月末現在で214億2413万余円となっている。そして、公庫では、その代理貸付けに係る業務委託手数料として、県信連の受託貸付金の残高に応じて回収利息に一定割合を乗じた金額を償還が終了するまで支払うこととなっている。
しかして、上記のうち、施設資金の代理貸付けの実態について調査したところ、公庫が従前から施設資金等を直接貸し付けている農業協同組合等に対して更に代理貸付けを行っていたものが、60年度3件で5億5508万円、61年度10件で1億9566万余円、計13件で7億5074万余円見受けられた。
しかしながら、公庫は、施設資金等の直接貸付先である上記農業協同組合等については、その事業内容、財務内容、既往取引状況等を把握しているので、貸付けに係る事業計画、資金計画等の審査も容易であって、これに伴い発生する事務量もわずかであるから、上記代理貸付けを直接貸付けとするのが適当であったと認められた。
いま、仮に上記13件の貸付けを直接貸付けにより行ったとすれば、これに係る償還期限までの業務委託手数料、60年度貸付分計約5120万円、61年度貸付分計約1190万円、合計約6320万円は支払う要がなくなるものと認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、沖縄振興開発金融公庫では、62年11月、県信連に対し、既に施設資金の直接貸付けを行っている貸付先に対しては、直接貸付けを行うことを内容とする通知を発して、同年12月の借入申込みに係るものから実施することとする処置を講じた。
(注) 農林漁業施設資金 貸付先が農業協同組合等の団体に限定されている資金で、農林漁業の共同利用に供する倉庫等の施設の改良、取得等に対して貸し付けるもの(60年7月までは共同利用施設資金)