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  • 昭和61年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第5 日本道路公団|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

土地測量における境界測量等の仕様及び積算を作業の実態に適合するよう改善させたもの


(1) 土地測量における境界測量等の仕様及び積算を作業の実態に適合するよう改善させたもの

科目 (款)高速道路建設費 (項)建設工事費
部局等の名称 仙台、東京第一、東京第二、名古屋、大阪、高松、広島各建設局
契約名 昭和61年度東北横断自動車道酒田線(関沢〜山形)用地等調査委託契約ほか19件

委託業務の概要

高速道路の建設に要する道路予定地について、土地測量及び立木等の調査を行う業務
契約金額 1,456,764,580円(当初契約額1,185,589,000円)
契約の相手方 山形県ほか6県及び福島県土地開発公社ほか3公社
契約 昭和61年4月〜11月

 上記の業務において、土地測量における境界測量及び面積計算に関する仕様及び積算が適切でなかったため、積算額が約7000万円過大になっていた。
 このように積算額が過大になっているのは、近年、境界測量及び面積計算の作業は、光波を利用して距離、角度を同時に測定する光波測距測角儀(以下「測距測角儀」という。)及びパーソナルコンピュータ(以下「パソコン」という。)を使用することが一般的となっていて、これらの機器を使用して効率的に行われているのに、このような作業実態を仕様書及び積算の基準に反映させていなかったことによるもので、作業の実態に即した積算をする要があると認められた。

 上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。

(説明)
 日本道路公団(以下「公団」という。)では、高速道路の建設に要する道路用地を取得するために土地測量、立木等の調査を行う業務を毎年多数実施しているが、このうち、仙台建設局ほか6建設局が昭和61事業年度に山形県ほか6県及び福島県土地開発公社ほか3公社に委託して施行している測量調査業務20件(契約額14億5676万余円)について検査したところ、次のとおり、土地測量における境界測量及び面積計算に関する仕様及び積算について、適切でないと認められる点が見受けられた。

 すなわち、上記の各測量調査業務は、道路予定地について、境界を確認し、境界測量等を行った後、面積を計算して、実測図を作成するなどの作業を行うものであるが、このうち、境界測量及び面積計算の作業内容は、公団本社制定の土地測量仕様書(以下「仕様書」という。)に定められており、これによれば、境界測量における観測作業については、基準となる地点と各測点の距離を鋼巻尺によって計測し、この角度をトランシットによって観測し、その計算作業については、この観測結果に基づき測点の位置等を計算することとされており、また、面積計算における計算作業については、この数値に基づき、地権者、地番及び地目ごとの面積を計算することとされている。そして、境界測量費及び面積計算費の積算に当たっては、公団本社制定の用地調査積算要領(以下「積算要領」という。)に基づき、技術者及び労務者の1万m2 当たりの歩掛かりを、境界測量の観測作業で測量技師補(従事する各技術者ごとの歩掛かりを測量技師補の歩掛かりに換算したもの。以下同じ。)4.33人、土工1.37人、その計算作業で測量技師補4.25人、面積計算作業で測量技師補2.47人などとし、これに労務単価及び作業面積を乗じて労務費を算出し、これに機器損料などを加えて、境界測量費を1442万m2 分で2億4674万余円、面積計算費を1169万m2 分で3432万余円、委託契約20件で総額2億8107万余円と算定している。

 しかして、上記積算要領における技術者及び労務者の歩掛かりは、公団において53年当時、標準的な地域における作業に要する時間を、境界測量の観測作業で1測点当たり7分、その計算作業で、電子卓上計算機(以下「電卓」という。)を使用して1測点当たり10分、また、面積計算作業で、電卓を使用して1筆当たり15分とし、この作業時間を1日当たりの標準作業時間で除し、これに1万m2 当たりの標準筆数などを乗ずるなどして定めたものである。

 しかしながら、近年、境界測量の観測作業に使用する機器としては、鋼巻尺及びトランシットに代わって、測点の距離及び角度を同時に測定できる測距測角儀が、また、観測結果及び用地面積の計算作業に使用する機器としては、電卓に代わって、観測結果を入力すれば測点の位置、1筆ごとの面積などの計算が容易にできるパソコンがそれぞれ普及してきており、作業の実態を調査したところ、多数の作業において測距測角儀及びパソコンが使用されていて、作業に要した時間は、境界測量の観測作業で1測点当たり5.5分程度、その計算作業で1測点当たり6分程度、面積計算作業で1筆当たり10分程度と著しく短縮されていた。そこで、この作業時間に基づき、技術者及び労務者の1万m2 当たりの歩掛かりを計算すると、境界測量の観測作業で測量技師補3.35人、土工1.08人、その計算作業で測量技師補2.41人、面積計算作業で測量技師補1.63人など、前記積算に比べ低い歩掛かりとなる。

 したがって、これら高性能の機器を観測作業及び計算作業に使用することとすれば、機器損料は高価となるものの技術者等の労務費を大幅に低減できることとなり、これらの作業を経済的に施行することができると認められた。

 いま、仮に上記により土地測量における境界測量費及び面積計算費について作業の実態に即して積算したとすれば、積算額を約7000万円低減できたと認められた。

 上記についての本院の指摘に基づき、日本道路公団では、62年10月に土地測量における境界測量及び面積計算に関する仕様書及び積算要領の内容を作業の実態に即したものに改め、同年11月以降契約を締結する業務から適用することとする処置を講じた。