科目 | (款)高速道路改良費 | (項)改良工事費 |
(款)高速道路建設費 | (項)建設工事費 | |
(款)一般有料道路改良費 | (項)改良工事費 | |
部局等の名称 |
東京第一、東京第二、金沢、名古屋、大阪、広島各管理局 | |
工事名 | 東名高速道路菊川IC〜三ヶ日IC間舗装改良(その1)工事ほか48工事 | |
工事の概要 | 高速道路等におけるアスファルト舗装の損傷箇所を切削し、在来の路面高までオーバーレイ(注1) をするなどの工事 | |
工事費 | 5,758,460,499円(当初契約額5,525,472,240円) | |
請負人 | 福田道路株式会社ほか33会社 | |
契約 | 昭和61年4月〜12月 指名競争契約 |
上記の各工事において、切削オーバーレイ工における路面切削費等の積算が適切でなかったため、積算額が約1億7000万円過大になっていた。
このように積算額が過大になっているのは、近年、路面切削用の機械として作業能力が高い大型の路面切削機が普及してきており、これによる施工が一般的となっているのに、これを積算の基準に反映させていなかったことによるもので、施工の実態に即した積算をする要があると認められた。
上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。
(説明)
日本道路公団(以下「公団」という。)では、高速道路等の舗装改良工事を毎年多数実施しているが、このうち、東京第一管理局ほか5管理局が昭和61事業年度に施行している舗装改良の工事49工事(工事費総額57億5846万余円)について検査したところ、次のとおり、切削オーバーレイ工における路面切削費等の積算について、適切でないと認められる点が見受けられた。
すなわち、上記各工事は、高速道路等の維持管理の一環としてアスファルト舗装の損傷箇所を補修するなどの舗装改良工事を施工するものであるが、このうち、直接工事費としての路面切削費及びカッタービット消耗費並びに割掛間接工事費(注2) としての路面切削機運搬費の積算についてみると、公団が制定した維持修繕等積算要領(以下「積算要領」という。)に基づき、路面切削は、路面を加熱した後切削することとし、非自走式の路面加熱機を装着した小型(200馬力級)の路面切削機(以下「小型路面切削機」という。)2台を1組、1台当たり2人編成計4人で施工することとして、その路面切削費及びカッタービット消耗費を切削面積2,425,651m2 分で7億8484万余円とし、また、路面切削機は、作業期間中は作業基地から現場まで毎日往復運搬するなどとし、その運搬費を2億0379万余円として総額9億8863万余円と算定していた。
しかしながら、近年、小型路面切削機に代わり、路面を加熱することなく切削でき、かつ、作業能力も著しく向上した大型(430馬力級)の路面切削機(以下「大型路面切削機」という。)が普及してきており、施工の実態も多数の工事において大型路面切削機1台で路面加熱機を用いることなく施工しており、その作業能力は積算要領で定めている小型路面切削機2台1組で施工することとした場合と同程度の効率的な施工となっている状況であった。
したがって、大型路面切削機により施工することとすれば、大型路面切削機1台の1時間当たり機械損料は小型路面切削機1台に比べ1.75倍程度高価となるものの作業能力が2倍程度上昇することから、本件積算で小型路面切削機2台1組としていたものが大型路面切削機1台で足りることとなり、路面切削機の同一作業量に対する機械損料が低減できるほか、その張付け人員も1台分2人で足りるので労務費も低減でき、さらに、路面加熱機の機械損料及び燃料費が不要となるなどのため路面切削を相当経済的に施工することができたと認められる。また、路面切削機の運搬費も大型路面切削機1台分を計上すれば足りるので運搬費も低減できたと認められる。
いま、仮に上記各工事の路面切削費等の積算について施工の実態に即して積算したとすれば、積算額を約1億7000万円低減できたと認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、日本道路公団では、62年10月に積算要領を改正して、切削オーバーレイ工における路面切削費等を施工の実態に即したものに改め、同年11月以降契約を締結する工事から適用することとする処置を講じた。
(注1) オーバーレイ 舗装を修繕する目的で、アスファルト混合物を舗設するもの
(注2) 割掛間接工事費 舗装改良工事の施工に当たり、間接的に必要な路面切削機運搬費等の費用を切削オーバーレイ工等関連のある工種の直接工事費にあん分し、計上する工事費