科目 | (款)事業資産 (項)住宅資産 |
部局等の名称 | 東京支社 |
分譲住宅の概要 | 譲渡の相手方を公募し、自ら居住することとして譲渡する住宅 |
譲渡戸数 | 22戸 |
即金譲渡代金の合計額 | 492,500,000円 |
上記22戸(即金譲渡代金合計4億9250万円)の分譲住宅について、この住宅を購入した者(以下「譲受人」という。)が、自らの居住の用に供するという譲渡要件に違反して、第三者に賃貸したり、譲渡したりなどしていた。
このような事態を生じているのは、譲受人に対する譲渡契約の内容の周知徹底及び譲渡後の分譲住宅の入居状況の把握が十分に行われていなかったこと、入居後の使用状況の計画的な実態調査が行われていなかったことなどによるもので、速やかに第三者賃貸等の防止を図るための体制を整備する要があると認められた。
上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。
(説明)
住宅・都市整備公団(以下「公団」という。)では、大都市地域等において健康で文化的な生活を営むに足りる良好な居住性能及び居住環境を有する住宅の供給を行うため、その業務の一環として分譲住宅の建設、譲渡及び管理を行っている。この分譲住宅は、譲受人を公募し譲渡するもので、譲受人となり得る者の資格は、自ら居住するための住宅を必要とする者であること、譲渡対価の支払の見込みが確実であることなどとされている。その譲渡代金の支払方法は、一時支払又は支払期間20年ないし35年の長期で低利の割賦支払によることとされていて、昭和61年度末において、公団東京支社ほか4支社(注)
で分譲住宅の割賦譲渡代金の債権管理を行っているものは140,124戸に上っている。
そして、譲渡契約の内容は、譲受人が自らの居住の用に供することのほか、譲受人が譲渡対価の支払が完了するまでの間(譲渡契約の成立の日から5年以内に支払を完了した場合は、譲渡契約の成立の日から5年間)は、住宅以外の用途に供してはならないこと、あらかじめ公団の承諾を得なければ、他人に譲渡し又は貸し付けてはならないこと、上記の譲渡要件に違反した場合は、譲渡契約を解除し又は当該住宅を買い戻すことができることなどとなっている。
しかして、本院が、62年中に、公団東京支社管内の18団地、3,727戸の分譲住宅(即金譲渡代金110,280,965千円)について、分譲住宅の使用状況等を調査したところ、譲渡要件に違反して、公団に無断で第三者に賃貸していたり、譲渡していたりなどしていて、適切とは認められない事態が6団地で合計22戸即金譲渡代金合計4億9250万円見受けられた。
このような事態を生じているのは、譲受人の不誠実にもよるが、公団において、譲受人が当該住宅を自らの居住の用に供すること、公団の承諾を得なければ第三者に賃貸することはできないことなど譲渡契約の内容についての周知徹底が十分でなかったこと、譲渡契約締結後の譲受人の入居状況についての確認が十分でなかったこと、分譲住宅の使用状況の実態調査の体制が整備されておらず計画的な調査が行われていなかったことなどによると認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、住宅・都市整備公団では、前記22戸の分譲住宅について、譲受人が自ら居住することとするなど是正の措置を講ずるとともに、62年11月に各支社長等に対し「分譲住宅の譲渡及び管理の適正化の推進について」の通達を発するなどして、第三者賃貸等の防止を図るよう体制を整備するなどの処置を講じた。
(注) 東京支社ほか4支社 東京、関東、中部、関西、九州各支社