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私立大学等経常費補助金の経理が不当と認められるもの


(123)−(128)私立大学等経常費補助金の経理が不当と認められるもの

科目 (補助金勘定) (款)補助金 (項)補助金
部局等の名称 日本私学振興財団
補助の対象 私立大学等における専任教職員の給与その他教育又は研究に要する経常的経費
補助の根拠 私立学校振興助成法(昭和50年法律第61号)
事業主体 学校法人堀越学園ほか5学校法人
上記に対する財団の補助金交付額の合計 5,351,363,000円

 上記の6事業主体において、補助金の交付を受けるため日本私学振興財団(以下「財団」という。)に提出した資料に、補助金算定の対象とはならない教員を記入するなど事実と異なる内容を記載しているのに、財団では、これに基づいて補助金の額を算定したため、補助金27,466,000円が過大に交付された結果となっている。これを学校法人別に掲げると別表 のとおりである。

(説明)
 この補助金は、私立学校振興助成法に基づき、私立の大学、短期大学及び高等専門学校(以下「私立大学等」という。)の教育条件の維持及び向上並びに学生の修学上の経済的負担の軽減を図ることなどを目的として、財団が国の補助金を財源として、私立大学等における専任教職員の給与その他教育又は研究に要する経常的経費に充てるため学校法人に交付するものである。

 この補助金について、財団では、補助金額算定の資料として、各学校法人に補助金交付申請書とともに、前年度の12月末日現在の専任教員等の数、専任職員数及び学生数、前年度決算に基づく学生納付金収入、教育研究経費支出及び設備関係支出などに関する資料を提出させ、補助金額の算定に当たっては、経常的経費を専任教員等給与費、専任職員給与費、教育研究経常費等の経費に区分し、それぞれの経費ごとに専任教員等の数、専任職員数又は学生数等に所定の補助単価等を乗じて得た額を補助金の基準額とし、さらに、各私立大学等の教育研究条件の良否によって補助金額に差異を設けるため、専任教員等の数に対する在籍学生数の割合、学生納付金収入に対する教育研究経費支出と設備関係支出との合計額の割合等に基づいてそれぞれ算出した調整係数を基準額に乗ずるなどの方法により得られた金額を合計して、補助金の額を算定することとしている。

 そして、補助金額算定の基礎となる専任教員等又は専任職員については、当該私立大学等の専任教員等又は専任職員として発令され、当該学校法人から主たる給与の支給を受け、かつ、当該私立大学等(専任職員の場合は、当該学校法人本部を含む。)に常時勤務していて、専任教員等にあっては、原則として1週間の割当授業時間数が6時間(以下「基準授業時間数」という。)以上であること、また、専任職員にあっては、主として当該私立大学等に係る事務、教務等に従事していることなどの要件に該当する者としている。
 しかして、前記の6事業主体においては、前記の資料に、補助金算定の対象とはならない教職員を記入するなどしているのに、財団では、これに基づいて補助金の額を算定したため、補助金27,466,000円が過大に交付された結果となっている。

(別表)

事業主体
(本部所在地)
年度 補助金交付額 不当と認めた補助金額

千円

千円
(123) 学校法人堀越学園
 (群馬県高崎市)
60

64,447

1,475
61 74,727 1,688
小計

139,174

3,163
 上記の学校法人は、財団に提出した資料に、高崎短期大学に所属する昭和59年12月末日及び60年12月末日現在の専任職員の数をそれぞれ10人及び12人と記入しており、財団では、この数値等に基づき、60年度及び61年度の同学校法人に対する補助金をそれぞれ64,447,000円及び74,727,000円と算定していた。
 しかし、両年度分とも、上記の専任職員のうち1名は、生活協同組合の業務に従事していて、補助金算定の対象とはならないので、これを除外して算定すると、補助金の基準額が減少するため、適正な補助金は60年度62,972,000円及び61年度73,039,000円となり、それぞれ1,475,000円及び1,688,000円が過大に交付されていた。
(124) 学校法人国際基督教大学
 (東京都三鷹市)
60

835,801

12,349

 上記の学校法人は、財団に提出した資料に、国際基督教大学に所属する昭和59年12月末日現在の専任教員等の数を117人と記入しており、財団では、この数値等に基づき、同学校法人に対する補助金を835,801,000円と算定していた。
 しかし、上記の専任教員等のうち2名は、1週間の割当授業時間数が基準授業時間数を下回っており、補助金算定の対象とはならないので、これを除外して算定すると、補助金の基準額が減少するため、適正な補助金は823,452,000円となり、12,349,000円が過大に交付されていた。
(125) 学校法人東京家政学院
 (東京都千代田区)
60

283,821

1,871

 上記の学校法人は、財団に提出した資料に、東京家政学院短期大学に所属する昭和59年12月末日現在の専任教員等の数を35人と記入しており、財団では、この数値等に基づき、同学校法人に対する補助金を283,821,000円と算定していた。
 しかし、上記の専任教員等のうち1名は、1週間の割当授業時間数が基準授業時間数を下回っており、補助金算定の対象とはならないので、これを除外して算定すると、補助金の基準額が減少するため、適正な補助金は281,950,000円となり、1,871,000円が過大に交付されていた。
(126) 学校法人長野中央学園
 (長野県長野市)
60 29,640 1,128
61 30,975 1,627
小計 60,615 2,755
 上記の学校法人は、財団に提出した資料に、長野経済短期大学に所属する昭和59年12月末日現在の専任職員の数を9人と記入し、また、同短期大学に係る60年度の教育研究経費支出を28,491千円と記入しており、財団では、この数値等に基づき、60年度及び61年度の同学校法人に対する補助金をそれぞれ29,640,000円及び30,975,000円と算定していた。
 しかし、60年度分については、上記の専任職員のうち1名は、主として同学校法人の設置する幼稚園に係る職務に従事していて、補助金算定の対象とはならないので、これを除外して算定すると、補助金の基準額が減少し、また、61年度分については、上記の教育研究経費支出のなかにこれに該当しない管理経費1,166千円を含めているので、これを除外して算定すると、学生納付金収入に対する教育研究経費支出と設備関係支出との合計額の割合等に基づいて算出した調整係数が下がることになるため、適正な補助金は60年度28,512,000円及び61年度29,348,000円となり、それぞれ1,128,000円及び1,627,000円が過大に交付されていた。
(127) 学校法人近畿大学
 (大阪府東大阪市)
60

3,800,235

1,281

 上記の学校法人は、財団に提出した資料に、近畿大学に所属する昭和59年12月末日現在の専任職員の数を421人と記入しており、財団では、この数値等に基づき、同学校法人に対する補助金を3,800,235,000円と算定していた。
 しかし、上記の専任職員のうち1名は、同年12月末日現在専任職員として発令されておらず、補助金算定の対象とはならないので、これを除外して算定すると、補助金の基準額が減少するため、適正な補助金は3,798,954,000円となり、1,281,000円が過大に交付されていた。
(128) 学校法人大鉄学園
 (大阪府松原市)
59

231,717

6,047

 上記の学校法人は、財団に提出した資料に、阪南大学に所属する昭和58年12月末日現在の専任教員等の数を65人と記入しており、財団では、この数値等に基づき、同学校法人に対する補助金を231,717,000円と算定していた。
 しかし、上記の専任教員等のうち1名は、授業を行っておらず、補助金算定の対象とはならないので、これを除外して算定すると、補助金の基準額が減少し、また、専任教員等の数に対する在籍学生数の割合等に基づいて算出した調整係数も下がることになるため、適正な補助金は225,670,000円となり、6,047,000円が過大に交付されていた。

5,351,363

27,466