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  • 昭和61年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
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トラヒック総合管理システムの観測装置用部品の購入に当たり、必要数の算定方法が適切でなかったため、不経済になったもの


(129) トラヒック総合管理システムの観測装置用部品の購入に当たり、必要数の算定方法が適切でなかったため、不経済になったもの

科目 建設投資勘定
部局等の名称 ネットワーク事業本部(要求元 関西ネットワーク支社)
購入物品 トラヒック総合管理システムに使用する観測装置の構成部品で、クロスバ交換機から回線等の使用状況に関する情報を検出する走査マトリックス装置667個
購入価額 465,815,320円
契約の相手方 日本電気株式会社
契約 昭和60年3月 基本契約
昭和61年3月〜8月 個別契約

 上記の物品の購入に当たり、必要数の算定方法が適切でなかったため、不要の物品を購入し約3640万円が不経済になったと認められる。

(説明)
 上記の走査マトリックス装置(以下「走査装置」という。)は、電話等の交換機に接続されている回線及び当該交換機を構成する共通機器の使用状況に関する情報の観測を常時行い、観測した情報の処理、表示、蓄積までを一元的に行うトラヒック総合管理システムに使用する観測装置の構成部品で、各種交換機のうちクロスバ交換機に接続されている回線及び同交換機を構成する共通機器の使用状況を検出する装置である。そして、この走査装置1個には、回線及び共通機器の使用状況を検出するための回路(以下「検出回路」という。)が64あり、1検出回路には8の回線又は共通機器が接続できるようになっている。

 走査装置の必要数の算定方法については、ネットワーク事業本部が経済的に設備数の算定を行うために定めた「トラヒック総合管理システム(観測系装置)設計関係」等(以下「技術資料」という。)において、各ネットワーク支社が毎年度定める設備計画明細書(以下「明細書」という。)における前年度末の対地(回線が接続される相手方の交換機)別の回線の数及び種類別の共通機器の数、当該年度に増設又は廃止される対地別の回線の数及び種類別の共通機器の数などを基にして、クロスバ交換機ごとに、対地別の回線及び種類別の共通機器を走査装置におけるどの検出回路に接続するかを定めた表(以下「収容表」という。)を作成し、その収容表の数により当該年度の走査装置の必要数を求めることとされている。

 しかして、ネットワーク事業本部関西ネットワーク支社(以下「支社」という。)が、管内にトラヒック総合管理システムの観測装置を昭和61年度に設置するため購入要求した走査装置の必要数の算定方法について調査したところ、支社では、上記の方法によることなく、まず、クロスバ交換機ごとに、60年度末の回線及び共通機器の数を8で除し、61年度に増設される回線及び共通機器のために1対地(支社全体の対地数12,434)ごとに1検出回路を見込み、また、61年度に新規に設定される対地の回線のために40検出回路を見込み、これらを加えて必要な検出回路数を算出し、これを64で除して端数を切り上げるなどして走査装置の必要数を算出し、次に、これらを合計して管内のクロスバ交換機全体に必要な走査装置の数を773個とし、従来から設置されていた106個を除き667個と算定していた。

 しかしながら、近年、クロスバ交換機は、ディジタル交換機に更改され廃止されてきており、これに伴いクロスバ交換機に接続されている回線及び同交換機を構成する共通機器の数も漸次減少している状況にあり、それらの使用状況を検出するための走査装置の購入も必要最小限にとどめる必要があると認められ、そのためには技術資料に基づき、明細書に示された回線及び共通機器の数を用いて収容表を作成し、適切な走査装置の必要数を算定すべきであるのに、支社では、これによることなく、上記のように独自の方法で増設される回線及び共通機器のための検出回路数を多数見込むなどして走査装置の必要数を算定したのは適切とは認められない。

 いま、仮に、技術資料に基づき、明細書に示された回線及び共通機器の数を用いて収容表を作成し、支社における走査装置の必要数を算定すると716個となり、購入数はこれから既設の106個を除いた610個で足りたこととなる。したがって、支社が購入要求した走査装置667個のうち57個は購入の要がなかったと認められ、このうち他のネットワーク支社等で使用するために保管転換された9個を除いた48個の走査装置の購入価額約3640万円が不経済になったと認められる。