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  • 昭和63年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
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補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの


(11)−(14)  補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)文部本省 (項)公立文教施設整備費
部局等の名称 文部本省、福島県ほか3都県
補助の根拠 義務教育諸学校施設費国庫負担法(昭和33年法律第81号)等
事業主体 市1、特別区1、町2、計4事業主体
補助事業 霊山町立霊山中学校校舎増築等4事業
上記に対する国庫補助金交付額の合計 564,736,000円

 上記の4補助事業において、補助の対象とは認められないものを事業費に含めていたり、補助種目の適用を誤っていたりしていて、国庫補助金45,494,000円が不当と認められる。これを都県別に掲げると別表 のとおりである。

(説明)
 この事業に係る補助金は、義務教育諸学校施設費国庫負担法に基づき、小中学校その他の公立の義務教育諸学校の施設の整備を促進するため、市町村(特別区を含む。以下同じ。)が行うこれらの学校の建物の新増築又は既存の危険建物の改築に要する経費の一部を、また、公立学校施設整備費国庫補助要項(昭和46年文施助第7号)に基づき、公立の学校の施設の整備を行うため、市町村が行う構造上又は教育機能上不適格な建物の改築及び経年により損耗、機能低下するなどした建物の大規模な改修等に要する経費の一部をそれぞれ国が負担し、又は補助するものである。
 しかして、この補助事業の実施及び経理について検査したところ、前記の4事業主体が実施した公立中学校校舎増築等の4事業において、補助の対象とは認められないものを事業費に含めていたり、補助種目の適用を誤っていたりしていた。

 これらを不当の態様別に示すと次のとおりである。

補助の対象とは認められないものを事業費に含めているもの
2事業 不当と認めた国庫補助金 34,806,000円
補助種目の適用を誤っているもの
2事業 不当と認めた国庫補助金 10,688,000円

(別表)

都県名 補助事業 事業主体 補助対象事業費 左に対する国庫補助金 不当と認めた補助対象事業費 不当と認めた国庫補助金 摘要
千円 千円 千円 千円
(11) 福島県 霊山中学校校舎増築等 伊達郡霊山町 431,458 144,156 6,921 2,312 補助の対象外
 この事業は、昭和62年度補助事業として、霊山中学校の校舎2,979m2 を増改築したもので、当該面積を増改築事業の補助対象面積とし、これに1m2 当たりの補助単価143,400円を乗ずるなどして算出した額を補助対象事業費としていた。
 しかし、霊山町は、上記の補助対象事業費に屋内給水設備及び灯油暖房設備の工事費等のうち補助の対象とならない既存の建物に係る分を含めていた。
 したがって、上記の工事費等6,921,000円を除外すると、補助対象事業費は424,537,000円となり、これにより算定すると、適正な補助金は141,844,000円となり、2,312,000円が過大に交付されていた。
(12) 東京都 南千住中学校校舎等大規模改修 荒川区 97,484 32,494 97,484 32,494 補助の対象外
 この事業は、昭和62年度補助事業として、校舎及び屋内運動場の耐久性の確保を図ることなどの目的で、荒川区が62年7月から9月までの間に南千住中学校の校舎等の窓枠及び外壁の改修工事を実施したものである。
 一方、同区は、61年3月に同区立小中学校適正配置等審議会から南千佳中学校と校区が隣接する第二中学校とを統合するという答申を受け、62年7月に統合新校を第二中学校の位置に設置することを計画し、これを推進していた。そして、63年3月に同区の条例を改正して、改修工事完了後から1年半後の63年度末に南千住中学校を廃校としていた。
 したがって、本件事業は、学校の建物としての耐久性の確保を図ることなどを目的として、改修後相当年数の使用に耐えうる建物を対象として実施するものであるから、同区が統合の計画を進める一方で、短期間のうちに廃校となる南千住中学校の改修工事を補助の対象として実施したりは適切とは認められない。
(13) 兵庫県 東小学校屋内運動場増築等 氷上郡氷上町 142,476 60,980 9,302 1,551 補助種目の適用誤り
 この事業は、昭和63年度補助事業として、東小学校の屋内運動場を増改築したもので、同小学校の63年5月1日現在の標準学級数11学級に応ずる屋内運動場の必要面積919m2 から保有面積397m2 を差し引いた522m2 を増築事業の補助対象面積とし、また、保有面積397m2 が危険建物であることから、この397m2 を危険改築事業の補助対象面積として、これらにそれぞれ1m2 当たりの補助単価153,500円を乗ずるなどして算出した額を補助対象事業費としていた。
 しかし、氷上町は、60年度に取り壊した屋内運動場の一部である倉庫60m2 を上記の保有面積に含めることとなっているのに含めておらず、これを含めると保有面積は457m2 となる。
 したがって、増築事業(補助率2分の1)の補助対象面積としていた522m2 のうち60m2 は、危険改築事業(補助率3分の1)の補助対象面積とすべきであるから、増築事業の補助対象面積は462m2 、危険改築事業の補助対象面積は457m2 となり、これらにより算定すると、適正な補助金は59,429,000円となり、1,551,000円が過大に交付されていた。
(14) 高知県 城東中学校校舎増築等 高知市 598,653 327,106 42,168 9,137 補助種目の適用誤り
 この事業は、昭和62年度補助事業として、財団法人高知市学校建設公社が57年に立替施行により増改築した城東中学校の校舎を買収したもので、校舎の保有面積を、実際に保有している面積5,273m2 から敷地狭あいの保有控除(注) の対象とした面積2,999m2 を差し引いた2,274m2 とし、同中学校の62年5月1日現在の標準学級数24学級に応ずる校舎の必要面積6,665m2 からこの2,274m2 を差し引くなどした4,166m2 を増築事業の補助対象面積とし、また、校舎の保有面積のうち78m2 が危険建物であることから、この78m2 を危険改築事業の補助対象面積としていた。そして、これらにそれぞれ1m2 当たりの補助単価139,000円を乗ずるなどして算出した額を補助対象事業費としていた。
 しかし、高知市は、上記の保有控除の対象とした面積2,999m2 のうちに保有控除の対象とならない危険建物319m2 を含めており、これを除外すると保有控除の対象とすべき面積は2,680m2 となり、保有面積は2,593m2 となる。
 したがって、増築事業(補助率10分の5.5)の補助対象面積としてい4,166m2 のうち319m2 は危険改築事業(補助率3分の1)の補助対象面積とすべきであるから、増築事業の補助対象面積は3,847m2 、危険改築事業の補助対象面積は397m2 となり、これらにより算定すると、適正な補助金は317,969,000円となり、9,137,000円が過大に交付されていた。
 (注)  敷地狭あいの保有控除 校舎の増改築を行う際に敷地狭あいのため取り壊さざるを得ない健全建物(校舎等)については、所定の条件を満たす場合には、当該取壊し面積を保有面積から控除することをいう。
1,270,071 564,736 155,875 45,494