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  • 昭和63年度|
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児童扶養手当の支給が適正でなかったもの


(52) 児童扶養手当の支給が適正でなかったもの

会計名及び科目 一般会計(組織)厚生本省(項)児童扶養手当給付諸費
部局等の名称 厚生本省(支給庁) 厚生本省(国庫負担金支出庁)
千葉県ほか7都府県
(支給決定庁)
千葉県ほか6府県
(事業主体)
支給の相手方 35人 20人 計55人
児童扶養手当の
支給額の合計
106,307,310円 13,120,500円
(うち国庫負担金相当額9,145,250円)
計119,427,810円
(うち国の負担額115,452,560円)

 上記の55人に児童扶養手当119,427,810円を支給しているが、支給に当たって、請求等に対する指導及び調査確認が十分でなかったため、国の支給額12,843,600円及び都府県の支給額7,522,400円(これに対する国庫負担金相当額5,277,580円)、計20,366,000円(国の負担額計18,121,180円)が不適正に支給されていた。これらについては、本院の注意により、すべて返還の処置が執られた。これを都府県ごとに集計して掲げると別表 のとおりである。
 これは、北海道ほか23都府県において児童扶養手当の支給を受けた者について本院が調査した結果である。

(説明)
 児童扶養手当(以下「手当」という。)は、父と生計を同じくしていない児童が育成される家庭の生活の安定と自立の促進に寄与することを目的として、児童の父母が婚姻を解消したり、父が死亡したりなどしている場合に、これらの児童を監護する母又は養育する者に対し支給するものであるが、その児童が父と生計を同じくしているとき、母の配偶者に養育されているとき、母又は養育者が公的年金(国民年金法(昭和34年法律第141号)に基づく老齢福祉年金を除く。以下同じ。)の給付を受けることができるときなどには、手当の全部又は一部を支給しないことになっている。また、従来、この手当は国が全額支給していたが、昭和60年6月の児童扶養手当法(昭和36年法律第238号)の改正により、同年7月以前に受給資格の認定の請求をして認定を受けた者に係る手当については引き続き国が支給し、同年8月以降にその請求をして認定を受けた者に係る手当については都道府県が支給しこれに要する費用の一部(60年度は10分の8、61年度から63年度までは10分の7、平成元年度は4分の3)として国が負担金を交付することとなっている。

 手当の支給に当たっては、上記のいずれの場合においても、市町村(特別区を含む。以下同じ。)が、申請者から提出された児童扶養手当認定請求書について、記載漏れ又は誤記は無いか、婚姻関係の有無等を確認するための戸籍騰本、住民票等の書類が添付されているかなどについて審査を行ったうえ、都道府県に進達し、都道府県は、住民票等の添付書類や関係部局等から提供を受けた資料等により申請事実の調査確認を行い、受給資格があると認定した者に対して、児童扶養手当認定通知書及び児童扶養手当証書を交付し、毎年4月、8月及び12月に支給することとなっている。そして、受給者から毎年1回、住民票等の書類を添付した児童扶養手当現況届を提出させ、上記の認定請求書についてと同様の手続により受給資格について調査確認し、上記の現況届を提出しない者については追跡調査を行うことにより受給者の実態の把握に努めることとなっており、また、児童の母が婚姻をしたなどのため受給資格を喪失した場合には、速やかに児童扶養手当資格喪失届を提出させ、住民票等で確認のうえ、受給資格喪失の手続を行うこととなっている。

 しかして、手当の支給の適否について検査したところ、前記の24都道府県のうち千葉県ほか7都府県では、児童の母が婚姻をしていて児童が母の配偶者に養育されていたもの、児童の母又は養育者が公的年金の支給対象となっていたもの、児童が父と生計を同じくしていたものなど上記の認定請求書、現況届又は資格喪失届の記載内容が事実と相違しているものなどがあったにもかかわらず、これに対する指導及び調査確認が十分でないまま、支給すべきでないのに支給の決定をしていたため、本院が調査した受給者2,869人のうち55人に支給した119,427,810円(うち国の負担額計115,452,560円)について、国の支給額106,307,310円のうち12,843,600円及び都府県の支給額13,120,500円のうち7,522,400円(これに対する国庫負担金相当額5,277,580円)、計20,366,000円(うち国の負担額計18,121,180円)が不適正に支給されていた。

(別表)

都府県名 本院が調査した市町村 本院が調査した受給者数 不適正受給者数 左の受給者に支給した児童扶養手当 左のうち不適正児童扶養手当 左のうち国庫負担額
千円 千円 千円
千葉県 松戸市ほか4市町 264 2 2,973 2,370 2,060
東京都 江東区ほか6市区 613 1 3,662 1,841 1,841
新潟県 新潟市ほか5市 358 8 14,138 1,753 1,505
富山県 富山市ほか4市町 345 5 8,239 1,298 1,093
大阪府 豊中市ほか2市 300 9 24,503 1,192 1,145
長崎県 長崎市ほか5市町 325 8 13,631 2,086 1,601
熊本県 熊本市ほか3町 182 5 10,356 1,460 1,124
沖縄県 那覇市ほか6市村 482 17 41,922 8,364 7,748
 計 43箇所 2,869
(683)
55
(20)
119,427
(13,120)
20,366
(7,522)
18,121
(5,277)
(注)計欄における( )書きは都府県の支給に係る分で内数である。