会計名及び科目 | 一般会計 | (組織)農林水産本省 | (項)農林漁業金融費(項)農業振興費(項)水田利用再編対策費 |
(組織)林野庁 | (項)林道事業費 | ||
(組織)水産庁 | (項)水産業振興費 | ||
部局等の名称 | 東北、東海両農政局、林野庁、水産庁、宮城県 | ||
補助の根拠 | 農業近代化資金助成法(昭和36年法律第202号)、森林法(昭和26年法律第249号)等 | ||
事業主体 | 県2、町2、漁業協同組合1、その他272、計277事業主体 | ||
補助事業 | 山村等振興対策事業等6事業 | ||
上記に対する国庫補助金交付額の合計 | 87,401,592円 |
上記の6補助事業において、補助の目的を達していなかったり、工事の設計又は施工が適切でなかったりなどしていて、国庫補助金56,000,830円が不当と認められる。これを県別に掲げると別表 のとおりである。
(説明)
農林水産省所管の補助事業は、地方公共団体等が事業主体となって実施するもので、同省では、これらの事業主体に対して、事業に要する費用について直接又は間接に補助金を交付している。
しかして、これらの補助事業の実施及び経理について検査したところ、前記の277事業主体が実施した農業近代化資金利子補給事業、山村等振興対策事業等の事業において、補助の目的を達していなかったり、工事の設計又は施工が適切でなかったりなどしていた。
いま、これらについて不当の態様別に示すと次のとおりである。
補助の目的を達していないもの | ||
2事業 | 不当と認めた国庫補助金 | 21,854,000円 |
工事の設計又は施工が適切でないもの | ||
2事業 | 不当と認めた国庫補助金 | 13,301,762円 |
補助の対象とは認められないもの | ||
1事業 | 不当と認めた国庫補助金 | 18,140,433円 |
補助金を過大に交付しているもの | ||
1事業 | 不当と認めた国庫補助金 | 2,704,635円 |
県名 | 事業 |
事業主体 |
事業費 | 左に対する国庫補助金 | 不当と認めた事業費 | 不当と認めた国庫補助金 | 摘要 |
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所在地又は利子補給先 | ||||||||
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(86) | 青森県 | 山村等振興対策事業(花き育苗施設の設置) | 東津軽郡蟹田町 | 28,757 | 14,378 | 28,757 | 14,378 | 補助目的の不達成 |
この事業は、昭和62年度の補助事業として、花き栽培農家の経営安定を図るため、蟹田町下小国地区に共同利用施設として育苗用の温室(ガラスハウス)2棟(661.5m2
)を事業費28,757,000円で設置したものである。 しかして、上記の事業主体では補助申請に当たって、組合員5名で構成する下小国地区花き生産組合に管理運営させることとしていたが、実際は、設置当初から2名がそれぞれ自己の所有地に設置された温室各1棟を専用し、事業費のうち組合が負担することとなっている分担金も上記の2名がそれぞれ負担していて、共同利用のために設置した補助の目的を達していない。 |
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(87) | 岩手県 | 農業近代化資金利子補給事業 | 岩手県 (住田町農業協同組合) |
36,280 | 18,140 | 36,280 | 18,140 | 補助の対象外 |
この事業は、昭和62年度及び63年度補助事業として、農業近代化資金の貸付けを受ける農業者等の利子負担を軽減するため、住田町農業協同組合(以下「農協」という。)がその組合員である15畜産農家(以下「15農家」という。)に素牛(注)
合計2,905頭を購入し肥育するのに必要な資金合計1,272,939,000円の一部として農業近代化資金1,016,700,000円を償還期限7年(うち据置期間3年)、年利4.2%で貸し付けたとして、これに対する利子補給金(年2.5%相当額)合計36,280,868円を農協に交付したものである。 しかして、本件貸付けは、農協が畜産業者から購入し、既に15農家に預託して肥育させていた素牛を途中で15農家に売却するために貸し付けたとしていたが、実際は、これらの素牛は、15農家に売却したものとは認められず、引き続き農協が当該農家に預託して肥育させていたもので、農協は農業近代化資金の貸付けを行ったとは認められず、本件利子補給金に対する国庫補助金62年度5,369,866円、63年度12,743,567円、合計18,140,433円は交付する要はなかったものである。 |
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(注) 素牛 肥育の用に供するおおむね6ヵ月令の子牛 | ||||||||
(88) | 宮城県 | 水田利用再編対策事業(水稲の作付転換) | 志田郡松山町農業者272名 | 9,620 | 9,620 | 2,704 | 2,704 | 補助金の過大交付 |
この事業は、昭和60年度及び61年度補助事業として、水田における転作の定着化を図るため、転作を実施した農業者に対して水田利用再編奨励補助金を交付するもので、農業者272名は、転作実施計画に基づき水田延べ182,001m2
(60年度91,207m2
及び61年度90,794m2
)にそれぞれ飼料作物であるホールクロップサイレージ用稲(注1)
を作付けしたとして、奨励補助金9,620,673円(60年度4,833,971円及び61年度4,786,702円)の交付を受けていた。 しかして、ホールクロップサイレージ用稲についての補助金交付の要件は、穂が完熟する前に刈り取り、これを細断し、家畜の飼料にするためにサイロに詰め込むこととなっており、これらの要件の確認事務の委託を県から受けている松山町では、上記の水田に作付けされた水稲についてこれらの要件を満たしていることを確認したとしていたが、実際にはこれらの稲は畜舎の敷わらや園芸用など青刈り稲(注2)
としての用途に供されていた。 |
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(注1)
ホールクロップサイレージ用稲 家畜の飼料にすることを目的として完熟期前に刈り取り、細断し、サイロに詰め込む水稲で、水田10a当たり43,000円の奨励補助金が交付される。 (注2) 青刈り稲 畜舎の敷わら、園芸用等に使用することを目的として出穂後未だ熟さない時期に刈り取る水稲で、水田10a当たり28,000円の奨励補助金が交付される。 |
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(89) | 三重県 | 農林業地域改善対策事業(農地防災) | 阿山郡伊賀町 | 12,400 | 8,266 | 12,400 | 8,266 | 工事の施工不良 |
この工事は、老朽化したため池の漏水を防止するなどのため、昭和62年度に前刃金工法(注1)
により堤体の改修(改修後の堤高4.57m、堤長121m)をしたものである。そして、設計書、図面及び仕様書等によると、堤体の貯水側法面を所定の位置まで段切りし、基礎地盤を床掘りした後、盛土材については、段切り部及び前刃金部には刃金土として不透水性のシルト質粘土を使用し、刃金土の前面にはさや土(注2)
として堤体の掘削土を最大寸法10cm以上の石や草木等を取り除いたうえ使用し、それぞれ盛土することとしており、施工に当たっては、ブルドーザ、タイヤローラ等により土の含水比を最適な状態に保ちながら敷均し及び転圧を繰り返し、十分に締め固めることとしていた。 しかし、実際には、段切り及び床掘りの厚さが不十分であったなどのため、刃金土の厚さ(鉛直方向)が、設計2.0mの箇所で0.4mから0.6m、同2.3mの箇所で1.6m不足していたり、刃金土の盛土に当たって、降雨等により湿った土をそのまま締め固めたなどのため含水比が高く緩んでいる部分がかなりあったり、さや土の中に最大寸法10cmから40cm程度の岩石が多量に混入したりしているなど、施工が著しく粗雑となっていて、堤体の法尻の各所で貯留水が流出している状況である。 |
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(注1)
前刃金工法 ため池の改修において、堤体の貯水側に不透水性の粘質系の材料(刃金土)を使用して遮水帯を造る工法 (注2) さや土 堤体の安定を保つために刃金土を覆う透水性を有する砂礫(れき)等 |
(参考図)
(90) | 鳥取県 | 鳥取市林道鳥取中央線開設 | 鳥取県 | 53,673 | 29,520 | 9,155 | 5,035 | 工事の設計不適切及び施工不良 |
この工事は、林道鳥取中央線開設事業の一環として、昭和61、62両年度に鳥取市高路地区内に林道延長540mを新設するため、土砂の切取り及び盛土のほか道路の土留め壁としてコンクリート擁壁(以下「擁壁」という。)3箇所(1号から3号まで延長68.9m)等を施工したものである。 しかして、このうち2号擁壁延長23.4m(98.8m3
)及び3号擁壁延長34.5m(163.5m3
)の設計に当たっては、現地の状況などから擁壁の基礎地盤には十分な支持力があると判断して設計し、また、仕様書によると、上記擁壁の埋戻し及び盛土の施工に当たっては、土質に応じた適当な含水量の土を使用し、十分に締め固めて施工することになっていた。 |
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(91) | 鳥取県 | 第2次沿岸漁業構造改善事業(漁船漁具保全施設の設置) | 弓浜漁業協同組合(境港市) | 18,690 | 7,476 | 18,690 | 7,476 | 補助目的の不達成 |
この事業は、昭和57年度補助事業として、民間の施設において漁船の船体修理を行っている組合員の修理経費負担の軽減を図るため、船体修理施設1棟186.75m2
を事業費18,690,000円で設置したものである。 しかして、上記の組合が補助申請に当たり策定した事業実施計画によると、本件施設の管理運営は、組合が自ら行い、組合員の漁船(10トン未満)計74隻の船体修理を毎年1回行うこととしていた。 |
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計 | 159,421 | 87,401 | 107,987 | 56,000 |