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  • 昭和63年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
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船員離職者職業転換等給付金の支給が適正でなかったもの


(100) 船員離職者職業転換等給付金の支給が適正でなかったもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)運輸本省  (項)船員雇用促進対策事業費
部局等の名称 北海道運輸局、函館海運支局ほか6海運支局
支給の相手方 61人
船員離職者職業転換等給付金の支給額の合計 105,012,789円

 上記の61人に船員離職者職業転換等給付金(就職促進手当及び訓練待期手当)105,012,789円を支給しているが、支給決定に当たって申告等に対する調査確認が十分でなかったなどのため、22,946,652円(就職促進手当22,393,502円、訓練待期手当553,150円)が不適正に支給されていた。これらについては、本院の注意により、すべて返還の処置が執られた。これを海運支局等ごとに集計して掲げると別表 のとおりである。
 これは、北海道運輸局ほか2地方運輸局及び函館海運支局ほか9海運支局において船員離職者職業転換等給付金の支給を受けた者889人について本院が調査した結果である。

(説明)
 船員離職者職業転換等給付金は、「国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法」(昭和52年法律第94号。以下「漁臨法」という。)等の規定に基づいて支給されるもので、このうち漁臨法に基づく船員離職者職業転換等給付金(以下「給付金」という。)は、国際協定の締結等の事態に対処するために実施された漁船の隻数の縮減に伴い離職を余儀なくされている漁業離職者の再就職を促進するなどのため支給されることとなっている。
 この給付金には、就職促進手当、訓練待期手当等があり、このうち、就職促進手当は、受給資格者(注1) が離職日において、35歳未満である場合には地方運輸局長の指示した職業訓練を受けている期間の日数に応じてその訓練終了時まで、35歳以上である場合には就職指導を受けている期間の日数に応じて2年間を限度とし、等級別日額(注2) を日額として当該受給資格者にそれぞれ支給するものであり、また、訓練待期手当は、離職日において35歳未満である受給資格者に対して、等級別日額を日額とし、職業訓練を受けるために待期している期間の日数に応じて支給するものである。その際、給付金は、雇用保険の失業給付金等法令の規定による他の給付金の支給を受けている間は支給しないこととされている。そして、その支給に当たっては、各地方運輸局及び各海運支局の船員職業安定所等が、就職指導日(4週間に1回)に受給資格者から就職の有無等を記載した就労実態等申告書(以下「申告書」という。)を提出させるなどして再就職していないことなどの事実を調査確認のうえ、給付金の支給を決定することとなっている。
 しかして、給付金の支給決定の適否を検査したところ、前記3地方運輸局及び10海運支局のうち北海道運輸局及び函館海運支局ほか6海運支局では、受給者が誠実でなかったなどして申告書の内容が事実と相違しているものがあったのに、これに対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行ったなどのため、受給者760人分の支給のうち、

ア 再就職していたのに受給資格があるとして給付金を支給していたものが、就職促進手当について22人分20,598,622円及び訓練待期手当について2人分548,340円計24人分21,146,962円、

イ 申告書に記載している再就職年月日が実際と相違していたのに申告書に基づき給付金を支給していたものが、就職促進手当について29人分791,900円及び訓練待期手当について1人分4,810円計30人分796,710円、

ウ 給付金額の算定に当たり、雇用保険の給付金の支給があったのに支給調整を行わなかったなどのため過大に給付金を支給していたものが、就職促進手当について7人分1,002,980円合計61人分22,946,652円(就職促進手当58人分22,393,502円、訓練待期手当3人分553,150円)不適正に支給されていた。

(注1)  受給資格者 漁業離職者で、船員職業安定法(昭和23年法律第130号)第6条第1項に規定する船員となろうとする者であって、減船に係る漁業者の業務又は減船に係る漁業に従事していた期間が一定の条件を備え、かつ、労働の意思及び能力があるにもかかわらず職業に就くことができない場合に地方運輸局長の認定を受けて漁業離職者求職手帳の交付を受けた者をいう。

(注2)  等級別日額 運輸大臣が受給資格者の離職日前の賃金日額を基に定めた等級別の日額

(別表)

海運支局等名 本院が調査した受給者数 不適正受給者数 左の受給者に支給した給付金 左のうち不適正給付金
千円 千円

(北海道運輸局管内)

 北海道運輸局 96 4 4,326 1,511
 函館海運支局 219 17
(3)
23,451
(3,738)
5,454
(553)
 釧路海運支局 58 6 8,997 1,780
 稚内海運支局 118 15 27,564 4,158
(東北運輸局管内)
 小名浜海運支局 103 12 22,169 3,339
 八戸海運支局 61 2 2,991 906
(新潟運輸局管内)
 秋田海運支局 53 3 9,790 4,726
 酒田海運支局 52 2 5,720 1,068

760 61
(3)
105,012
(3,738)
22,946
(553)
(注)( )書きは訓練待期手当に係る分で内数である。