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  • 昭和63年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
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雇用保険の失業給付金の支給が適正でなかったもの


(139) 雇用保険の失業給付金の支給が適正でなかったもの

会計名及び科目 労働保険特別会計(雇用勘定)  (項)失業給付費
部局等の名称 北海道ほか24都府県(支給庁)札幌公共職業安定所ほか188公共職業安定所(支給決定庁)
支給の相手方 535人
失業給付金の支給額の合計 275,975,446円

 上記の535人に失業給付金(基本手当及び再就職手当)275,975,446円を支給しているが、支給決定に当たって申告等に対する調査確認が十分でなかったため、99,051,289円(基本手当59,672,089円、再就職手当39,379,200円)が不適正に支給されていた。これらについては、本院の注意により、すべて返還の処置が執られた。これを都道府県ごとに集計して掲げると別表 のとおりである。
 これは、北海道ほか24都府県(支給決定庁札幌公共職業安定所ほか250公共職業安定所)において失業給付金の支給を受けた者のうち、再就職した者19,262人について本院が調査した結果である。

(説明)
 雇用保険は、原則としてすべての雇用労働者を被保険者とし、被保険者が失業したときにその生活の安定を図るなどのため失業給付金の支給を行うほか、雇用安定事業による雇用調整助成金及び特定求職者雇用開発助成金の支給等を行う保険である。そして、失業給付金には、基本手当、再就職手当のほか9種の手当等があり、このうち、

ア 基本手当は、受給資格者(注) が失業している日について所定給付日数を限度として支給するもので、公共職業安定所が、受給資格者から提出された失業認定申告書に記載されている就職、就労の有無等の事実について確認のうえ失業の認定を行って支給を決定し、

イ 再就職手当は、受給資格者が基本手当の所定給付日数の2分の1以上を残して安定した職業に就いた場合に支給するもので、公共職業安定所が、受給資格者から提出された再就職手当支給申請書に記載されている雇入れ年月日等について調査確認を行って支給を決定し、いずれもこれに基づいて、各都道府県が支給することとなっている。

 しかして、失業給付金の支給決定の適否について検査したところ、前記の251公共職業安定所のうち、

ア 基本手当については、札幌公共職業安定所ほか188公共職業安定所において、受給者が誠実でなく、再就職、就労していながらこれを失業認定申告書に記載していないため申告書の内容が事実と相違していたものなどがあったのに、申告書に対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行ったため、これに基づいて支給した基本手当が、北海道ほか24都府県で、本院が調査した受給者15,014人分の支給のうち533人分236,596,246円について59,672,089円、

イ 再就職手当については、帯広公共職業安定所ほか83公共職業安定所において、受給者が誠実でなく、再就職手当支給申請書に事実と相違した雇用年月日を記載していたものがあったのに、申請書に対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行ったため、これに基づいて支給した再就職手当が、北海道ほか23都府県で、本院が調査した受給者3,278人分の支給のうち127人分39,379,200円、それぞれ不適正に支給されていた。

(注)  受給資格者 事業所を管轄する公共職業安定所が事業主から提出された離職証明書に基づいて離職票を作成して離職した被保険者に交付し、その被保険者はこれを居住地の公共職業安定所に提出し、原則として離職日以前1年間に被保険者期間が通算して6箇月以上あり、かつ、労働の意思及び能力があるにもかかわらず職業に就くことができない状態にあることなどの認定を受けることになっており、この認定を受けた者が受給資格者である。

(別表)

都道府県名 公共職業安定所 本院が調査した受給者数 不適正受給者数 左の受給者に支給した失業給付金 左のうち不適正失業給付金
千円 千円
北海道 札幌ほか10 797 26 9,655 2,663
帯広ほか5 123 7 1,831 1,831
小計 11,486 4,494
岩手県 盛岡ほか6 477 22 10,279 1,517
一関 11 1 77 77
小計 10,356 1,594
宮城県 仙台ほか5 536 12 6,411 1,037
塩釜ほか1 51 2 471 471
小計 6,882 1,509
山形県 山形ほか5 700 26 13,396 2,145
米沢ほか2 83 3 440 440
小計 13,836 2,585

福島県

福島ほか6 658 15 10,718 782
福島ほか1 113 3 1,061 1,061

小計

11,779 1,844

栃木県

宇都宮ほか6 325 10 3,839 2,306
宇都宮ほか2 101 3 324 324
小計 4,163 2,630
埼玉県 川口ほか10 842 36 15,965 5,090
川口ほか6 285 12 4,754 4,754
小計 20,720 9,845
千葉県 千葉ほか7 825 22 9,824 2,726
茂原ほか2 178 6 1,395 1,395
小計 11,219 4,121
東京都 飯田橋ほか16 1,889 70 26,307 12,273
飯田橋ほか14 973 35 11,687 11,687
小計 37,994 23,961
神奈川県 横浜ほか8 696 36 19,495 4,038
川崎ほか4 229 10 3,367 3,367
小計 22,863 7,406
新潟県 新潟ほか7 505 16 8,450 1,297
新発田ほか1 41 2 668 668
小計 9,118 1,965
富山県 富山ほか5 518 14 8,036 2,185
小矢部 27 1 323 323
小計 8,359 2,508
石川県 金沢ほか3 258 6 2,964 678
加賀 29 1 130 130
小計 3,095 809
長野県 長野ほか11 861 37 18,868 4,021
長野ほか3 104 5 1,504 1,504
小計 20,373 5,525
愛知県      名古屋東ほか8 584 19 9,560 2,773
名古屋東ほか3 145 6 2,528 2,528
小計 12,089 5,302
三重県 四日市ほか2 250 9 4,630 1,218
- - - -
小計 4,630 1,218
滋賀県 大津ほか4 290 13 3,968 1,072
大津ほか1 39 2 810 810
小計     4,779 1,883
大阪府 西野田ほか8 717 17 6,768 1,198
西野田ほか4 229 6 2,008 2,008
小計 8,776 3,206
兵庫県 神戸ほか7 688 14 9,225 1,562
姫路ほか5 229 7 1,439 1,439
小計 10,665 3,001
和歌山県 和歌山ほか4 392 20 5,066 880
和歌山 54 2 715 715
小計 5,782 1,596
山口県 山口ほか3 218 8 3,499 951
防府 20 1 142 142
小計 3,642 1,094
徳島県 徳島ほか6 517 21 5,731 2,104
阿南ほか1 32 2 236 236
小計 5,967 2,341
佐賀県 佐賀ほか3 307 15 4,617 920
唐津 25 1 133 133
小計 4,750 1,053
鹿児島県 鹿児島ほか11 905 38 16,389 3,336
鹿児島ほか4 86 6 2,252 2,252
小計 18,642 5,589
沖縄県 那覇ほか3 259 11 2,924 889
那覇ほか1 71 3 1,074 1,074
小計 3,998 1,964

189箇所

15,014 533 236,596 59,672

84箇所

3,278 127 39,379 39,379
合計 275,975 99,051

(注1) 上段は基本手当に係る分、下段は再就職手当に係る分である。

(注2) 不適正受給者のうち基本手当と再就職手当の双方に係る者が125人、基本手当のみの者が408人、再就職手当のみの者が2人おり、したがって、不適正受給の実人員は535人である。