労働省が支給する労働者災害補償保険の遺族補償年金等の受給資格者の認定に当たっては、死亡労働者の収入がなければ通常の生活水準を維持することが困難となるような関係、すなわち生計維持関係が常態であったか否かにより判断して行うこととされているが、その認定の取扱いの実態についてみると、死亡労働者との同居の事実を確認するだけで受給資格者と認定しているため、死亡労働者との間に必ずしも生計維持関係があったとは認められない死亡労働者の孫又は祖父母が受給資格者と認定されている事態が見受けられたので、同省において、遺族補償年金等の受給資格者の認定に当たっては、生計維持関係の判断を実質的に行うこととするなどして死亡労働者によって真に生計が維持されていた遺族を受給資格者とするよう制度の見直しを図り、もって遺族補償年金等についてその趣旨に沿った支給を行う要があると認め、昭和63年11月に意見を表示した。
これに対し、労働省では、本院指摘の趣旨に沿った制度の改善を図るため、63年11月以降、労働者災害補償保険審議会において検討を行っているところであり、平成元年度末までに出されることが見込まれる同審議会の検討の結果を踏まえて、速やかに所要の改善措置を講ずることとしている。