会計名及び科目 | 道路整備特別会計 (項)街路事業費 (項)地方道路整備臨時交付金 |
部局等の名称 | 東京都ほか6府県 |
補助の根拠 | 道路整備緊急措置法(昭和33年法律第34号)等 |
事業主体 | 市11、特別区2、計13事業主体 |
事業名 | 都市計画自転車駐車場整備事業 14事業 |
補助事業の内容 | 駅周辺の路上等における自転車の放置を解消し、都市交通環境の改善等を図るための都市計画自転車駐車場整備事業 |
事業費 | 2,789,875,000円(昭和54年度〜62年度) |
上記に対する国庫補助金交付額の合計 | 1,265,116,000円(昭和54年度〜62年度) |
上記の事業主体が国の補助を受けて駅周辺に設置した都市計画自転車駐車場のうち14箇所において、利用されていない駐車スペースがあるにもかかわらず、駅周辺の路上等に多数の自転車(原動機付自転車を含む。以下同じ。)が放置されていて、本事業(事業費合計約9億2800万円、国庫補助金相当額合計約4億2300万円)の効果が十分に発現していないと認められた。
このような事態を生じているのは、地方公共団体において、自転車駐車場の利用の促進を図るための広報活動が十分でなかったこと、建設省において、地方公共団体に対する指導が十分でなかったことなどによるもので、自転車駐車場の利用の促進を図るための方策を講ずる要があると認められた。
上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。
(説明)
建設省では、都市における自転車の利用の増大に伴って鉄道駅周辺等の自転車の放置問題が深刻化している状況にかんがみ、都市交通環境の改善と秩序ある自転車利用の促進を図り併せて都市交通の円滑化に資するため、昭和53年度から街路事業の一環として地方公共団体が、三大都市圏又は人口10万人以上の都市圏の市町村(市には特別区を含む。以下同じ。)に存在する鉄道駅の周辺において、所定の敷地面積、駐車台数を有する一定の条件に該当する自転車駐車場を設置する場合に、その費用の一部を補助することとしている。そして、この補助金を受けようとする地方公共団体は、あらかじめ、自転車駐車施設整備計画(以下「整備計画」という。)を策定し、建設省に提出することとなっているが、その中では自転車駐車場を整備すべき区域(以下「整備区域」という。)を定めたうえ、その整備区域内の道路における自転車駐車の規制の方針、整備区域内の自転車道等の整備の方針などを定めなければならないこととなっている。
しかして、本院が、東京都ほか12府県管内の75市町が事業主体となって53年度から62年度までに設置した自転車駐車場162箇所(事業費合計215億0869万余円、国庫補助金合計95億4491万余円)について調査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
すなわち、東京都ほか6府県管内の多摩市ほか12市(注)
の自転車駐車場14箇所(駐車することができる自転車の台数の合計約16,200台、事業費合計27億8987万余円、国庫補助金合計12億6511万余円)において、利用されていない駐車スペースが計約8,300台分見受けられ、一方、これらの駐車場に近接する駅周辺の路上等には相当数の自転車が放置されているにもかかわらず、各地方公共団体ではこれらの駐車スペースの利用に努めていない状況となっていた。そして、なかには1,913台の自転車を駐車することができる自転車駐車場において約1,600台分に相当する駐車スペースが利用されていないのに、近接する駅周辺の路上には約1,500台の自転車が放置されている例も見受けられた。
このように、国の補助を受けて設置された自転車駐車場において多数の自転車を駐車させることのできるスぺースが利用されていない一方で、近接する駅周辺の路上等に多数の自転車が放置されている事態は、歩行者又は自動車の通行の妨げとなったり、火災等緊急時の活動を阻害したりするなど都市交通環境を悪化させているばかりでなく、路上の乱雑化による都市景観の悪化をも来しており、都市交通環境の改善などを目的として設置された自転車駐車場は、その事業の効果が十分に発現していないと認められた。
いま、仮に、これらの路上等に放置されている自転車をそれぞれの自転車駐車場の利用されていない駐車スペースに誘導、駐車させることとすれば、少なくとも計約5,200台は駐車させることができ、このスペースに相当する自転車駐車場の設置に要した事業費は合計約9億2800万円(うち国庫補助金相当額合計約4億2300万円)となる。
このような事態を生じているのは、
(1) 地方公共団体において、
ア 自転車駐車場の利用を促進するための広報活動、自転車駐車場への誘導及び放置自転車の監視・撤去等を十分に行っていなかったこと、
イ 自転車駐車場への進入路の歩車道の分離や街路灯の設置など、利用者の利便を図るための措置が十分でなかったこと、
(2) 建設省において、地方公共団体の整備計画の策定及び設置した自転車駐車場の管理運営等に対する指導が十分でなかったことなどによると認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、建設省では、平成元年11月に、都道府県等に対し通達を発するなどして、地方公共団体において、自転車駐車場の利用の促進を図るための広報活動、自転車駐車場への誘導、自転車駐車の規制の実施等を適切に行わせるとともに、自転車駐車場の管理運営等について同省に対し定期的に報告させ、その利用の促進を指導することとするなどの処置を講じた。
(注) 東京都ほか6府県管内の多摩市ほか12市 (東京都)多摩市、豊島区、板橋区、(大阪府)大阪市、(埼玉県)所沢市、深谷市、新座市、(千葉県)柏市、(神奈川県)横浜市、川崎市、相模原市、(静岡県)浜松市、(兵庫県)神戸市