会計名及び科目 | 交付税及び譲与税配付金特別会計(交通安全対策特別交付金勘定) (項)交通安全対策特別交付金 |
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部局等の名称 | 自治省 | ||
交付の根拠 | 道路交通法(昭和35年法律第105号) | ||
交付金の内容 | 交通安全対策の一環として、道路交通安全施設の設置及び管理に要する費用に充てるため、都道府県及び市町村に交付するもので、交付額は国に納付された反則金収入相当額等から通告書送付費支出金相当額及び郵政取扱手数料相当額を控除した額とされている。 | ||
交付先 | 北海道ほか46都府県、札幌市ほか3,042市町村23特別区 | ||
上記に対する交付金交付額の合計 | 昭和61年度 | 56,822,861千円 | |
昭和62年度 | 95,196,848千円 |
上記の都道府県等が各年度に交付を受けた交通安全対策特別交付金について、その充当対象の事業として国に報告している交通安全施設等整備事業の中には、国庫補助の対象となった事業、法令が定める施設とは認められないものの設置又は管理に係る事業など交付金の充当対象とは認められない事業が多数見受けられ、この結果、2県4市1特別区においては、国に報告した交通安全施設等整備事業費から特定財源の額及び充当対象とは認められない額を控除すると、交付した交付金の額が、実施した充当対象事業の事業費を上回っていて、約3930万円の交付金が充当されていないこととなっており、適切とは認められない。
このような事態を生じているのは、都道府県等において、交付金の使途は法令が定める交通安全対策経費に限定されているものであるという認識が十分でなかったことにもよるが、自治省において、都道府県から報告させている施行実績調べが使用した交付金の額を交通安全対策経費に充当しているかどうかを確認することができないものとなっていること及び自治省の指導が都道府県等に対して徹底していないことによると認められた。
上記に関し当局に指摘じたところ、改善の処置が執られた。
(説明)
自治省では、道路交通法(昭和35年法律第105号。以下「法」という。)に基づき、都道府県、市町村及び特別区(以下「都道府県等」という。)に対して交通安全対策特別交付金(以下「交付金」という。)を交付しており、昭和61、62両年度におけるその交付額は、それぞれ568億2286万余円及び951億9684万余円となっている。
この交付金は、交通安全対策の一環として、都道府県等が実施する交通安全施設等整備事業の財源に充当させるために交付するもので、法に基づき国に納付された反則金収入相当額等から通告書送付費支出金相当額及び郵政取扱手数料相当額を控除した額をもってその交付総額としている。そして、各都道府県等に対する毎年度の交付額は、交通安全対策特別交付金等に関する政令(昭和58年政令第104号。以下「政令」という。)第4条に基づき当該都道府県等の区域における交通事故の発生件数、人口集中地区人口及び改良済道路の延長により算定されることとなっている。
交付金の交付を受けた都道府県等は、その全額を政令第1条で規定する道路交通安全施設の設置及び管理に要する費用(以下「交通安全対策経費」という。)に充てなければならないこととなっており、この場合、同条によると、当該費用につき国の補助を受けた場合にあっては、当該補助の対象となった事業費を除くとなっていて、交付金は、都道府県等が国の補助を受けないで単独に実施する交通安全施設等整備事業(以下「交付金対象事業」という。)の財源に充当されることとなっている。そして、国は、法附則第19条及び政令第10条の規定によると、都道府県等が、交付を受けた交付金を交通安全対策経費に充当しなかったときは、やむを得ない事情があると認める場合を除き、その充当しなかった部分に相当する金額の返還を命ずることとなっており、また、法附則第20条の規定によると、必要があると認めるときは、都道府県等から交付金の用途、道路交通安全施設の設置及び管理の状況等に関し報告を徴することができることとなっている。これを受け、自治省では、都道府県等に交付した交付金額以上の事業が執行されていることを確認するため、毎年、「交通安全対策特別交付金制度の運用について」(昭和49年財政課長通知自治財第50号)に基づいて、各都道府県から提出される「交通安全対策施設等整備事業施行実績調」(以下「実績調べ」という。)において、当該都道府県並びに管内の市町村及び特別区が交付金、特定財源(地方債など充当する事業が指定されている財源)及び一般財源を充当して実施した交付金対象事業の事業費等を記載させている。
しかして、青森県ほか24都府県(注1)
及び各管内の102市町村3特別区(以下「都府県等」という。)では、自治省に提出した実績調べにおいて、61年度には交付金計230億3721万余円及び一般財源等計526億6925万余円、合計757億0647万余円、62年度には同じく375億6041万余円及び482億4430万余円、合計858億0472万余円を充当して交付金対象事業を実施したとして報告しており、この報告によれば、いずれの年度においても各都府県等における交付金対象事業の実施事業費が交付金の額を上回っていることから、交付金はすべて所定の事業に充当されたことになるが、本院において、その実施状況を調査したところ、ほとんどの都府県等においては、実績調べに計上した交付金対象事業について、どの事業に交付金を充当したかを特定しておらず、交付された交付金が交通安全対策経費に充当されたかの確認が困難な状況となっていた。そして、都府県等が実施したとしている交付金対象事業について抽出的に調査したところ、青森県ほか13都府県及び花巻市ほか25市町2特別区(注2)
において、実績調べに計上していた事業(事業費61年度417億3565万余円、62年度481億4664万余円)のうちに、国庫補助事業で実施した事業、政令で定める施設以外のものの設置又は管理に係る事業など交付金の充当対象とは認められない事業及び特定財源が別途にあるのに事業費全額について交付金及び一般財源を充当したとしている事業が多数(これに係る事業費61年度計24億6566万余円、62年度計29億2294万余円)見受けられたので、交付金を充当できる事業費と交付金とを各都府県等ごとに比較してみたところ、事業費が交付金の額を下回っているものが、青森県(道路管理者分)ほか1県及び桐生市ほか3市1特別区(注3)
で見受けられた。
すなわち、当該都府県等ごとに、各年度の事業費(実績調べに記載された交付金対象事業費から特定財源の額及び交付金の充当対象とは認められない事業に係る事業費を控除した後の額)と当該年度に交付された交付金の額とを比較してみたところ、
(1) 61年度において、青森県、桐生市及び目黒区では、実績調べにおいて、交付金対象事業費が計7億3121万余円で特定財源計3億4065万円を控除した額が交付金計3億8231万余円を上回っているとしていたが、交付金対象事業のうちに充当対象とは認められない事業費が計1361万余円計上されていたことから、交付金を充当したことになる額は3億7694万余円となり、交付金額を536万余円下回ることになり、
(2) 62年度において、青森県ほか1県及び桐生市ほか3市では、実績調べにおいて、交付金対象事業費が計20億7257万円で特定財源計12億2643万円を控除した額が交付金計8億3655万余円を上回っているとしていたが、交付金対象事業のうちに充当対象とは認められない事業費が計4357万余円計上されていたことから、交付金を充当したことになる額は8億0256万余円となり、交付金額を3399万余円下回ることになり、
これらの開差額合計約3930万円については、交通安全対策経費に充当されていない結果になっていると認められた。
このような事態を生じているのは、都道府県等において、交付金の使途は交通安全対策経費に限定されているものであるという認識が十分でないことなどにもよるが、
(1) 現行の実績調べでは、交付金を充当した事業が特定されておらず、使用した交付金の額が交通安全対策経費に充当されているかどうかを確認できるようになっていないこと、
(2) 自治省の指導が十分徹底して行われていなかったこと
によると認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、自治省では、平成元年11月に、事業費が交付金を下回っていた青森県(道路管理者分)ほか1県及び桐生市ほか3市1特別区について、速やかに追加事業を実施するよう指示するなどの措置を講じ、また、都道府県に対し昭和49年の「交通安全対策特別交付金制度の運用について」の通達を全面的に改正した通達を発し、交付金を充当したと判断した事業のみを記載するよう実績調べの様式を改正し、これに基づき交付金の充当状況の適否を判断することとしたほか、交付金の充当対象事業の範囲の明確化を図り、また、都道府県の市町村及び特別区に対する指導の強化を徹底させる等交付金制度の適正な運用を図る措置を講じた。
(注1) 青森県ほか24都府県 東京都、京都府、青森、岩手、秋田、茨城、群馬、神奈川、新潟、石川、山梨、長野、静岡、滋賀、兵庫、奈良、島根、広島、徳島、愛媛、高知、佐賀、長崎、宮崎、鹿児島各県
(注2) 青森県ほか13都府県及び花巻市ほか25市町2特別区 東京都、京都府、青森、岩手、秋田、新潟、山梨、静岡、滋賀、兵庫、島根、広島、愛媛、宮崎各県、花巻、前橋、桐生、横浜、平塚、三浦、新潟、長岡、新発田、新津、燕、金沢、小松、加賀、長野、近江八幡、京都、長岡京、明石、松山、新居浜、西条、佐賀、宮崎各市、二宮、野村両町、目黒、大田両特別区
(注3) 青森県(道路管理者分)ほか1県及び桐生市ほか3市1特別区 青森、山梨両県、桐生、新潟、新津、宮崎各市、目黒区