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  • 昭和63年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第3 日本道路公団|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

路面排水施設工事におけるロールドガッタの設計を適切なものに改善させたもの


(1) 路面排水施設工事におけるロールドガッタの設計を適切なものに改善させたもの

科目 (款)高速道路建設費 (項)建設工事費
(款)一般有料道路建設費 (項)建設工事費
部局等の名称 仙台、東京第二、新潟、大阪、広島、福岡各建設局
工事名 東北自動車道石神舗装工事ほか26工事
工事の概要 高速道路等建設事業の一環として、舗装及び路面排水施設等を施工する工事
工事費 48,988,283,011円(当初契約額45,817,400,000円)
請負人 大成道路株式会社・国土道路株式会社東北自動車道石神舗装工事共同企業体ほか24共同企業体、世紀東急工業株式会社ほか1会社
契約 昭和61年12月〜平成元年3月 指名競争契約

 上記の各工事において、路面排水施設として中央分離帯に設置するロールドガッタ(積算額5億1173万余円)の設計が適切でなかったため、積算額が約3200万円過大になっていた。
 このように積算額が過大になっているのは、雨水等の流入量に見合った適切な通水断面をもつロールドガッタで設計するための手順が明確に示されていなかったことによるもので、ロールドガッタについて適切な設計が行えるよう具体的な設計手順を明確に示した運用基準を設ける要があると認められた。

 上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。

(説明)
 日本道路公団(以下「公団」という。)では、高速道路等の建設工事を毎年多数実施しているが、このうち、仙台建設局ほか5建設局が昭和63事業年度に施行している舗装工事27工事(工事費総額489億8828万余円)について検査したところ、次のとおり、ロールドガッタ(注) の設計が適切でないと認められる点が見受けられた。
 すなわち、上記の各工事は、高速道路等建設事業の一環として、舗装及び路面排水施設等を施工するものであるが、このうち、路面排水施設として、道路上の雨水等を排水するため中央分離帯に設置するロールドガッタ延長94,505m、積算額5億1173万余円の設計についてみると、公団本社制定の「設計要領第1集」(58年制定、以下「設計要領」という。)に基づき、当該道路の中央分離帯に通水断面の幅70cmの ロールドガッタを設置することを予定して、〔1〕 道路の縦断勾配とロールドガッタの通水断面から設計通水量を、〔2〕 降雨量及び雨水等の集水面積等からロールドガッタヘの流入量を、それぞれ算定して、〔1〕 と〔2〕 とを比較し、設計通水量が流入量を上回った場合は、そのまま当初予定の幅70cmのロールドガッタによることとする手順により設計していた。

 しかしながら、上記〔2〕 により算定する流入量は、道路の縦断勾配等の変化、トンネル及び橋りょう等の構造物の設置の有無等により決定される集水面積により変化するものであり、設計通水量が流入量を大幅に上回る場合があること、また、公団ではロールドガッタの規格について、通水断面の幅が70cmのものだけでなく、これよりも小さい50cmのものも定めていることから、本院において上記の全延長について設計通水量と流入量とを比較検討したところ、47,974mについては、設置していた幅70cmに代えて幅50cmのロールドガッタによることとしても通水を確保することが可能であり、これにより設計すべきであったと認められた。
 このような事態を生じているのは、当初設置すると予定したロールドガッタの設計通水量が流入量を上回った場合、これより通水断面の小さなものへの変更を検討するなど、流入量に見合った適切なロールドガッタにより設計が行えるような手順が設計要領に明確に示されていなかったことによると認められた。
 したがって、前記の各工事について、流入量に見合った適切な通水断面をもつ口ーノレドガツタにより設計したとすれば、本件積算額は4億4449万余円となり、ロールドガツタが小型になることによりコンクリートシール等の費用が増加することを考慮しても積算額を約3200万円低減できたと認められた。

 上記についての本院の指摘に基づき、日本道路公団では、平成元年10月に具体的な設計手順を明示した設計要領の適正な運用基準を定め、同年11月以降設計するものから適用することとする処置を講じた。

(注)  ロールドガッタ 路面排水用に高速道路等の中央分離帯に設ける中央部が緩い凹面状のコンクリート側溝

(注)ロールドガッタ路面排水用に高速道路等の中央分離帯に設ける中央部が緩い凹面状のコンクリート側溝