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  • 昭和63年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第9 日本電信電話株式会社|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

卓上形公衆電話のキャビネット及びスタンドに係る委託業務の内容を適切なものに改善させたもの


(1) 卓上形公衆電話のキャビネット及びスタンドに係る委託業務の内容を適切なものに改善させたもの

科目 営業費用
部局等の名称 日本電信電話株式会社
契約の概要 卓上形公衆電話を収容するためのキャビネット及びスタンドの受託者の選定、設置、維持管理等の業務の委託
契約の相手方 株式会社公共電話サービス、財団法人電気通信共済会
契約 昭和62年5月 基本契約
昭和62年10月〜63年12月 個別契約
支払額の合計 4,399,500,608円(昭和63年度)

 上記の契約において、委託する必要がないと認められる業務を委託内容に含めていたため、約1億1230万円が不経済になっていた。
 このような事態を生じているのは、委託業務の実態を十分把握していなかったり、委託費の支払方法について経済的な配慮が十分でなかったりしたことなどによるもので、当該業務を委託の対象から除外することにより、経費の節減を図る要があると認められた。

 上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。

(説明)
 日本電信電話株式会社(以下「NTT」という。)では、街頭用公衆電話として、電話ボックス内に設置するボックス形公衆電話のほかに、卓上形公衆電話を多数設置している。この卓上形公衆電話は、終日利用可能なように照明機器を備えたキャビネットに収容して屋外に設置したり、スタンド等に収容して駅、地下街等の屋内に設置したりするもので、昭和63年度末の設置台数は45万余台に上っている。そして、卓上形公衆電話の設置に当たっては、電話機本体の管理等については、各事業所(旧電話局等)が公衆電話委託契約により部外者(以下「公衆電話受託者」という。)に委託している。また、電話機を収容するキャビネット及びスタンドに関し、その受託者の選定、設置、維持管理等の業務は各地域事業本部(旧総支社)が株式会社公共電話サービス等(以下「業者」という。)に委託して実施しており、委託費として63年度に計43億9950万余円を支払っている。さらに、業者は、キャビネット内の電灯への電気の供給、キャビネットの清掃等を上記公衆電話受託者に委託しており、これに要する経費を当該委託費の中から当該受託者(以下「キャビネット受託者」という。)に支払っている。
 しかして、本件委託業務の実態及び委託費の算定方法について調査したところ、次のとおり、適切でないと認められる事態が見受けられた。

1 キャビネット及びスタンドの受託者の選定業務の委託について

 NTTでは、キャビネット及びスタンドの受託者を選定し、その承諾を取り付ける業務(以下「受託者選定業務」という。)及び受託者に対しキャピネット及びスタンドの取扱方法等を説明し具体的設置場所を検討するなどの業務(以下「設置場所検討等業務」という。)を業者に委託している。
 しかして、関東地域事業本部ほか6地域事業本部(注1) では、キャピネット又はスタンドについて受託者選定業務及び設置場所検討等業務を合わせた単価を算出し、これに実際に設置した台数を乗じて委託費を算定し、63年度に計48,239,564円を支払っている。
 しかし、近年、NTTでは、公衆電話の設置については収益性、利便性等を考慮して計画的に実施しているため、キャビネット及びスタンドの受託者選定業務も事業所で行っている状況であり、これを上記のように委託内容に含めて委託費を算定しているのは、業務の実態を反映しておらず適切とは認められない。
 いま、仮に、このような業務の実態を反映するようキャビネット及びスタンドの受託者選定業務を委託の対象から除外して委託費を算定すると、約1450万円を節減できると認められた。

2 キャビネットの維持管理等業務の委託について

 NTTでは、公衆電話を夜間においても利用できるよう、キャビネット内の電灯への電気の供給等を業者に委託しており、さらに、業者は、当該業務をキャビネット受託者に委託している。
 しかして、東京地域事業本部ほか10地域事業本部(注2) では、63年度に、キャビネット受託者に支払う電灯料等の経費として701,364,675円、キャビネット受託者への支払に要する銀行等振込手数料相当額及び業者の事務処理経費相当額(以下両者を併せて「振込手数料等相当額」という。)として101,903,037円、計803,267,712円を業者に支払っており、そして、業者は、このうち電灯料等の経費を、口座振込みにより、キャビネット受託者に対し支払っている。
 しかし、当該キャビネット受託者は、前記のとおり、各事業所から別途公衆電話委託契約により公衆電話の電話機本体の管理等の委託を受けていて、その委託手数料の支払については、そのほとんどをNTTの料金センタ等においてコンピュータを使用して毎月の通話料と自動的に相殺する方法により行っていることなどから、キャビネット受託者に対するキャビネット内の電灯への電気の供給等の委託をNTTが直接行うこととし、キャビネット受託者への電灯料等の支払も公衆電話の委託手数料の支払と併せて行うこととすれば足りると認められる。
 いま、仮に、上記キャビネット内の電灯への電気の供給等を業者に委託せずにNTTが直接キャビネット受託者に委託することとし、キャビネット受託者に対する電灯料等の支払についても公衆電話の委託手数料に電灯料等の経費を合算して行ったとすれば、振込手数料等相当額は約9780万円節減できたと認められた。

 このような事態を生じているのは、〔1〕 近年、キャビネット及びスタンドの受託者選定業務はNTTが自ら事業所で行っているにもかかわらず、その実態を十分把握しておらず従来の委託内容をそのまま踏襲していたこと、〔2〕 公衆電話受託者とキャビネット受託者は同一人であるにもかかわらず、キャピネットの電灯料等を公衆電話の委託手数料に合算して通話料と相殺するなどキャビネット受託者に対する電灯料等の支払方法について経済的な配慮が十分でなかったことなどによるものと認められた。

 上記についての本院の指摘に基づき、日本電信電話株式会社では、平成元年10月に基本契約、仕様及び委託費の算定要領を改定するなどして、上記の業務を委託の対象から除外することとする処置を講じた。

 (注1)  関東地域事業本部ほか6地域事業本部 関東、信越、北陸、関西、四国、九州、北海道各地域事業本部

 (注2)  東京地域事業本部ほか10地域事業本部 東京、関東、信越、東海、北陸、関西、中国、四国、九州、東北、北海道各地域事業本部