科目 | (款)建設勘定 | (項)安全対策 |
(款)鉄道事業営業費 | (項)線路保存費 | |
部局等の名称 | 米子支社 | |
工事名 | 上溝口伯耆溝口125K 710Mのり面工新設 | |
工事の概要 | 伯備線の防災工事の一環として、倉敷起点125.71km付近の山側法面に法面保護工等を施工する工事 | |
工事費 | 22,573,754円(当初契約額19,700,000円) | |
請負人 | 美保土建株式会社 | |
契約 | 昭和63年11月 随意契約 | |
しゅん功検査 | 平成元年3月 | |
支払 | 平成元年4月 |
この工事は、監督及び検査が適切でなかったため、法面保護工1,077.3m2 (工事費相当額21,910,524円)の施工が設計と著しく相違したものとなっていて、工事の目的を達していないと認められる。
(説明)
この工事は、伯備線の防災工事の一環として、倉敷起点125.71m2
付近の山側法面を保護するため法面保護工1,077.3m2
(吹付法枠工325.9m2
、吹付コンクリート工751.4m2
)、線路側溝改築等を施工したものである。
しかして、上記工事のうち法面保護工1,077.3m2
は、設計図書等によると、既設の雑石張り法面の全面にわたり径2mmの菱形金網(網目5cm×5cm)を張り、吹付法枠工については、型枠を建て込み、型枠内に径16mmの鉄筋を配筋するなどし、コンクリートのはね返り材等コンクリートの付着を害するものを取り除きながら、設計基準強度180kg/cm2
のコンクリートを吹き付けて縦及び横方向に計585本の梁(高さ30cm、幅30cm、長さ2m)を格子状(2m×2m)に築造することとし、また、吹付コンクリート工については、吹付法枠内に吹付法枠工と同強度のコンクリートを厚さ10cmに吹き付けることとし、吹付法枠工及び吹付コンクリート工により法面全体の安定を保持することとしていた。
しかるに、法面保護工のうち吹付法枠工の施工は、コンクリートの混ぜ合わせが十分でなかったり、はね返り材が残存したまま吹き付けていたり、吹付ノズルの地山との距離や角度等が適切でないまま吹付作業を行っていたりしていた。このため、手ハンマーによる打撃検査を行ったところ、すべての梁が容易に破砕でき、鉄筋が露出してしまうものが96本見受けられた。さらに、14本の梁について、コアーを採取して圧縮強度を測定したところ、平均値は80.4kg/cm2
にすぎず、なかには42.5kg/cm2
のものもあるなど設計基準強度に比べて著しく低いものとなっていた。
上記のように、吹付法枠工の施工が粗雑で設計と著しく相違したものとなっていて、本件法面保護工(工事費相当額21,910,524円)は、工事の目的を達していないと認められる。