科目 | (款)建設勘定 | (項)安全対策 |
部局等の名称 | 熊本支店 | |
工事名 | 海路〜吉尾間26k580付近のり面改良 | |
工事の概要 | 肥薩線の防災工事の一環として、八代起点26.58km付近の山側法面にモルタル吹付け等を施工する工事 | |
工事費 | 13,841,360円(当初契約額10,746,700円) | |
請負人 | 博美建設株式会社 | |
契約 | 平成元年1月 指名競争契約 | |
しゅん功検査 | 平成元年3月 | |
支払 | 平成元年4月 |
この工事は、監督及び検査が適切でなかったため、モルタル吹付工1,900.6m2 (工事費相当額10,643,360円)の施工が設計と著しく相違したものとなっていて、工事の目的を達していないと認められる。
(説明)
この工事は、肥薩線の防災工事の一環として、八代起点26.58km付近の山側法面を保護するためモルタル吹付工1,900.6m2
及び落石止さく工123mを施工したものである。
しかして、上記工事のうちモルタル吹付工1,900.6m2
は、設計図書等によると、法面の浮石、土砂等を取り除いて清掃した後、モルタル吹付層を補強するため法面の全面にわたり径3.2mmの菱形金網(網目5.6cm×5.6cm)を張り、この金網をアンカーピンで地山と吹付け仕上がり面とのほぼ中間に位置するように固定し、また、吹付けに際しては、モルタルのはね返り材等モルタルの付着を害するものを取り除き、検測ピン(長さ13cm)で吹付け厚さを確認しながらモルタルを厚さ7cm(吹付厚が設計厚の70%以上、平均吹付厚が設計厚以上)に吹き付けることとしていた。
しかるに、その施工は、法面の土砂等の取り除き清掃が十分行われていなかったり、金網をアンカーピンで固定する作業などが粗雑であったり、検測ピンを全く設置していなかったり、モルタルのはね返り材を十分に取り除かないで吹付作業を行ったりしていた。このため、削孔して出来形を調査した139箇所のうち、101箇所で地山とモルタルの吹付層との間に土砂、モルタルのはね返り材が残存していてモルタルが地山に密着しておらず、49箇所で金網が地山に直接張り付いており、また、63箇所でモルタルの吹付け厚さが設計厚さの70%未満となっていて、なかには厚さが1.3cmと著しく不足している箇所もあり、調査した全箇所の平均の吹付け厚さも5.7cmと設計厚さを下回っており、法面に多数のき裂も発生している状況であった。
上記のように、本件モルタル吹付工(工事費相当額10,643,360円)は、その施工が粗雑で設計と著しく相違したものとなっていて、工事の目的を達していないと認められる。