平成8年度
第2章 個別の検査結果
第2節 団体別の検査結果
第4 阪神高速道路公団
本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項
遮音壁設置工事における吸音板の設計を経済的なものとするよう改善させたもの
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1 工事の概要
(工事の内容)
阪神高速道路公団(以下「公団」という。)大阪第二建設部及び大阪管理部では、高速道路の建設、改築及び維持工事の一環として、平成7、8両年度に、高速道路からの騒音の低減を図るなどのため、遮音壁を設置する工事を49工事(工事費総額42億7603万余円)施行している。
(遮音壁の概要)
上記の遮音壁は、高速道路の両側に設置したH型鋼の支柱に、両端に切込部を設けた吸音板をはめ込んで固定金具により固定し、このような方法で順次下から所定の高さになるまで積み上げて施工するものである。
(吸音板の設計)
前記の両部局では、吸音板について、公団制定の「設計基準」等に基づき景観を考慮した設計としている。すなわち、吸音板の表面部材を車道側はアルミ板製、沿道側はフッ素樹脂フィルムラミネート鋼板製とし、また外部から支柱が見えないよう、吸音板の車道側、沿道側とも、その表面部材により支柱を覆う構造としている(参考図参照)。
これにより、本件工事で使用している標準的な吸音板は、幅1.9m、高さ44.2cm、厚さ18.4cmの箱型の形状で、この中にグラスウール製の吸音材(幅1.8m、高さ42cm、厚さ5cm)を内装したものとなっている。
(吸音板の費用)
上記のような設計に基づき、前記の49工事について吸音板の材料費を計13億8429万余円と算定していた。
2 検査の結果
(調査の観点及び対象)
近年、遮音壁の設置工事は、高速道路の景観に配慮したものが多数施行されているが、経済性に対する配慮もされているかという観点から前記の49工事を対象として調査した。
(調査の結果)
調査したところ、本件各工事で使用している吸音板の設計が適切でないと認められる事態が見受けられた。
すなわち、次のようなことから、吸音板の車道側については、表面部材により支柱を覆う要はないと認められた。
(ア) 吸音板の車道側については表面部材により支柱を覆わないこととすれば、吸音板の厚さを15.5cmと薄くすることができ、その結果、材料費が経済的となる。
(イ) (ア)により吸音板の厚さを薄くする場合でも内装する吸音材の厚さなどには変更がないことから、減音効果にも影響しない。
(ウ) 表面部材により支柱の車道側の面を覆わない場合は、その面が露出することになるが、支柱には錆止めの亜鉛メッキが施されており、表面部材であるアルミ板製の部材と色合いもほとんど同色であることから、表面部材により車道側の面を覆った場合と外観上の差はほとんどない。
したがって、吸音板の設計については、支柱の車道側の面を覆わないこととして、吸音板を薄くするなど経済的な設計を行う要があると認められた(参考図参照)。
現に、他団体で使用している同種の吸音板についてみても、支柱の車道側の面を覆う構造とはなっていない。
(節減できた吸音板の費用)
上記により、支柱の車道側の面を覆わない構造の吸音板を設計したとすれば、前記のように吸音板が薄くなるため、49工事に係る吸音板の費用(13億8429万余円)を約7300万円節減できたと認められた。
(発生原因)
このような事態が生じていたのは、吸音板の設計について、経済性についての配慮が十分でなかったことなどによると認められた。
3 当局が講じた改善の処置
上記についての本院の指摘に基づき、公団では、9年10月に、吸音板の表面部材で支柱の車道側の面を覆わないよう設計の基準等を改正し、同年11月以降設計を行う工事から適用することとする処置を講じた。
