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雇用保険の特定求職者雇用開発助成金の支給が適正でなかったもの


(76)雇用保険の特定求職者雇用開発助成金の支給が適正でなかったもの

会計名及び科目 労働保険特別会計(雇用勘定) (項)雇用安定等事業費
部局等の名称 北海道労働局ほか19労働局(平成12年度以降の支給庁)
埼玉県ほか12都県(平成11年度以前の支給庁)
札幌公共職業安定所ほか65公共職業安定所(支給決定庁)
支給の相手方 76事業主
特定求職者雇用開発助成金の支給額の合計 205,995,254円(平成11年度〜13年度)
不適正支給額 111,865,305円(平成11年度〜13年度)

1 保険給付の概要

(特定求職者雇用開発助成金)

 特定求職者雇用開発助成金(以下「助成金」という。)は、雇用保険(前掲の「雇用保険の失業等給付金の支給が適正でなかったもの」 参照)で行う事業のうちの雇用安定事業の一環として、55歳以上65歳未満(注1) の高年齢者など就職が特に困難な者(以下「特定求職者」という。)の雇用機会の増大を図るため、特定求職者を雇い入れた事業主に対して、当該雇用労働者に支払った賃金の一部を助成するものである。

(特定求職者雇用開発助成金の支給)

 この助成金は、事業主が特定求職者を公共職業安定所の紹介により新たに常用労働者として雇い入れたことなどが支給要件となっている。ただし、平成10年6月18日から13年9月30日までの間(緊急雇用開発対策期間)に雇い入れた労働者(重度の身体障害者等を除く。)について、雇用・能力開発機構から中小企業雇用創出人材確保助成金(以下「雇用創出助成金」という。後掲の「中小企業雇用創出人材確保助成金の支給が適正でなかったもの」 参照)等を受給できる場合には、助成金は支給しないこととなっている。そして、支給対象期間は雇入れ後1年(重度の身体障害者等については1年6箇月)、支給額は支給対象期間内に支払った賃金の額に所定の支給率(注2) を乗じて得た額となっている。
 助成金の支給を受けようとする事業主は、特定求職者雇用開発助成金支給申請書等を公共職業安定所に提出することとなっている。そして、公共職業安定所は支給申請書等に記載されている当該雇用労働者の氏名、生年月日、雇用年月日、支払賃金額及び雇用創出助成金等の受給の有無等を審査して支給を決定し、これに基づいて都道府県労働局(11年度以前は都道府県)が支給することとなっている。

(注1) 55歳以上65歳未満 平成10年6月18日から13年9月30日までの間は暫定措置として45歳以上55歳未満の者も対象となっている。
(注2) 所定の支給率 高年齢者の場合の支給率は、次表のとおりである。
対象労働者 中小企業事業主以外の事業主 中小企業事業主
55歳以上65歳未満の者 1/4 1/3
45歳以上55歳未満の者 1/6 1/4

2 検査の結果

(検査の対象)

 北海道労働局ほか28労働局及び埼玉県ほか12都県(支給決定庁 札幌公共職業安定所ほか267公共職業安定所)において、11年度から13年度の間に助成金の支給を受けた事業主のうち1,626事業主について、支給申請書等の記載内容が事実でかつ支給要件に合致するかに着眼して、公共職業安定所における支給決定の適否を検査した。

(不適正支給の事態)

 検査したところ、北海道労働局ほか19労働局及び埼玉県ほか12都県で、76事業主に対する支給(支給額205,995,254円)について111,865,305円が適正に支給されていなかった。
 上記の不適正支給となっていたものの主な態様は、次のとおりである。
(ア)既に雇い入れている者を新たに雇い入れたこととして申請した事業主に対して支給していたもの
(イ)既に事実上雇入れが決定している者に形式的に公共職業安定所の紹介を受けさせ、その紹介により雇い入れたこととして申請した事業主に対して支給していたもの
(ウ)雇い入れた労働者について雇用創出助成金を受給できるのに本件助成金を申請した事業主に対して支給決定し、その結果、重複して支給していたもの
 このような事態が生じていたのは、事業主が誠実でなかったなどのため支給申請書等の記載内容が事実と相違していたのに、札幌公共職業安定所ほか65公共職業安定所において、これに対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行っていたことなどによると認められる。
 なお、これらの不適正支給額については、本院の指摘により、すべて返還の処置が執られた。
 これらの不適正支給額を都道府県労働局等ごとに示すと次のとおりである。

労働局等名 公共職業安定所 本院が調査した事業主数 不適正受給事業主数 左の事業主に支給した特定求職者雇用開発助成金 左のうち不適正特定求職者雇用開発助成金

北海道労働局

札幌ほか4

39

6
千円
16,418
千円
10,279
青森労働局 青森 5 1 1,269 1,269
埼玉労働局
・埼玉県
川口ほか2 23 3 5,112 4,281
千葉労働局
・千葉県
千葉ほか3 44 4 11,460 6,890
東京労働局
・東京都
飯田橋ほか5 44 8 39,586 18,807
神奈川労働局
・神奈川県
横浜ほか4 18 5 14,161 10,028
新潟労働局 新潟ほか2 28 3 10,090 8,588
福井労働局 武生 9 1 1,962 1,498
静岡労働局
・静岡県
静岡ほか3 26 4 7,279 4,002
愛知労働局
・愛知県
名古屋中ほか6 46 10 31,405 10,175
三重労働局
・三重県
四日市ほか2 39 5 7,588 4,442
滋賀労働局
・滋賀県
大津 10 1 1,717 1,098
大阪労働局 堺ほか5 26 6 14,075 7,714
兵庫労働局 神戸ほか1 16 3 9,700 3,086
岡山労働局
・岡山県
児島ほか2 23 3 6,788 4,271
広島労働局
・広島県
広島ほか3 25 4 10,970 7,118
山口労働局
・山口県
下関ほか1 11 2 3,452 1,501
徳島労働局 鴨島 4 1 1,205 1,205
福岡労働局
・福岡県
福岡中央ほか2 22 3 7,011 3,133
長崎労働局
・長崎県
長崎ほか1 16 3 4,737 2,472
20労働局及び13都県 66箇所 474 76 205,995 111,865