検査対象 | 国土交通省 | |
会計名及び科目 | 一般会計 (組織)国土交通本省(平成11年度以前は建設本省) | |
(項)住宅建設等事業費 (項)都市計画事業費 |
||
道路整備特別会計 | (項)道路事業費 | |
治水特別会計(治水勘定) | (項)河川事業費 (項)河川事業資金貸付金 |
部局等の名称 | 国土交通省関東地方整備局(平成13年1月5日以前は建設省関東地方建設局)、埼玉県ほか3都府県 |
対策の概要 | 急激な都市化に伴う洪水流出量の増大等に対し治水上の安全を確保するため、治水施設の整備及び河川流域における適正な保水・遊水機能の維持・確保等を行うもの |
総合治水対策の計画の見直しを検討する必要がある流域 | 新河岸川流域ほか3流域 |
上記流域の総合治水対策の実施のために国が平成12年度までに支出した額 | 3809億円 |
1 総合治水対策の概要
国土交通省では、急激な都市化が洪水流出量の増大等をもたらすことから、治水上の安全を確保するため、治水施設の整備を促進するとともに、流域の開発計画、土地利用計画等と有機的な連携・調整を図る総合治水対策を都市部で推進している。そして、治水安全度の低下が著しい特定の都市河川を、総合治水対策特定河川に指定し、改修事業を重点的に実施する総合治水対策特定河川事業を実施している。また、 昭和55年に、関係都道府県知事等に対して「総合治水対策の推進について」(昭和55年建設省河計発第34号建設事務次官通達)の通達を発し、関係地方自治体等に総合治水対策の推進を要請している。
総合治水対策の実施に当たっては、上記の通達に基づき、総合治水対策特定河川の流域ごとに、地方整備局、都道府県及び市町村の河川担当部局、都市・住宅・土地担当部局等(以下「担当部局等」という。)からなる流域総合治水対策協議会(以下「流域協議会」という。)を設置して、この流域協議会において、流域の特性に応じて具体的な施策等を検討・選択して流域整備計画を策定している。そして、担当部局等は、この計画により具体的な施策を推進している。また、流域整備計画は、計画策定後の情勢の変化に対応して必要に応じ見直しを行うものとしている。
流域整備計画では、原則として当面時間雨量50mm相当の降雨(注1) に対する流域全体の治水上の安全をおおむね10箇年程度で確保することを目標としている。そして、この目標を達成するため、おおむね10年後の開発状況を踏まえるなどして計算した基準地点での計画上の最大流量(以下「計画流量」という。)を、以下のような治水施設の整備及び流域対策で分担し流下させることとしている。
ア 直轄事業、国庫補助事業等による治水施設の整備
(ア) 河川の流下能力を増大させる河道の改修の実施
(イ)河川に隣接し洪水時の最大流量を低減させる遊水地等の河川域貯留施設の整備
(ウ)その他、河川を分派させ直接海又は他の河川に放流する放水路等の整備
イ 開発者、流域自治体等による流域対策
(ア) 開発に伴い開発者が雨水を貯留・浸透させる流出抑制施設として設置する調節池及び浸透施設(以下「防災調節池等」という。)の整備
(イ)流域自治体が事業主体となり、流域貯留浸透事業として国庫補助を受けるなどして、学校校庭、公園、運動場等の公共公益施設に、現在の機能を損なわない範囲で設置する流出抑制施設(以下「校庭・公園貯留等」という。)の整備
(ウ) その他、河川沿いの水田等の自然遊水地の保全など
2 検査の結果
近年、地球温暖化等が進むなか、都市部において時間雨量75mmを上回るような集中豪雨が発生している。平成12年9月に発生した東海地方における台風14号及び秋雨前線による集中豪雨(以下「東海豪雨」という。)にみられるように、都市部における集中豪雨等は、広域な市街地に浸水、停電、交通機能の混乱等広範な被害を発生させ、都市機能をまひ状態にし、当該都市部以外にも大きな影響を及ぼしている。
総合治水対策特定河川には、12年度末現在で17河川が指定されている。このうち、新河岸川、新川、寝屋川及び神田川の4つの一級河川の流域(以下「4河川流域」という。)は、行政、経済等が集中する三大都市圏に位置している。また、これらの流域での水害の発生状況をみると、下図のとおり、近年宅地等水害面積は減少しているが、流域内への資産集中等により、面積当たりの被害額(水害密度)は増加傾向にあり、一般資産等の被害額も減少傾向にはない。
総合治水対策は、河川の治水機能の増強のみで治水上の安全を確保するには限界があることから、治水対策の対象を河川からその流域にまで拡大し、治水施設の整備に流域対策を併せて実施されている。そこで、これら4河川流域において、流域整備計画に基づき展開されている総合治水対策の実施状況について、特に流域対策を重点的に、検査を実施した。
4河川流域において、国及び流域自治体が事業着手から12年度末までに総合治水対策のために支出した額は、直轄事業392億2776万円、国庫補助事業7152億8409万余円(国庫補助金3417億1692万余円)となっている。
検査したところ、流域対策及び治水施設の整備は必ずしも流域整備計画どおり進ちょくしていなかった。これを流域ごとに示すと、次のとおりである。
(1)新河岸川流域
埼玉県及び東京都が管理する新河岸川の流域については、関東地方整備局、東京都、埼玉県及び流域内関係市区町が設立した新河岸川流域総合治水対策協議会において、昭和57年に、おおむね10箇年を整備の目途とした新河岸川流域整備計画を策定している。
平成12年度末現在の流域対策及び治水施設の整備の実施状況は次のとおりであった。
ア 流域対策
流域整備計画では、流域の過去の開発状況を参考に、計画策定からおおむね10年後の市街化率を50%と想定し、流域対策を防災調節池等、校庭・公園貯留等、自然遊水地の整備などにより実施することとしている。このうち、開発者が設置する防災調節池等の整備については、0.05ha未満の小規模開発では防災調節池等の整備が期待できないことから、その割合を全開発面積の約29%と推定した上で、計画整備量の対象としていなかった。そして、下表のとおり、開発規模ごとの対策基準を定め、0.05ha以上の開発に伴い約207万m3 の防災調節池等を整備することとしていた。
開発規模 | 対策基準 |
1.0ha以上 | 950m3 /haの防災調節池等を整備する。 |
0.05ha以上1.0ha未満 | 500m3 /haの防災調節池等を整備する。 |
防災調節池等については、開発に関わる手続きの機会等に整備の要請を行うこととしており、その主なものとして都市計画法(昭和43年法律第100号)の開発許可がある。埼玉県や東京都では、都市計画法上の許可申請の対象となる開発行為(注2)
が行われる場合、その許可の審査の際の運用基準等により対策基準を定め、開発許可の手続きを通じて、防災調節池等の整備を開発者に対して要請することとしている。
また、開発許可申請には開発行為に関係のある公共施設管理者である市区町の同意等が必要なことなどから、市区町においても、宅地開発指導要綱等(以下「指導要綱等」という。)により、開発者に対して防災調節池等の流域対策が実施されるよう要請することとしている。
11年度末現在で、流域の市街化率は48%とほぼ計画値50%に達していたにもかかわらず、防災調節池等の整備は計画整備量約207万m3 に対して約113万m3 にとどまっていた。そして、開発規模(面積)別の充足率は下表のとおりとなっていた。
(平成11年度末現在) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
このように防災調節池等の整備実施量が計画整備量に達していない理由としては、次のようなことなどが考えられる。
〔1〕 0.05ha以上の開発については、過度な開発者負担とならないよう整備を要請するにとどまらざるを得ないことや、東京都の運用基準等により算定された対策基準が1ha以上の開発では計画上の対策基準を下回っていること、及び下表のとおり、流域市区町による指導要綱等の対策基準の記述状況が異なること。
市区町数 | 1.0ha以上の対策基準を950m3 /ha以上と明記している市区町数 | 0.05ha以上1.0ha未満の対策基準を500m3 /ha以上と明記している市区町数 | |
埼玉県 | 13市町 | 11市町(84%) | 12市町(92%) |
東京都 | 12市区町 | 3市(25%) | 9市区町(75%) |
〔2〕 0.05ha未満の開発については、2年と9年の流域の航空写真等によると、その間の全開発面積に占める割合は約68%となり計画で想定した割合約29%を大幅に上回っていること。
イ 治水施設の整備
治水施設の整備については、用地の取得の困難性などのため、下表のとおり、河道の改修の進ちょく率が72%となっているなど必ずしも計画どおり進ちょくしていない。
|
||||||||||||||||||||||||
(注)
要整備量 計画上の整備量から計画時までに既に整備されていた量を除いた整備必要量
|
(2)新川流域
愛知県が管理する新川の流域については、中部地方整備局、愛知県及び流域内関係市町が設立した新川流域総合治水対策協議会(以下「新川協議会」という。)において、昭和57年に、おおむね10箇年を整備の目途とした新川流域整備計画を策定している。
平成12年度末現在の流域対策及び治水施設の整備の実施状況は次のとおりであった。
ア 流域対策
流域整備計画では、流域対策を防災調節池等、校庭・公園貯留等、自然遊水地の整備などにより実施することとしている。このうち、防災調節池等及び校庭・公園貯留等の整備については、おおむね10年後の市街化率を64%と想定し、この間に想定される開発面積約4,900haのすべてに対して、600m3 /ha相当の流域対策を実施し、約298万m3 を整備することとしていた。
(ア) 防災調節池等の整備
愛知県では、都市計画法における開発許可の審査を行う際の運用基準により対策基準を定め、主にこの開発許可の手続きを通じて、防災調節池等の整備を開発者に対して要請することとしている。
また、市町においても指導要綱等により、開発者に対して防災調節池等の流域対策が実施されるよう要請することとしている。
そして、開発許可申請の対象とならない市街化区域内での0.1ha(5年以降0.05ha)未満の小規模な開発行為に対しても可能な限り各戸貯留、浸透施設等の設置に努めるよう要請することとしている。
10年度末現在で、流域の市街化率は61%とほぼ計画値64%に達していたにもかかわらず、12年度末現在における防災調節池等の整備は約44万m3 にとどまっており、校庭・公園貯留等の整備実施量約17万m3 と合算しても約61万m3 で、流域対策による計画整備量の約298万m3 の2割程度であった。そして、推定した開発規模(面積)別の充足率は下表のとおりとなっていた。
開発規模 (面積) |
開発面積 (推定実績) A |
計画上の 対策基準 B |
対策基準量 C=A×B |
整備実施量 D |
充足率 D/C |
|
占有率 | ||||||
ha 0.1未満
|
ha 2,737 |
% 67 |
m3
/ha 600 |
m3
1,642,458 |
m3
27,023 |
% 2 |
0.1以上5.0未満 | 927 | 23 | 556,644 | 219,606 | 39 | |
5.0以上 | 415 | 10 | 249,456 | 196,766 | 79 | |
小計 | 1,343 | 33 | 806,100 | 416,372 | 52 | |
合計 | 4,080 | 100 | / | 2,448,658 | 443,395 | 18 |
上表のように、開発規模ごとにみると、5ha以上の大規模な開発については、充足率は79%となっている。しかし、0.1ha以上5ha未満の開発については、充足率は39%と、対策基準量の半分に達しておらず、また、0.1ha未満の開発については、開発全体に占める比率が大きいものの、その充足率は2%にとどまっていて、十分な整備実施量が確保されていない状況となっている。
このような事態となっている理由については、次のようなことが考えられる。
〔1〕 0.1ha以上5ha未満の開発については、比較的開発が小規模となることから、設計に際して技術的な対応が困難な場合があること、調節池設置後の維持管理が困難なこと、対策費用の開発者負担が大きくなることなどを考慮して、運用基準において600m3
/ha相当の貯留・浸透施設の設置に努めること、という記述に基づく要請にとどまらざるを得ない状況であった。また、公共施設管理者である流域市町で定められている指導要綱等においても、流域19市町のうち7市町については、12年度末現在、流域対策の実施について指導要綱等に定めはなく、要請が明確化されていなかった。
〔2〕 0.1ha未満の開発については、流域対策として各戸貯留、浸透施設等の設置に努めるよう要請することとしているが、このうち0.05ha未満の開発については都市計画法上、市街化区域においては開発許可の申請が不要となることから、県では要請の機会がなく、流域市町が設置の要請を行っていた。
そして、ほとんどの流域市町においては、0.1ha未満については指導要綱等による指導の対象とはしておらず、これらについては、建物の建築等に当たり提出される建築確認申請の際などに担当者が個別に協力を要請するなどしているものの、必ずしもすべてについて要請は行われていなかった。また、開発規模が極めて小規模のため、一部市町において雨水浸透桝設置費補助金制度を設けるなどして、その流域対策の実施に努めているものの、敷地面積上の制約、費用負担上の問題などから設置が困難な事例が多かった。
(イ)校庭・公園貯留等の整備
校庭・公園貯留等の整備については、前記(ア)のとおり、12年度末現在における実施量が約17万m3 にとどまっていた。
このような事態となっているのは、その実施に当たって、学校及び公園の施設管理者等との調整が困難であったことのほか、流域市町ごとに整備目標量が明示されていないなど計画的に整備が図られていなかったことにもよると考えられる。
なお、東海豪雨を契機に、緊急的な整備を行うため、新川協議会では、13年度以降5年間について流域市町ごとの整備目標量を明示した新川流域対策緊急五ヵ年計画(総対策量約56万m3
)を策定している。
イ 治水施設の整備
治水施設の整備については、関係地権者との交渉に時間を要したなどのため、下表のとおり、河道の改修の進ちょく率が63%となっているなど必ずしも計画どおり進ちょくしていない。
|
||||||||||||||||||||||||
(注)
治水緑地の要整備量の約8割を占める新川治水緑地については、用地は既に約97%は取得済みで、更に残用地の継続的な交渉を行うとともに、東海豪雨に係る河川激甚災害対策特別緊急事業の一環として平成16年度完了を目標に既に工事にも着手している。また、流況調整河川木曽川導水については、12年度に公共事業の見直しにより事業を中止している。
|
(3)寝屋川流域
大阪府が管理する寝屋川の流域については、近畿地方整備局、大阪府及び流域内関係市が設立した寝屋川流域総合治水対策協議会において、2年に、基本方針となる寝屋川流域整備計画を策定し、このうち早期の効果発現を目指した暫定計画については、計画策定からおおむね10箇年を整備の目途としている。
12年度末現在の流域対策及び治水施設の整備の実施状況は次のとおりであった。
ア 流域対策
流域整備計画(暫定計画)では、雨水が河川へ自然に排水されない内水域の浸水解消のため、防災調節池等及び校庭・公園貯留等の流出抑制施設を160万m3 整備することとしている。このうち、校庭・公園貯留等の整備については、計画整備量約52万m3 に対して12年度末現在における整備実施量は約9万m3 にとどまっていた。
このように校庭・公園貯留等の整備実施量が計画整備量に達していないのは、流域の各市において、施設管理者等との調整に時間を要したことのほか、流域の各市ごとの計画整備量が明示されておらず、必ずしも計画的に整備が図られていなかったことにもよると考えられる。
イ 治水施設の整備
治水施設の整備については、公共用地管理者との調整に時間を要したなどのため、下表のとおり、河道の改修の進ちょく率が66%となっているなど必ずしも計画どおり進ちょくしていない。
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||
(注)
流量でみると、要整備量220m3
/secに対して整備実施量は180m3
/secであり、進ちょく率は82%である。
|
(4)神田川流域
東京都が管理する神田川の流域については、他の流域も合わせて東京都及び流域内関係市区が治水対策を検討するための東京都区部中小河川流域総合治水対策協議会を設立し、同協議会において、元年に、7年度を整備達成の目途(現在の整備達成の目途は15年度)とした「神田川流域の総合的な治水対策暫定計画」(以下「神田川流域整備計画」という。)を策定している。そして、新河岸川、新川及び寝屋川各流域の流域整備計画では治水施設の整備と流域対策で計画流量を分担しているのに対し、神田川流域整備計画では、治水施設の整備のみで計画流量に対応することとしている。
12年度末現在の治水施設の整備については、下表のとおり、河道の改修の進ちょく率が27%にとどまっている。これは、河川沿いに都市施設が密集しているため、河川の必要な断面積を確保するための橋りょうの架け替えに施工上の制約があったり、地権者が多数存在してその権利関係も複雑であったりするなど河川整備事業を実施する上で解決にかなりの時間を要する問題があることなどによると考えられる。
|
||||||||||||||||
(注)
調節池の整備は、環状七号線の地下に設置する神田川地下調節池など要整備量105万m3
の施設を整備する計画で、神田川地下調節池第二期工事(30万m3
)は既に本体工事に着手しており、平成16年度末に供用開始予定となっている。
|
なお、神田川流域では、防災調節池等及び校庭・公園貯留等を45万m3 整備しているものの、神田川流域整備計画では治水施設の整備のみで計画流量に対応することとしており、流域対策については、計画上必要な整備量として含まれていない。
3 本院の所見
各流域における総合治水対策は、国土交通省及び流域自治体において、治水施設の整備と流域対策を併せて、治水上の安全を確保する観点から実施されてきている。このうち、治水施設の整備については、総合治水対策特定河川事業を実施するなど積極的に推進を図ってきたところではあるが、都市部の用地取得等の困難性もあり、整備は計画どおり進ちょくしていない状況となっている。また、流域対策についても各流域ごとの流域整備計画に基づき実施してきたところであるが、当初の計画上の想定と実態が異なっていることなどから、計画上の整備量を確保することが困難な状況となっている。
近年の水害発生状況をみると、過去からの治水施設の整備が進んだこともあり、浸水面積については減少傾向にある。しかし、流域内で資産集中が進んでいることなどにより、被害額という面ではいまだ相当の被害が発生しており、水害に対してぜい弱化している都市部に位置する各流域の総合治水対策は・一層重要な施策となっている。
したがって、各流域について、国土交通省及び各流域協議会において、治水施設の整備や流域対策を更に促進し早期の計画の達成を図るとともに、各流域での整備上の問題点については、今後次のように流域整備計画の目標を達成できるように計画の見直しを検討するなどして、一層効率的・効果的な総合治水対策を実施することが望まれる。
(1)新河岸川、新川両流域における防災調節池等の整備について
ア 都市計画法上許可申請の対象となる一定規模以上の開発に伴う防災調節池等の整備については、流域対策として今後とも重要な施策であることから、各流域協議会において、過度な開発者負担とならないこと、国や地方自治体の担う役割などを十分考慮しつつ、できる限り合理的な基準を指導要綱等に明記するなど検討し開発者の理解と協力が得られるよう努めること。また、開発者の理解と協力のもとにその実現を図るべきものとされている指導要綱等に基づく要請のみでは計画整備量を確保することが困難であることも考えられることから、各流域協議会において、防災調節池等の整備の状況を十分把握した上、実態に応じた適時適切な計画の見直しを検討すること。そして、こうした現状を踏まえ、国土交通省において、流域対策を充実していくための新たな施策の策定に向け検討すること
イ 都市計画法上許可申請の対象とならない一定規模以下の開発については、開発全体に占める比率が大きいことから、各流域協議会において、防災調節池等の整備の実態を踏まえた上、計画策定後の情勢の変化に対応して治水施設及び流域対策の分担等の計画の見直しも含め、必要な方策を検討すること。また、国土交通省において、これらの開発においても流出抑制施設の整備の誘導に向けた取組み等について検討すること
(2)新川、寝屋川両流域における校庭・公園貯留等の整備について
校庭・公園貯留等の整備については、流域自治体が事業主体となって実施するものであることから、各流域協議会において、流域整備計画と整合性を図った上、目標量を明示し計画的に整備するよう検討すること。なお、新川流域では、流域協議会において、新川流域対策緊急五カ年計画を策定しているが、この計画を着実に実施するとともに、以降の計画的な整備についても流域整備計画の達成に向け更に検討すること。そして、国土交通省において、計画的な整備が行われるよう流域自治体等に要請等をするとともに、更に整備の促進が図られるよう、流域貯留浸透施設の制度の拡充に向け検討すること
(3)神田川流域における治水施設の整備について
神田川流域では、治水施設の整備のみで計画流量に対応することとしていたが、治水施設の整備については、河道の改修が大幅に遅れており、このまま推移すると河道部分において計画流量に対応できない状況が続くことから、流域協議会において、実施状況を踏まえ流域対策を含めた流域全体での計画となるよう神田川流域整備計画の見直しを検討すること