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  • 平成13年度|
  • 第4章 特定検査対象に関する検査状況|
  • 第17 特別会計の決算分析について

本院の所見


3 本院の所見

 特別会計は、一般会計の財政運営と一体となって、資源配分、所得再分配及びマクロ経済安定化の機能を担い、社会経済環境の変化に対応して国の財政に求められる様々なニーズに応えている。特別会計の財政運営を支える財源には、事業内容に応じて特定財源や固有財源が充てられるほか、国庫負担金を含む一般会計からの繰入金も多額に及び、13年度の繰入額は特別会計歳入全体の12.4%を、また、一般会計歳出の57.9%を占めている。
 特別会計の財政状況についてみると、それぞれ財政運営の目的、財政収支の均衡を図るべき期間は異なる。会計によっては、特定財源や固有財源を中心に自立した財政運営を行い、決算上の剰余が続いているものがある一方で、単年度収支の均衡自体は目的とせず、社会経済環境の変化等に対応して財政規模を積極的に拡大するため、一般会計からの多額の財政資金の投入を前提とし、あるいは債務増加による財源調達を必要としているものもある。決算上の剰余についても、単年度収支の均衡確保を第一として翌年度の財源に充てるものと、長期財政の安定確保の観点から積立金として積み立て、将来の財政収支の変動に備えるなど財政負担の平準化を図っているものとの違いもみられる。
 このように、37特別会計の財政状況は、財政として果たす機能又は財政運営上の目的の違いを反映して一様ではない。しかし、債務の動向、財政資金への依存の程度をみると、今後の一般会計の財政運営に影響を及ぼすおそれがあり、あるいは、財源調達面で検討すべき問題点を抱えていると考えられる会計もある。これらの会計の歳出の内容及び財源調達に着目すると、その財政状況にはいくつかの特徴がみられる。その主なものは、次のとおりである。
(ア) 社会保障関係の会計は、国庫負担金、保険料を主な財源としているが、高齢化の進展、国民生活及び医療の水準、雇用情勢の変化等を背景として、その財政需要は年々増大している。会計によっては、長期財政の基盤となる積立金の水準が急速に低下しているものもある。多額の財政資金の投入は一般会計の財政負担増大の要因となっているが、一方で、一般会計からの国庫負担が一部繰り延べられている会計もある。
(厚生保険特別会計(年金勘定)、国民年金特別会計(国民年金勘定)、労働保険特別会計(雇用勘定))
(イ) 地方財政関係の会計は、法人税、所得税等の法定5税を基本的な財源としているが、バブル崩壊以降の経済情勢を背景として地方財政の財源不足が顕著となり、地方交付税の財源となる税収も低迷する中で債務が急速に累増している。この債務のうち国の負担分は、後年度に一般会計からの繰入れを要する債務である。
(交付税及び譲与税配付金特別会計(交付税及び譲与税配付金勘定))
(ウ) 公共事業関係の会計は、一部に安定的な特定財源を有する会計もあるが、多くは一般会計繰入金、負担金収入等を主な事業財源としている。これらの会計の多くは、累次の経済対策が実施される中で国債償還財源であるNTT株式売払収入を活用した無利子貸付けを実施するなどして財政規模を拡大させてきたが、貸付金の繰上償還に伴う補助金及び新規貸付金の財源は主に国債の発行によって賄われた。また、特定財源を有する会計の一部では、特定財源だけでは事業財源が不足するため、一般財源分も含めて一般会計からの財政資金の投入が拡大しているものがある。
(国有林野事業特別会計、道路整備特別会計、治水特別会計、港湾整備特別会計、都市開発資金融通特別会計、空港整備特別会計)
(エ) 主要食糧関係の会計は、国内米の需給改善を背景として近年大幅に財政収支が改善しているものの、新たな備蓄制度の下で積立金の減少が続いている。このため、一般会計からの繰入金が徐々に増加している。
(食糧管理特別会計)
(オ) エネルギー対策関係の会計は、安定的な財源である特定財源を有し、財源面では一般会計への依存の程度も低く、相対的に自立した財政運営を行っている。また、特定財源に充てられる国税は、国のエネルギー政策等を反映して税率変更がたびたび行われている。一方、会計によっては毎年度多額の剰余金の計上が続き、歳出規模に比して極端に高い水準となっている。
(電源開発促進対策特別会計(電源立地勘定)、石炭並びに石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計(石油及びエネルギー需給構造高度化勘定))
(カ) その他事項関係のうちの財政融資資金特別会計は、特別会計の積立金及び余裕金その他の預託金を統合管理し、公共の利益の増進に寄与することを目的として、特殊法人等、地方公共団体等のほか、公共事業特別会計を中心とする特別会計に対し資金の供給を行ってきた。同会計は、13年4月の財政投融資改革で財源構成が変化することが見込まれているが、近年、これらの特別会計向けの貸付けの比重を高めている。また、資金運用を行う会計では、財政融資資金預託金の運用割合が減少して国債による資金運用の割合が上昇している。さらに、長期的な財政の安定を確保することが必要な会計のうちには、積立金の伸びが低下している会計もある。
(財政融資資金特別会計、郵政事業特別会計、郵便貯金特別会計、簡易生命保険特別会計)
(キ) 国債費関係の会計は、国の財政全体の抱える債務の現状を反映しており、国の債務の増加とともに財政規模が膨らんでいる。そして、一般会計の財政運営の深刻な状況を反映し、国債償還財源の定率繰入等がたびたび停止される事態が生じている。
(国債整理基金特別会計)

 このように、特別会計の中には財政収支が改善しているものもみられるが、多くの会計は、当面する社会経済環境の下で、社会保障制度の運営、地方財政対策、景気浮揚、社会資本整備の充実、雇用確保等財政運営上の目的を達成するため、引き続き財政資金の投入と資金の借入れを必要としており、厳しい財政運営の続くことが見込まれている。そして、長期的な財政の安定を確保するために積立金を保有している会計においても、積立てのペースが低下し、あるいは積立金が底を突くものもみられる一方、特定財源及び固有財源を有する会計の中には、財源面では比較的に余裕があり、歳出規模に比して多額の歳計剰余金の計上が続いている会計もある。
 本院としては、このような特別会計の財政の現状を踏まえ、今後とも引き続き多角的な観点からの検査を実施していくこととする。