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  • 平成17年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第1 裁判所|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

自動車等を使用して通勤する職員等に対する通勤手当の認定等を適切に行い、適正な支給額となるよう改善させたもの


自動車等を使用して通勤する職員等に対する通勤手当の認定等を適切に行い、適正な支給額となるよう改善させたもの

会計名及び科目
一般会計
(組織)裁判所
(項)最高裁判所
(項)下級裁判所
部局等の名称
最高裁判所ほか79裁判所
自動車等に係る通勤手当の概要
裁判所において、裁判所職員臨時措置法等に基づき、自動車等を使用して通勤する職員等が一定の要件を満たした場合に、通勤に係る手当を支給するもの
自動車等に係る通勤手当の支給人数及び金額
5,543人
3億4738万余円
(平成17年度)
上記のうち過大に支給されていた通勤手当支給人数及び金額
398人
913万円
(平成17年度)
上記の者に対し平成13年度から16年度までに過大に支給されていた金額
 
1827万円
(平成13年度〜16年度)
 
2740万円
(平成13年度〜17年度)

1 通勤手当の概要

(1)支給要件の概要

 最高裁判所、高等裁判所、地方裁判所(簡易裁判所を含む。)及び家庭裁判所(以下「各裁判所」という。)では、裁判所職員臨時措置法(昭和26年法律第299号)、裁判所職員に関する臨時措置規則(昭和27年最高裁判所規則第1号)等に基づき、国家公務員法(昭和22年法律第120号)、一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法律第95号。以下「給与法」という。)等の法令を準用して、それぞれの職員等に対して俸給及び通勤手当等の諸手当を支払っている。
 そして、給与法によれば、通勤手当については、通勤のため、電車等の交通機関等を利用することを常例とする職員及び自動車その他の交通の用具(以下「自動車等」という。)を使用することを常例とする職員に支給することとされている。このうち自動車等を使用することを常例とする職員に支給する通勤手当(以下「自動車等に係る通勤手当」という。)については、徒歩により通勤した場合の距離が片道2km以上であるときなどに支給することとされ、その支給額については、自動車等の使用距離により定められた次表の区分に応じて支払われることとなっている。

表 自動車等の使用距離別の通勤手当支給額
使用距離
(片道)
5km未満
5km以上
10km未満
10km以上
15km未満
15km以上
20km未満
20km以上
25km未満
25km以上
30km未満
30km以上
35km未満
手当額
2,000円
4,100円
6,500円
8,900円
11,300円
13,700円
16,100円
 
使用距離
(片道)
35km以上
40km未満
40km以上
45km未満
45km以上
50km未満
50km以上
55km未満
55km以上
60km未満
60km以上
手当額
18,500円
20,900円
21,800円
22,700円
23,600円
24,500円
 給与法の改正により平成16年4月から45km以上の4区分が追加された。


(2)自動車等に係る通勤手当の認定

 全国の109裁判所では、自動車等に係る通勤手当の支給に当たり、給与法第12条等に定められた所定の基準(以下「認定基準」という。)によって、通勤の方法、経路、距離及び支給額の認定を行うこととなっている。
 認定基準によれば、徒歩により通勤した場合の距離及び自動車等の使用距離(以下、両者を併せて「計測距離」という。)は、一般的に利用することができる経路のうち、最短の経路の長さとされている。そして、経路の長さを測定する方法については、職員等から提出された通勤届等を基に、実測によるほか、便宜的に一定条件の下で国土地理院発行の地形図等を用いて測定できることとされている。

(3)支給額及び事後の確認等

 平成17年度に、全国の109裁判所において通勤手当を支給した23,650人の職員等のうち、自動車等を使用して通勤する職員等6,842人に対して支払った自動車等に係る通勤手当は4億0942万余円である。そして、各裁判所は、現に通勤手当の支給を受けている職員等について、その者が支給要件を具備しているか及び支給額が適正であるかについて、事後に随時確認を行う(以下「事後確認」という。)こととされている。
 また、最高裁判所は、下級裁判所として設置されている高等裁判所、地方裁判所及び家庭裁判所における職員等の給与等の司法行政に関する事項を定め、監督することとされている。

2 検査の結果

(検査の観点及び着眼点)

 裁判所では、自動車等を使用して通勤する職員等が多く見受けられるため、合規性等の観点から、通勤手当の認定が適切に実施されているか、支給要件及び支給額に関する事後確認は適切に実施されているかなどに着眼して検査した。

(検査の対象)

 検査に当たっては、前記の109裁判所における17年度の自動車等に係る通勤手当を対象とした。そして、17年度分の通勤手当について適切でない事態が見受けられた者については、職員別給与簿が保存されている13年度から16年度までの4箇年度分についても遡って検査することとした。

(検査の結果)

 検査の結果、次のような事態となっていた。
 各裁判所において17年度に支給した自動車等に係る通勤手当のうち、職員等2,072人に係る通勤手当について、一般的に利用することができる経路のうち最短の経路を検討せず、職員等が届け出た経路や計測距離をそのまま用いていたり、地図の縮尺を誤って計測距離を求めていたりなどしていたため、経路や計測距離の認定が適切に行われていなかった。
 そこで、改めて正しい経路及び計測距離により通勤手当を算定すると、最高裁判所ほか79裁判所(注) (17年度の支給人数5,543人、これに対する通勤手当支給額3億4738万余円)の398人に係る通勤手当については、自動車等の使用距離区分が下位の区分に該当することとなり、この結果、17年度において9,135,570円、遡って検査した13年度から16年度までの間において18,274,008円、計27,409,578円が過大に支給されていた。
 また、前記のとおり、通勤手当の支給要件を具備しているかなどについて事後確認を行うこととされているのに、ほとんどの裁判所では、自動車等を使用して通勤する職員等について経路等の事後確認が十分行われていなかった。
 以上のように、法令等で定められた認定及び事後確認が適切に行われておらず、自動車等に係る通勤手当が過大に支給されており、改善の必要があると認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、主として、次のようなことによると認められた。

ア 各裁判所において、

(ア)自動車等に係る通勤手当の支給に当たって、法令等の理解が十分でなく、経路や計測距離の認定が適切でなかったこと
(イ)当初の認定が行われた後において、事後確認が十分行われていなかったこと

イ 最高裁判所において、

 各裁判所における通勤手当の認定等の実態の把握が十分でなく、各裁判所に対する指導監督が適切に行われていなかったこと

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、最高裁判所では、各裁判所における自動車等に係る通勤手当について各裁判所の実態を把握した上で18年9月に事務連絡を発して、適切な認定及び事後確認の徹底を期すよう運用基準等を示してこれを周知するなどし、適正な支給が行われるよう処置を講じた。

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